八咫烏シリーズ『烏は主を選ばない』アニメ化への感想と考察

2023.10.25 Wednesday

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    2023年10月24日、驚きのニュースが入ってきました。和製ファンタジー小説・八咫烏シリーズの『烏は主を選ばない』が2024年4月にアニメ化されるとのこと。
    これまでずっと、私達ファンが夢見てきた八咫烏シリーズのアニメ化です。これまでの公開情報と自分なりの考察をまとめてみました。

    2023年10月時点での情報


    ・NHKで2024年4月から放送予定
    ・第一作『烏に単衣は似合わない』 ではなく、二作目の『烏は主を選ばない』がアニメ化
    アニメの特設サイトには雪哉らしき烏衣姿の少年と、糸の切れた長琴らしき琴のイラスト
    ・阿部智里先生のコラムによると、コミカライズとはまた別の新しい設定になるらしい



    物語の考察:なぜ「単」ではなく「主」なのか


    それはやはり『烏に単衣は似合わない』 が単独の物語だからでしょう。

    アニメ化するのであれば、後の『黄金の烏』『空棺の烏』に繋げやすい『烏は主を選ばない』が選ばれたのだと思います。

    また、「単」と「主」は、女性側と男性側、ふたつの視点で描かれた対になる物語ですから、「主」を主体にして「単」のピソードを挿入したほうが初見の方にわかりやすいのだと思います。

    だからといって「単」の話がカットされるということは無いと私は思います。女性たちが出てきたほうが華がありますし、ヒロイン(?)のあせびちゃんが作中で奏でる「長琴」がイラストで登場していますから、きっと「単」の4人の姫もでてくるのでしょう。

    「単」と「主」のリミックスはアニメ関係者の腕の見せ所といったところでしょう。

    アニメ化への期待と不安


    阿部智里先生のエッセイ「作家の羽休み」によるとこのように書かれています。
    「映像的なアプローチは現場に任せて欲しい」とのことでしたので、文化・風俗の設定なども新たにお任せする形となりました。


    ということは、設定を活かすも殺すも制作次第ということです。読者はイラストレーター名司生(なつき)さんの美しい装画や、松崎先生の詳細で原作を最大限に生かしたコミカライズに親しんできました。



    なので、こういってはなんですが、新参者に山内の世界が描ききれるのか、という正直一抹の不安が拭えません。
    要は、アニメ制作側がどれだけ原作への理解度とリスペクトにかかってくるでしょうね…。

    それでも、アニメだからこそできる表現には期待しています。個人的には羽衣から烏への変化や滑空シーン、あせびちゃんの演奏シーンなど、どう描かれるのかが楽しみです。


    ファンタジーとNHK


    NHKはこれまで数々のファンタジーアニメを手掛けてきました。

    ・『十二国記』(2002年)
    ・『彩雲国物語』(2005年)
    ・『精霊の守り人』(2006年)
    ・『獣の奏者エリン』(2009年)

    これだけファンタジーアニメの制作を手掛けてきた実績があるので、民法のアニメよりは信用がおけそうです。

    それに、シリーズを通じてアニメ化するならやはりNHKが最適だと思います。民法だとワンクールで終了なんてこともザラですから。

    アニメ化の最初のうちは『精霊の守り人』「バルサはこんなにおっ◯いがデカくない!」「タンダはあんなにイケメンじゃない!」など賛否両論がありました。

    『十二国記』のオリジナルキャラもうるさくて物語の雰囲気を壊していたし、細かい設定はほとんど小野主上が手掛けていて、「制作側仕事しろよ…」と思ったものですが、それでも全体を通してみるといい作品になっています。

    『烏は主を選ばない』も、長く愛されるアニメになりますように…。

    八咫烏シリーズ


    『烏に単は似合わない』
    『烏は主を選ばない』
    『黄金の烏』
    『空棺の烏』
    『玉依姫』
    『弥栄の烏』
    第二部『楽園の烏』
    第二部『追憶の烏』
    第二部『烏の緑羽』

    『烏百花 蛍の章 八咫烏外伝』
    『烏百花 白百合の章 八咫烏外伝』
    八咫烏シリーズ外伝『さわべりのきじん』
    八咫烏シリーズ外伝『きらをきそう』
    幕間『烏の山』
    幕間『山を下りて』
    コミカライズ『烏に単は似合わない』
    コミカライズ『烏は主を選ばない1』
    コミカライズ『烏は主を選ばない2』
    コミカライズ『烏は主を選ばない3』
    コミカライズ『烏は主を選ばない4』
    『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』
    『八咫烏シリーズファンブック』
    『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想
    八咫烏シリーズ展覧会&トークショー2023

