2015.07.02 Thursday

現代のデジタル技術で…! [映画]ブルース・リー死亡遊戯

ブルース・リーの死後、撮影されていたアクションシーンをもとに、ストーリーをつくり、そっくりさんやスタントマンを使って撮影した「ブルース・リー死亡遊戯」を鑑賞。

ブルース・リーのアクションシーンは素晴らしいんだけど、いかんせん、デジタル技術のない時代なので、ブルース・リーの顔写真を貼り付けたり、代役の顔が映っちゃったりと、粗さが目立つけれど、それはそれで、今見ると面白い、かなあ…?

死亡遊戯 あらすじ


人気アクション俳優、ビリー・ローは恋人の歌手アンとともに、闇の組織から契約を迫られる。何度も撃退するビリーだったが、組織は撮影中の発砲事故に見せかけてビリーを殺そうとする。九死に一生を得たビリーは、顔を変え、組織に復讐を誓う…

塔を登るりながら、各階の敵と戦う


塔を登るりながら、各階の敵と戦うアイデアは「死亡遊戯」が最初だったのですね。その後、あらゆる格闘映画や漫画、ドラマなどに影響を与え、応用されてきました。格闘家の敵達も個性豊かで戦い方もそれぞれ違って面白かった。

現代のデジタル技術で…


ストーリーでは、襲われて顔が傷つく→整形して違う顔にって設定なのに、代役の顔とブルースの顔が、整形後もごっちゃになっていてわかりづらかった…(;´・ω・)

デジタル技術が発達した現代なら、顔ハメレベルの撮影も、代役の顔が映っちゃうのも、うまく編集できるんじゃないかしら?ぜひとも、作りなおしてほしい。


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2015.07.02 Thursday

「蛍川・泥の河」 宮本 輝

先日、テレビで宮本輝さんをみかけ、久しぶりに「蛍川・泥の河」を読み返してみました。物語の舞台は両方とも昭和30年代。生と死が、現代よりも濃密に感じられた小説でした。

泥の河 あらすじ


川のほとりにあるうどん屋の息子・信雄は、ある日、川にやって来た舟の息子、喜一と知り合う。喜一は母と姉と、舟で暮らし、各地を放浪していて、喜一の母はどうやら、人に言うのがはばかられる商売をしているらしい…


昭和三十年代は、まだ、荷馬車や舟で暮らす水上生活者が多くいたり、戦争の傷跡がそこかしこに残っていた時代です。主人公は、物語の中でなんども、死を含めた人との別れを経験します。

主人公の父親も戦争帰りで「一生懸命生きて、死ぬときはスカみたいな死に方をするもんや。」と語って聞かせます。生と死が身近で、それでいてとても濃厚に迫ってくる、そんな時代だったのかもしれません。

私が好きなのは、天神祭の場面です。お祭りの喧騒と臭いや、ふたりのワクワクした気持ちが伝わってくるようで。信雄と喜一がお小遣いをもらって、目当てのロケットを買いに行くんですが、喜一のポケットに穴が空いて、小銭を落としてしまうんです。ここがもう、切なくって…。

お祭りって楽しいけれど、どこか寂しくて、そんな寂しさに胸がぎゅっとなるんです。

蛍川 あらすじ


昭和三十七年、三月。中学生の竜夫は、顔なじみの銀蔵爺から、今年は蛍の大群が発生すると聞き、幼なじみの英子を誘おうと考える。英子とは昔、ホタルの大群がきたら観に行こうと約束をしていた。

しかし、年老いた竜夫の父が倒れ、竜夫と母の生活は困窮することに…。


ここでも、死が濃密に描かれます。年老いた父親の死、友人の死。思春期特有の父親への憎悪も描かれます。この時期の男子は、とかく、父親が疎ましいものです。けれど、父の死後、父にゆかりのある人達と交流することで、彼が想像したこともなかった、若き日の父親像とも対面します。

