『女の子がいる場所は』やまじえびね
2023.10.05 Thursday
女性の生きづらさを世界の少女たちの視点から描いた『女の子がいる場所は』。とても切なくて、とても考えさせられる漫画でした。女性だけでなく、男性にも読んでほしい物語です。
サウジアラビアのサルマ
サルマは父親にもう一人の妻がいることを知る。第一夫人のアミーラは子供ができないため、第二夫人であるママとの結婚を望んだ。離婚歴があるため再婚が難しいママはそれを幸福だという。
でもサルマはこう思った。「わたしたちは結婚をしないと生きていけないの?」と。
モロッコのハビーバ
おばあちゃんの知り合いのシャマおばさんがやってくる。おばさんはハビーバを見た途端「女の子がメガネなんて男に嫌われる」と否定する。そのくせ頭の悪い兄には男だというだけで褒めちぎる。おばさんが滞在する間、不快に思うハビーバだったが、実はシャマおばさんにはある秘密があって…。
インドのカンティ
カンティは母の再婚相手の義父が家庭教師のアーシャに売春を強要していることを知り憤るが、義父からは生意気だと折檻され、母からも「元の貧乏ぐらしに戻るからパパに逆らっちゃだめ」と言われる。
自分の無力さに打ちひしがれるカンティだったが…。
日本のまりえ
まりえは両親が離婚し、母と祖母と暮らしている。祖母はまりえに「女の子は勉強なんてしたら(男に好かれないから)苦労する」という。パパはママが自分より仕事ができることに嫉妬を抑えられない。
離婚したことで、家族は安定したけれど、やっぱり少し友達の家族がうらやましい。
アフガニスタンの少女たち
タリバンが去って学校が再開し、はじめて自分のノートと鉛筆をもらった日、彼女たちは将来を夢見る。しかし今、再びタリバンが彼の地を襲う。彼女たちはどうしているだろうか。
これは昭和初期に生きた女性が主人公の漫画『陽の末裔』のセリフです。戦前よりもましになったとはいえ、女性が女性であることを肯定されることはまだまだ少ない気がします。
そして漫画の少女たちも、日常生活の中で不自由さを感じています。
「女の子なんだから 男に楯突いてはだめ」
「女の子なんだから 可愛く、バカでいなきゃだめ」
それでも賢明な彼女たちは周囲からの言葉が「どこかおかしい」と感じはじめています。まだ、それを解決する術をしらない彼女たちですが、そのために必要なものが「知ること、学ぶこと」だと気づくのです。
とても小さな希望の光ですが、どうかこれからの彼女たちの行先を照らしてくれますように。
両親は私を愛情をもって育ててくれました。
ただ、同時にこう言われて育ちました。「お前が男だったらよかった」と。
女が二人続いたため男を望まれていたこと、それをつい、娘に聞かせるほど当初は「がっかり」していたこと。
そのため私は子供の頃こう感じていました。女の子である自分は悪いのだろうかと。
また、男の子の好む特撮や漫画を読み、男の子のように振る舞いました。そうすれば両親が喜んでくれると信じて。
なぜ、女の子が女の子でいるだけで、なぜこんなにも辛いのでしょうか。それはなにも、男性優位社会のムスリム社会やインドカーストの世界だけではなく、日本でも日常的に身近にあるものなのです。
そして、女の子を否定するのは、一番身近な女性である母や祖母だったりするのです。シャマおばさんやまりえのおばあさんのように、自分が「女の子なんだから」と否定されてきたことを、次の世代にも強要するのが当たり前と思ってしまっているのでしょう。
以前、ひめゆり部隊をモチーフにした漫画『COCOON』の感想を書いたところ「大変だったのは女だけじゃない!」と否定的なご意見をいただきました。『女の子がいる場所は』の感想でも肯定と否定、さまざまな意見がありました。
確かに男の子にだって性的搾取はあるし、女以上に大変なこともあります。社会進出に興味のない女性もいるでしょう。
ただ、さまざまな考え方がある中で私が思うのは、女の子が自らの意志で学び、考え、改善していく意欲だけは否定しないで欲しい。それだけです。