    八咫烏シリーズ展覧会&トークショー

    2023.05.03 Wednesday

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      2023年4月21〜22日に行われた八咫烏シリーズ展覧会&トークショーに行ってきました。会場内の展示は撮影OKでしたし、編集の川田さんが「ぜひハッシュタグをつけてつぶやいてほしい」とおっしゃっていたので、会場の様子などを書き留めておこうと思います。

      阿部智里「八咫烏シリーズ」ファンBOOKお渡し会



      まず、会場に入ると、八咫烏シリーズの装画を名司生さんと、コミカライズの作者・松崎夏未さんの絵がだーっと展示されていて、絵の持つパワーに圧倒されました。

      そして、感動冷めやらぬうちに阿部先生による、本の手渡し会が始まりました。私の番になると、まず先生が「来てくださってありがとうございます!」と丁寧に渡してくださり、ちょっと感動で涙が出そうに…。阿部先生、とても小さくて、とてもかわいく、そしてとても腰の低い方でした。

      正直、作家さんというのはもっと居丈高で怖い存在だと思っていました。以前、とある場所でお見かけした作家さんに勇気を振り絞って声をかけたら、けんもほろろにビシャっと会話を遮断された思い出があったので…。

      阿部先生は、ファンとの交流をとても熱心なんです。松崎先生がサイン待ちの時もきさくに話しかけてくださったり、雪哉像の前でファンと記念写真をとってくださったり…。

      私は時間がなくてお写真はご一緒できなかったのですが、一緒に写真をとった学生さんの嬉しそうな顔に、こちらも嬉しくなってしまいました。



      展示の様子とサイン本


      展覧会では、松崎先生による『烏に単は似合わない』『烏は主を選ばない』の表紙絵の原画や、山内の設定資料、絵コンテなど、貴重な資料がもりだくさん!

      桜花宮や、招陽宮の建物の構造や配置から、谷間の賭博で使われた「カナコロガシ」の道具とその使い方まで、詳細に設定されています。もう、これさえあれば今すぐにでもアニメ化が可能なんじゃないだろうか…。


      雪哉イラスト
      そして、コミックスに松崎先生直筆の奈月彦を描いていただきました。会場ではキャラ設定されていれば誰でもOKだったのですが、私はあえて、奈月彦、それもぼーっとしている顔をリクエスト。

      この、スンとした表情が大好きでしたし、たくさんの人が並んでいたので、早く描けるものがいいかなと。

      スンとしている奈月彦奈月彦イラスト

      名司生さんイラストは、息を呑む美しさでした。百鬼夜行をモチーフにした幻想的な絵や、桜と武者が描かれた屏風、小さなコロボックルたちと自然。どれも素晴らしすぎて、写真を撮るのを忘れがちに。もっと撮っておけばよかったと後悔しています。

      名司生さんイラスト名司生さんイラスト

      それにしても、名司生、松崎両先生ともお綺麗な方たちでした。こんな才色兼備の作家さんが集まる阿部先生の求心力もすごいなあ…。

      トークショーの様子


      八咫烏シリーズを支えるプロフェッショナルのお話を伺えた貴重な時間でした。

      デザイナー野中深雪さん


      は、八咫烏シリーズの本の装丁のお話。文庫版のシリーズ巻数の表示、紙や帯のデザイン、色、フォントなど、作品のイメージに合わせて細やかに設定されています。

      驚いたのは、単行本の見返しの紙は阿部先生がサインをしやすいように、にじまない紙を使っているのだとか。
      プロの仕事の凄まじさ、素晴らしさを実感しました。

      コミカライズ担当・松崎夏未先生


      阿部先生の「ポンチ絵(てきとうな解説図)」にブチギレながらも、意図を読み取りながら毎回すばらしい作画を出してきてくれるそう。そうはいっても阿部&松崎のコンビは信頼関係にもとづいているので、ディスカッションをしながらオリジナルパートを作っているそう。湖の蛟(みずち)の設定や、船の安全装置まで考えられていて、ほんとプロってすごい…。