年老いた父親と思春期の少年の葛藤のような感情は、宮本輝の自伝的要素も入っていて、これらの設定はライフワークである「流転の海」にも受け継がれているのではないでしょうか。

一方で、蛍の大群には、力強い「生」を感じます。おそらく、この蛍を観た後、主人公とヒロインは別れてしまうのでしょう。そんな別れの切なさも、蛍の乱舞が激しいほど、切ないんです。


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2015.06.28 Sunday

「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術 宮竹 貴久

「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術を読みました。BSの新書紹介番組「久米書店」で取り上げられていたのがきっかけ。

仕事や人間関係に行き詰まったら、生物から生きる知恵を借りてみるのもいいかもしれません。生物の世界は簡単です。「生き延びて子孫を残す」という命題だけをクリアすればいいのですから。でも、それが難しいんですよね…


生物界のしくみを社会に置き換えてみると…


この本では、「先送り」は仕事にすぐ手を付けない、「死んだふり」は会議で発言しないなど、会社生活を例にとって生物学を紹介しています。

「先送り」「死んだふり」「パラサイト」など、人間の常識としては望ましくないと思われることも、「生き残る」ことを再優先に考えれば、こうした方法も自然界ではアリなんですね。

実は発言しなかったり、後回しにすることで、めんどうな仕事から避けられるというメリットがあるのです。その分、出世から遠ざかるというデメリットもあるのですが…。

生物界でも「死んだふり」がうまい個体は、動くものを餌と認識する天敵からは、逃げられる確率は高いのだけれど、同時に子孫を残すパートナーと出会う確率が低くなるというデメリットがあるのだそうです。

「先送り」にもデメリットがあるため、自分が何を大事にしたいのかを生物学的に置き換えて、その場その場を生き延びていくことが大事なのでしょう。



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2015.06.24 Wednesday

ヒッチコックの名作 [映画] 裏窓

ヒッチコックの名作サスペンス「裏窓」を鑑賞。50年代の映画は面白いですね。色彩が独特だし、今とは異なる価値観やファッションをみるのも楽しい。

ヒッチコック作品常連のジェームズ・スチュワートと、グレース・ケリーの共演。休養中のカメラマンが、偶然窓から覗きみた風景から、思わぬ事件に巻き込まれます。グレース・ケリーの豪華な衣装もすてきでした。



裏窓 あらすじ


カメラマンのジェフは、レース撮影中の事故で骨折、数週間の休養を余儀なくされる。退屈しのぎにアパートの窓から近所の人々を覗き見するが、ある日、向かいに住むセールスマンが深夜に怪しい行動を繰り返したと同時に、病気の夫人がアパートから姿を消す。

夫が妻を殺害したと確信したジェフは、恋人のリザ、看護師のステラとともに調査を開始する。戦友の刑事・ドイルにも協力を依頼するが、直接、殺人場面を観ていないジェフの言葉を信用しない。

そうこうするうち、セールスマンの庭を掘り返そうとした、アパートの住人の犬が殺される。凶器を掘り返そうとしたためだと確信したリザは、ジェフの制止を振りきり、犯人の庭へ忍び込むのだが…


裏窓から垣間みえる人生


ジェフが覗き見するアパートの窓には、個性豊かな人々が暮らしています。
先日観た「七年目の浮気」でも、夏のニューヨークの暑さの描写がありましたが、まだセントラルヒーティングが一般的ではない50年代、夏は窓を空けておくしかなかったんでしょうね。

中には、ベランダで眠る強者夫婦もおりました。

他にも、いつもピアノを弾いている作曲家、男を手球にとるバレエダンサー、奇妙な像をつくる女性彫刻家、恋に敗れたオールドミスなど、窓から映る人生は様々。それが、事件をきっかけにして最後に少しつながっていくのが観ていてなごみました。


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恋のためらい フランキー&ジョニー」では、主人公の女性がアパートの窓から眺める風景が「裏窓」のオマージュ。