『女の子がいる場所は』あらすじ
サウジアラビアのサルマ
サルマは父親にもう一人の妻がいることを知る。第一夫人のアミーラは子供ができないため、第二夫人であるママとの結婚を望んだ。離婚歴があるため再婚が難しいママはそれを幸福だという。
でもサルマはこう思った。「わたしたちは結婚をしないと生きていけないの?」と。
モロッコのハビーバ
おばあちゃんの知り合いのシャマおばさんがやってくる。おばさんはハビーバを見た途端「女の子がメガネなんて男に嫌われる」と否定する。そのくせ頭の悪い兄には男だというだけで褒めちぎる。おばさんが滞在する間、不快に思うハビーバだったが、実はシャマおばさんにはある秘密があって…。
インドのカンティ
カンティは母の再婚相手の義父が家庭教師のアーシャに売春を強要していることを知り憤るが、義父からは生意気だと折檻され、母からも「元の貧乏ぐらしに戻るからパパに逆らっちゃだめ」と言われる。
自分の無力さに打ちひしがれるカンティだったが…。
日本のまりえ
まりえは両親が離婚し、母と祖母と暮らしている。祖母はまりえに「女の子は勉強なんてしたら(男に好かれないから)苦労する」という。パパはママが自分より仕事ができることに嫉妬を抑えられない。
離婚したことで、家族は安定したけれど、やっぱり少し友達の家族がうらやましい。
アフガニスタンの少女たち
タリバンが去って学校が再開し、はじめて自分のノートと鉛筆をもらった日、彼女たちは将来を夢見る。しかし今、再びタリバンが彼の地を襲う。彼女たちはどうしているだろうか。
女の子の不自由さ
私達が思うのは 毎日生きている中での女の不便さです。
いまある世界で女はなんてつらくて非力か
これは昭和初期に生きた女性が主人公の漫画『陽の末裔』のセリフです。戦前よりもましになったとはいえ、女性が女性であることを肯定されることはまだまだ少ない気がします。
そして漫画の少女たちも、日常生活の中で不自由さを感じています。
「女の子なんだから 男に楯突いてはだめ」
「女の子なんだから 可愛く、バカでいなきゃだめ」
それでも賢明な彼女たちは周囲からの言葉が「どこかおかしい」と感じはじめています。まだ、それを解決する術をしらない彼女たちですが、そのために必要なものが「知ること、学ぶこと」だと気づくのです。
とても小さな希望の光ですが、どうかこれからの彼女たちの行先を照らしてくれますように。
男だったらよかった
両親は私を愛情をもって育ててくれました。
ただ、同時にこう言われて育ちました。「お前が男だったらよかった」と。
女が二人続いたため男を望まれていたこと、それをつい、娘に聞かせるほど当初は「がっかり」していたこと。
そのため私は子供の頃こう感じていました。女の子である自分は悪いのだろうかと。
また、男の子の好む特撮や漫画を読み、男の子のように振る舞いました。そうすれば両親が喜んでくれると信じて。
なぜ、女の子が女の子でいるだけで、なぜこんなにも辛いのでしょうか。それはなにも、男性優位社会のムスリム社会やインドカーストの世界だけではなく、日本でも日常的に身近にあるものなのです。
そして、女の子を否定するのは、一番身近な女性である母や祖母だったりするのです。シャマおばさんやまりえのおばあさんのように、自分が「女の子なんだから」と否定されてきたことを、次の世代にも強要するのが当たり前と思ってしまっているのでしょう。
賛否両論の意見
以前、ひめゆり部隊をモチーフにした漫画『COCOON』の感想を書いたところ「大変だったのは女だけじゃない!」と否定的なご意見をいただきました。『女の子がいる場所は』の感想でも肯定と否定、さまざまな意見がありました。
確かに男の子にだって性的搾取はあるし、女以上に大変なこともあります。社会進出に興味のない女性もいるでしょう。
ただ、さまざまな考え方がある中で私が思うのは、女の子が自らの意志で学び、考え、改善していく意欲だけは否定しないで欲しい。それだけです。