      コミカライズの展開が、原作にも影響を与え、その逆もあり、そうやって八咫烏シリーズの世界がより深く表現されていくんですね。このお二人は本当に最強です。

      イラストレーター・名司生さん


      八咫烏シリーズのメインビジュアルや本の装画をてがけた名司生さん。こちらもまた、作者サイドの要求の上を表現してくる方でした。「ひとつづきの文庫本表紙絵」のオーダーに、テーマフラワーで続けた完成品と、屏風や几帳で絵巻物のような表現のラフ、どちらも素晴らしかったです。

      名宰相(編集)・川田さん


      八咫烏シリーズの名宰相、編集の川田さんは阿部先生と10年来のお付き合い。先生を叱りつつ、褒めつつ、手のひらでころがし…じゃなかった、支えてくださっています。

      社会経験のない若い作家である阿部先生のために、各出版社へ阿部先生のゲラお手紙つきで送っていたりと、若い作家を育てる「思い」が素晴らしかったです。
      広い視野を持ち、阿部先生の手綱をがっちり握って行くべき場所へ導く姿がまさにプロフェッショナル…。



      八咫烏シリーズ


      『烏に単衣は似合わない』
      『烏は主を選ばない』
      『黄金の烏』
      『空棺の烏』
      『玉依姫』
      『弥栄の烏』
      第二部『楽園の烏』
      第二部『追憶の烏』
      第二部『烏の緑羽』

      『烏百花 蛍の章 八咫烏外伝』
      『烏百花 白百合の章 八咫烏外伝』
      八咫烏シリーズ外伝『さわべりのきじん』
      八咫烏シリーズ外伝『きらをきそう』
      幕間『烏の山』
      コミカライズ『烏に単は似合わない』
      コミカライズ『烏は主を選ばない1』
      コミカライズ『烏は主を選ばない2』
      コミカライズ『烏は主を選ばない3』
      コミカライズ『烏は主を選ばない4』
      『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』
      『八咫烏シリーズファンブック』(電子書籍)
      『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想

      JUGEMテーマ:漫画/アニメ


      漫画版『烏は主を選ばない』3巻刊行記念スペースざっくり聞き書き

      2022.05.05 Thursday

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        ツイッターのスペース機能を利用した3巻刊行記念トークの様子です。ざっくりですが内容を書き起こしてみました。聞き間違いとかもあるかもしれませんがご容赦を…。

        健聴者はもちろん、聴覚障害の八咫烏シリーズファンの方でも楽しめますように。


        オリジナルのシーンについて


        松崎先生の設定がつながらず、その間に阿部先生のひとり語り。谷間のシーンは阿部先生も絶賛のオリジナル描写だったそう。
        その後松崎先生も加わり、オリジナルの描写について。取材や打ち合わせのネタをもとに松崎先生が原作の行間を読み解いて詳細に描写。

        『烏に単は似合わない』ではオリジナル要素を少なめにし、『烏に単は似合わない』は、第一部最終巻までの流れを見越して、他の話や外伝の要素を含めたオリジナルを増やしているとのこと。
        阿部先生、松崎先生の描写についてこう語っています。
        文章の上っ面でさらっているのではなく、松崎先生の中で咀嚼された解釈を再構築している


        …さすが、八咫烏シリーズ最強のファン、松崎先生です。普通のラノベコミカライズのような薄っぺらい描写とは一線を画す構成と描写は、もうこのままアニメにできますね。(希望)

        今後もオリジナル要素は加わるらしく、『単』とのリンクで端午から七夕までの期間になにか起こるらしい…。たのしみです。



        おしえて!松崎先生(阿部先生も)


        事前に募集した質問に両先生が答えるコーナー。
        『追憶の烏』での心の傷は癒えたのですか?
        松崎先生「未だにふとした瞬間に涙が出ます。とりあえず食べて回復させています。」
        阿部先生「でもそのおかげで作品に凄みがでて私的には嬉しいです」
        松崎先生「だまれ!」

        阿部先生、松崎先生のメンタルケアに、おいしい上州牛でも差し入れてあげてください…。

        描いていて辛かった回は?
        20話『偏見』ここでは雪哉が谷間の連中に「お前は上っ面しか見ていない」と言われるシーンです。ここを描くために、大プロットでしっかり作り上げて、枝葉をつけていくそうです。

        松崎先生の作画方法について


        作画はアナログで描いてらしゃいますか?
        人物やメインの線はアナログ、背景などはデジタルで描いており、それらをなじませるのが大変。修正は紙の上でできる限りやり、デジタル上でも修正。