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2015.06.23 Tuesday

[映画] 七年目の浮気

マリリン・モンローの「七年目の浮気」を鑑賞。感想は、古今東西、男の人の欲望と妄想は全く変わらないってことですね。

七年目の浮気あらすじ


ニューヨークの出版社につとめるリチャードは、妻子をバカンスに送り出し、庭で仕事をしていると、二階から鉢植えが落ちてきた。文句を言おうとするが、二階の相手は、夏の間だけ部屋を借りたブロンド美女だった。

彼女をなんとか口説き落とそうとするが、妄想癖の強いリチャードは、美女とのロマンスを妄想したり、バカンス先での妻の浮気を心配したりと忙しい。

ようやく、彼女をデートに誘うことに成功するものの、次から次へと邪魔が入り、ついにはバカンス先の妻が拳銃をもって現れて…


映画史上、有名なあのシーン


マリリン・モンローが地下鉄の風にスカートをひらめかす、有名なシーン。これがもとで、当時の夫・ジョー・ディマジオとの離婚にまで発展したそうですが、現代の私達からみると、どこがエッチなのかと思うくらいソフト。

でも、まだまだ保守的な50年代のことですから、これくらいでも衝撃だったんだろうな。マリリンが演じる金髪美女(役名はでてこない)の水着写真てのも、現代にしてみたら露出もまったく少ないのに、けっこう男どもは興奮していますww

それにしても、マリリン演じる金髪美女、天然なのか、わかっていてやっているのか、リチャードの下心をうまいこと転がして、ちゃっかりエアコンつきの寝室に泊めてもらったり(もちろん、手は出させない)しています。


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二人が見に行った映画は「大アマゾンの半魚人」

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2015.06.21 Sunday

日本の茶道、中国の茶芸 [映画] 闘茶 Tea Fight

日本、台湾合作の茶映画「闘茶~Tea Fight」鑑賞。映画の冒頭、物語の鍵となる故事がアニメーションで描かれるのですが、水墨画を貴重としたアニメがすごくかっこいい。

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「闘茶」あらすじ


はるか昔。日本の茶人・八木宗右衛門の行動が元で、雄黒金茶と雌黒金茶の一族が争い、雌黒金茶は失われ、八木家の末裔は茶に深くかかわると不幸が起こる「黒金茶の呪い」がかけられた。

時は移り、現代。八木家の末裔で茶屋の娘・美紀子は、母の死をきっかけに茶を断った父親を立ち直らせるため、お茶の勉強を始める。やがて「黒金茶の呪い」の源が黒金茶にあり、さらに、失われた雌黒金茶が家に伝わっていたと知り、美紀子はメル友のパオを頼って単身・台湾へ。

しかしそれは闇の茶商ヤンが、パオを使って美紀子をおびき寄せたのだった。

一方、謎の美女・ルーファは、美紀子を追って来た父親に近づく。彼女はヤンとも因縁があるらしく…。


極められた茶の技


「闘茶」とは、香りや、色、味などを総合的に競うもので、日本では、茶道の台頭で廃れた文化なのだとか。お茶に特化した物語っていうのが面白かったです。

中国茶と日本茶、双方の茶文化を「闘茶」という、一種のバトルで表現しているのですが、その中に親子の絆があったりとか、茶の運命に翻弄される恋人たちの物語がからんできます。クライマックス、中国茶と茶道、それぞれの作法が美しく、まるで舞を待っているかのようで美しい。

極限まで磨かれた技というは、もはや、芸術の粋なのかもしれない。

日本と台湾、双方の役者さんが演じているのですが、日本側は戸田恵梨香、香川照之という豪華キャスト。台湾側もヴィック・チョウさん、チャン・チュンニンさんは美男美女。その中でほんこんさんがいい味を出しています。