        血しぶきはアナログで墨を吹きつけていきます。Gペンでふっと。失敗すると顔にかかるとか。

        しかし、この血しぶき描写とか、谷間のグロテスクな描写とか、作者が鬼悪魔なら漫画家も相当…いや、いいコンビですよね♪

        達筆と筆使いは、幼い頃からの書道教室での経験から。コマ上の家系図なども松崎先生の手書き。最近は各キャラの髪の描写が好きで、長束の髪は固め、奈月彦はサラサラ系。敦房の髪は椿油をつけたオイリーな感じ。ハイライトの付け方を変えています。
        白珠の髪にハイライトを入れていないのは阿部先生のお気に入り。

        カナコロガシの盆にもこだわりがあり、2人で話し合い、アシスタントさんの描写力で漆の質感がやどりました。

        その他質問


        谷間の登場人物について
        雪哉に傘をあげたのは、『あきのあやぎぬ』に登場した西本家の顕彦さんで確定。谷間オリジナルの根幹をなす、「多様な視点」を雪哉に示すのに最適な人物だからだそう。

        くれ葉さんと谷間の遊女
        2パターンのデザインがツイッターにあがっていますが、両方とも素晴らしい。
        くれ葉さんデザイン
        最初は指がない設定もあったとか(遊女は客に誠を示すために指を送った習慣から?)

        花街と谷間の遊女の違いについて
        次の短編『きらをきそう』に詳しく書かれている。

        山内の世界観は身分が下へいくほど時代が下がる設定なので、最下層の谷間の遊女は江戸風になるのだとか。
        貴族→平安
        郷長→鎌倉
        平民→鎌倉〜室町

        雪哉の誕生祝いは受け取れた?
        松崎先生「26話のあとくらいにたぶん。」
        阿部先生「お祝いを売り飛ばすほど若宮も外道ではないと思うので」

        市柳パイセンコーデについて
        毎回楽しみな市柳パイセンのおしゃれ(ヤンキー)コーデは、自分でハギレを買ってチクチク縫うそう。
        だから結構手先が器用らしい。

        山内にはファッション雑誌や浮世絵的なものがあるので、詳しくは次回の短編『きらをきそう』で。

        おまけSS『ブラックアルバイター雪哉』
        初版の紙単行本についているおまけSSとイラスト。大人気で質問多数。
        『ブラックアルバイター雪哉』は出版希望があるものの、作者は消極的。ふだん本編で苦しんでいる分、一時間くらいで書けちゃうらしい。

        松崎先生「なにかにまとめてほしい」
        阿部先生「集団幻覚ってことにしたい」

        コンプライアンス的に問題があるため(?)人間界で路近描くのは無理なため、巨大犬「ろこたん」に変換。

        八咫烏シリーズ


        『烏に単衣は似合わない』
        『烏は主を選ばない』
        『黄金の烏』
        『空棺の烏』
        『玉依姫』
        『弥栄の烏』
        第二部『楽園の烏』
        第二部『追憶の烏』
        『烏百花 蛍の章 八咫烏外伝』
        『烏百花 白百合の章 八咫烏外伝』
        八咫烏シリーズ外伝『さわべりのきじん』

        コミカライズ『烏に単は似合わない』
        コミカライズ『烏は主を選ばない1』
        コミカライズ『烏は主を選ばない2』
        『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』
        『八咫烏シリーズファンブック』(電子書籍)
        『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想

        JUGEMテーマ:オススメの本

        『追憶の烏』ネタバレトークイベント「追憶ネタバレ会」

        2021.10.18 Monday

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          2021年10月3日に行われた『追憶の烏』ネタバレトークイベント(追憶ネタバレ会)に参加しました。
          以下はその感想です。こうして直接、作家さんや漫画家さんの話が聞けるのはうれしいですね。

          ※『追憶の烏』及び八咫烏シリーズのネタバレになっていますので、読了後にお読みいただければ幸いです。

          『追憶の烏』表紙絵の意味


          まずは、『追憶の烏』の表紙絵について。名司生さんが描く表紙絵の候補のイラスト、どれも美しい…!候補の中には焚書をイメージして端が焼け焦げたパターンや、若宮・姫宮と雪哉の対立を表したものなど、どれもすばらしく、いつか「八咫烏展」などをやる際にはぜひ展示してほしいです。

          あと、噂の裏表紙。水面に散らばる紫陽花の花びらと、横たわる奈月彦。帯に隠れる絶妙な配置。『追憶の烏』も『白百合の章』も、描かれた花々にもひとつひとつ意味があるし、各キャラのイメージフラワーも決まっていたそうです。



          鬼と呼ばれ喜ぶ作家、ファン代表として作家に詰め寄る漫画家



          コミカライズ担当の松崎先生がもう、ファン代表として詰め寄るww「エグい…!」「鬼悪魔阿部智里」など、制作側にもかかわらず、ファン目線で突っ込んでくださるww

          松崎先生、献本を読む勇気がなかったのに掃除中にうっかり見つけてしまい、読み終わったら心身ともにやられ、阿部先生に思わず電話。

          松崎先生「何もかもがひどい…!」
          阿部先生「まだたくさん生きているから大丈夫だよ♪」

          これから『烏は主を選ばない』の漫画をどうやって描けば…と、松崎先生、毎日枕を涙で濡らしているそうで、それを満面の笑顔で見守る。鬼悪魔阿部智里…。

          …さすが、あの、あせびちゃんさまの生みの親です。



          恐ろしいほどの構成力


          この鬼悪魔阿部智里先生、第一作『烏に単は似合わない』のころから、第二部の構想ができていたし、第二部の動き(あせびちゃんさまの再登場とか)もすでにできていたのだとか。

          また、これから第二部にでてくるキャラの「親」としてつくられたキャラが一部の中にいるのだとか。(あれか…?)

          そのほか、山内衆の礼とか、鳥形になったときに抜けやすい紐の結び方だとか、とにかく細部まで作り込まれています。

          松崎先生の「もし第一作が世に出なかったらどうなったの…?」との問いに「主でだめなら、見切りをつけていた。」と阿部先生。松本清張賞に選んでくださった審査員の方々、その後のシリーズ化をきめた出版社の方々、本当にありがとうございます…!

          登場人物について


          奈月彦の死はだいぶ前から決まっていたので動かせず(老後のビジョンが見えなかったから)、明留については面談部屋で死を伝えた時潔かったとか。「弥栄」で死んだ茂丸も同様で「家族と雪哉をお願いします。」と言ったそうな。それを聞いた松崎先生、思わず涙…。

          ※面談部屋…キャラの今後を決める阿部先生の脳内会議をこう呼ぶ。ただ、作者でも運命を動かせないこともあるし、プレゼンして運命が変わるキャラもあるらしい。

          八咫烏シリーズは視点を変えると見方が変わる


          阿部先生「『はるのとこやみ』にしても、隠れている部分があり、それが二重三重の意味をもちます。」
          松崎先生「浮雲からしたら、ストーカー男の話ですもんね。」


          そして、追憶のあのシーンでも意味深な言葉が。
          阿部先生「これまでの描写は、奈月彦からみた浜木綿だから。」
          松崎先生「ゆうて浜木綿も南家の女ですからね。」

          おまけ


          みんな大好き、市柳先輩の消息について。
          阿部先生「正直どうでもいいと思ってるんで。」
          松崎先生「市柳先輩は、雪哉だけじゃなく、あんたのおもちゃにもなってんのか…!」
          阿部先生「じゃあ、元気にしてます♪」

          思うに市柳先輩は山内の不要不急キャラなんだろうな。市柳先輩が出てくるってことは、山内が平和になるってことなのだと思います。

          私のお気に入りはなんと言っても松崎先生による「あせびちゃんさま」のモノマネです(笑) 
          『追憶の烏』で幼い凪彦をつれて、会議の場面に乗り込んでくる時、鈍色の衣装に香色の髪がゆらめき、胸に手を当て小さく息を吐いて、これから私がしっかりしなくちゃ!みたいな可憐な女性の仕草を再現されてました。

          いやその人、山内で最も危険な猛獣ですけどね…。

          その他にも、ますほさまは自分で幸せを掴み取るタイプだとか、頼斗くんはパリピでディズニーランドとかいっちゃうタイプ、モデルとかもやってそうだとか、キャラの深堀り(?)も行われて楽しい会でした。

          八咫烏シリーズ


          『烏に単衣は似合わない』
          『烏は主を選ばない』
          『黄金の烏』
          『空棺の烏』
          『玉依姫』
          『弥栄の烏』
          第二部『楽園の烏』
          第二部『追憶の烏』
          『烏百花 蛍の章 八咫烏外伝』
          『烏百花 白百合の章 八咫烏外伝』
          八咫烏シリーズ外伝『さわべりのきじん』
          八咫烏シリーズ外伝『きらをきそう』
          コミカライズ『烏に単は似合わない』
          コミカライズ『烏は主を選ばない1』
          コミカライズ『烏は主を選ばない2』
          コミカライズ『烏は主を選ばない3』
          『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』
          『八咫烏シリーズファンブック』(電子書籍)
          『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想