やっぱり台湾の、日本文化への理解度はすごい。日本の茶文化や茶道について、日本人が見ても違和感のない映像になっています。多分、他の国ではこうはいかないでしょうね。



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2015.06.10 Wednesday

ショート・ショート時代小説 「ならぬ堪忍」 山本周五郎

山本周五郎の「ならぬ堪忍」読了。もともとBS11の本紹介番組「すずらん本屋堂」のショート・ショートSHOWという企画で紹介された短篇集。

時代小説でショート・ショートって、珍しいなと思い読んでみると、ああ、なるほど、こういうことになるのかと納得。短い文章の中に武士の生き様が描かれています。

その他にも、情よりも武士としての建前をとるもの、人のために自分を犠牲にするものなど、様々な武士の生き様が描かれています。


「ならぬ堪忍」あらすじ


とある藩。大六という少年が、重助という相手との諍いから、決闘にまで発展する。決闘を決意した大六に、叔父の又十郎は、「侍の命は君主に捧げたもので、私事で捨てるものではない。」と諭すのだが、大六は聞き入れない。

そこで又十郎は、大六に、内密だが、近々戦があると打ち明ける…。

時勢に流されない、山本周五郎の思い


「ならぬ堪忍」は昭和20年に書かれました。私情に流されず、主君のために命をささげるのを良しとする戦意啓発の物語ですが、一方で「命を粗末にせず、大事の時まで生き抜け」とも書かれています。

おそらく戦時中の人が読むと「主のために命を捧げる」が主で、現代人が読むと「命を粗末にしない」という点に重点が置かれるのではないでしょうか。

他の小説も、戦時中に書かれたにしては、無闇やたらに命を捨てさせる戦意高揚というより、武士道を通じて、どう生きるかを説いた物語が多く、制約の中でも山本周五郎の反骨の心意気が感じられます。


ならぬ堪忍 (新潮文庫)
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こちらも番組で紹介されたショート・ショートを集めた「極短小説
「SHORTEST STORIES」を、「極短小説」と訳したのは洒落がきいていますね。

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2015.06.04 Thursday

宝石と合金。「宝石の国4」 市川 春子

遠い未来、宝石の性質を持った不老不死の生命体と、彼らを襲う月人との戦いを描いた「宝石の国4」
主人公フォスフォフィライトは、前回失った腕の変わりに、金と白金の合金をつける。冬の間仲間だったアンタークを失ったことで、以前とは全く違った屈強な戦士に変わろうとしていた。

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宝石の国の世界観


遠い未来。宝石の性質を受け継いだ生命体、彼らは金剛先生と呼ばれる指導者のもと、それぞれの技能をいかしつつ、月人への戦闘と日々の暮らしを営んでいる。

光をエネルギーとし、壊れてもパーツをある程度集めれば再生が可能なため、気の遠くなる時間を生きている。彼らを襲い、装飾品とする(らしい)月人との戦いも長きにわたるが、月人の正体はわからない。


強くなったフォス


前はドジっ子な末っ子気質だったフォスが、体の宝石を他の物質に置き換えるたび、新たな変化が起こります。

最初は重くて動かすのもやっとだった合金も、自在に形を変えて戦闘に利用しています。そこには、アンタークを失ってしまった後悔があるんでしょうね…。フォスの変化にともなって、宝石たちの世界もいろいろと動きがあるようです。

強くなったフォスに興味を示した最強の宝石・ボルツとコンビを組むことになり、新しい月人と対峙することになるのですが、その月人(?)はなにやら金剛先生と因縁があるようで…

ここでいよいよ、怪しかった金剛先生と月人との疑惑が明るみに。フォスは一人で月人から情報を得る決心をします。そうか、宝石たちはフォス以外、みんな金剛先生と月人が関係あるってわかってたのね。
でも、大好きな先生だから、あえて黙っていると。

これからの展開がまた楽しみ。またアドミラビリスたちも出てきてほしいな。


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宝石の国3
宝石の国2
宝石の国1


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2015.06.04 Thursday

「ミッドナイト・バス」 伊吹 有喜

新潟を舞台に、家族の再生とバスの乗客たちの人生の一コマが綴られる「ミッドナイト・バス」読了。

やっぱり、伊吹有喜さんの書く物語はいいなあ。普通の人たちの悲喜こもごもを、やさしい視点で描き出していて。どこにでもありそうだけど、気がつくと引き込まれている。おすすめです。

本の中には辛いこともあるけれど、読んでいて共感するし、希望をもらえます。

ミッドナイト・バス
ミッドナイト・バス
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伊吹 有喜 文藝春秋 売り上げランキング: 18,600


ミッドナイト・バス あらすじ


高速バス・白鳥交通の運転手・利一は、偶然自分の運転するバスに、16年前に別れた妻・美幸と再会する。長く心を残した元妻との再会が、利一の家族と、恋人・志穂との関係に波紋をなげかけることに。

父親、恋人、そして元夫として、利一は彼らとの問題に直面し、無骨ながらも彼らとの関係を修復しようとするが…。

家族の再生を軸に、バス乗客の人生が交錯する


「ミッドナイト・バス」は基本、利一と恋人の志穂、息子の玲司、娘の彩菜、そして元妻の美幸の関係とそれぞれの抱える問題について描かれていますが、その合間に、高速バスの乗客の人生の一コマが描かれます。

実は、その乗客たちは少しずつだけど、利一たちともつながりがあります。

家族の物語だけだと、閉塞的で暗くなりそうですが、そこへ、他の人の視点を加える事で、物語がやさしくなる、というのかな。

出てくる人がみんな、やさしいんだけど、その方向性が間違っていてすれちがってしまうのが切なく、それが少しずつ、糸をほどくように新たな関係を築いていくのが、読んでいてとてもうれしくなりました。


毒の人


伊吹有喜さんの話には、ひとり凄い毒のある人間がでてきて、その人が周りの善良な人を巻き込む展開が多いんですが、今回は故人である利一の母親が、そもそもの元凶のようです。美幸を追い出したのも祖母でしたし。ただ今回、もう死んでいるので具体的な描写はあまりなく、利一たち家族の再生に重きが置かれています。

けれど、彩菜があれほど美幸に頑なだったのは、おそらく毒の祖母の影響なんでしょうね。死んでからも人を不幸にしていく、そんな人間にはなりたくないなあ。

伊吹有喜作品感想


「なでし子物語」
「四十九日のレシピ」
「風待ちのひと」

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2015.05.31 Sunday

幕末、武士の娘の物語。「諫早菖蒲日記」 野呂邦暢

古書店を舞台にした小説「森崎書店の日々」。この本が縁となり、野呂さんの本を知ることになりました。
読書三昧の青春を綴った随筆「小さき町にて」から「諫早菖蒲日記」へ。本の縁が続いていきました。

諌早菖蒲日記」は幕末、九州諫早藩の砲術指南役の娘、志津の視点から語られる物語です。

幕末、藩の砲術指南役とくれば、「八重の桜」の八重さんのように、幕末の動乱に活躍する話かと思っていましたが、まったくそんなことはなく「諫早菖蒲日記」では、彼女の周りの日常が綴られているだけで、さしたる大事件は起こりません。

けれども、読み始めると夢中になってしまいました。

戊辰戦争のような、国を巻き込む大事件はありませんが、その当時、諫早で起こった大小の事件が綴られていきます。本明川の氾濫、主筋に当たる佐賀藩からの圧政、志津の家とライバル関係にある砲術家の台頭…。

淡い恋心、新しい矢絣の着物が欲しくて駄々をこねたり、母親に内緒で河岸を観に行ったりと、ちょっとおてんばな様子や、大砲の影響で耳の遠い父親の耳がわりとして、来客の対応をするうちに、世情にもたけていくようすなど、志津の姿がいきいきと描かれます。

考えてみれば、日本中の武士のだれもが、幕末の世情に関わって戦や暗躍をしていたわけではないんですよね。

大きな出来事はおきないけれど、なんだかとても愛おしい物語でした。


諫早菖蒲日記
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そういえば、「武士の家計簿」も幕末だけど、大きな事件が起こるわけではなかったっけ。

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)
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