          『追憶の烏』ネタバレ妄想

          2021.09.19 Sunday

          0
            前回、八咫烏シリーズ第二部『楽園の烏』について気になった点を想像してみたのですが、今回は第二弾『追憶の烏』についてです。※あくまで、個人の感想であり妄想ですのでまったく根拠はありません。
            ネタバレを多分に、というか、ネタバレしかないので、『追憶の烏』読了後にごらんください。

            しかし、『追憶の烏』があまりにショッキングな内容だったので、冷静に考えられるまで時間がかかりました…。
            『追憶の烏』感想はこちら

            全部ハズレたネタバレ『楽園の烏』妄想


            前回の『楽園の烏』に関する考察は全てがハズレでした。いや、さすがは阿部智里先生。素人の考察などでは想像もつかない展開で私達に衝撃を与えてくれました。
            『楽園の烏』のネタバレ妄想はこちら


            若い金鳥は長束の子ではなく、あせびが先代金鳥代との間に作った息子


            おい、先代何やってんだ…。この人は若い頃、初恋の相手(浮雲)と結ばれず、おっかない年上(大紫の御前)に○○○されたために人生投げやりになっていて、そこへ初恋の相手とそっくりの娘がいたらそりゃ手をだすよね。

            でもたぶん、あせびはあんたのこと「奈月彦の劣化代替品」「奈月彦の娘を手に入れるための道具」くらいにしか思っていないよ…。

            大紫の御前という濃いキャラに隠れた先代と、幽閉状態のあせびはまったくのノーマークでした。これを受けて八咫烏シリーズは「物語に出てこない人物がどう動いているか」を考えないといけないなと感じました。まるで『空棺の烏』ででてきた夜間の用兵術みたいですね。

            懲りずに『追憶の烏』妄想考察


            さて、いちおう『追憶』で『楽園』に至った原因が示されましたが、まだ謎は残ります。

            ・奈月彦の遺言の意味
            ・奈月彦に瓜二つの真穂の薄の娘・葵(澄生)の存在
            ・安原はじめの動向と、朔王の生死
            ・山神の現状と山内の崩壊
            ・凪彦のお妃選びはあるのか
            ・招陽宮の火事
            ・浜木綿と紫苑の宮の行方
            ・真の金鳥の謎

            遺言の意味


            『追憶の烏』で奈月彦は遺言を残しています「皇后の思う通りに」と。これは何を指すのでしょう。浜木綿の行動原理は奈月彦と娘の姫宮であるから、必ずしも安寧を選ばないかもしれないのに。

            私はここで「皇后」と書いたのにひっかかるんです。ここで『玉依姫』を読み返すと、志保は普通の人間だったのに「玉依姫」の自覚をもつことで能力を与えられています。

            同じことが浜木綿にも言えたのではないかと。婚姻、もしくは伴侶の死などの要因で「真の金鳥」の能力の一部が「皇后」である浜木綿に譲渡されるシステムになっているとしたら…。

             『玉依姫』では神の妻の条件についてこう書かれています。
            神を愛し、愛されていることを知っていれば良い

            あるいは、こうも伝えられています。
            金鳥とは、すべての八咫烏の父であり、母である

            文字通り、父と母は、帝と皇后を指しているのかも…。

            なにせ、昔の記録は全て消去されているので、真の金鳥にしても全て正しく伝えられたとは限りませんし。



            葵(澄生)と紫苑の宮


            『追憶』後、雪哉の前に現れた真穂の薄の娘・葵(澄生)は亡き奈月彦に瓜二つ。これは何を意味するのか。八咫烏シリーズは対になる物語なので、実は「双子」なのは茜と葵ではなく、実は紫苑と葵が双子なのではないか。

            成長差がわかってしまう幼児期は隠しておいたのか、あるいは本当に病弱だったため、先の大紫の御前の魔手を逃れるための措置だったかもしれません。八咫烏シリーズは対の物語ですから、重要な人物や事柄にはもう一つの「意味」が存在することが多いですし、山神もまた「荒魂」「和魂」で一対です。

            八咫烏シリーズでは「一対の片割れ」は隠されていることが多いので、「対をなすもう一つのもの」が出てくることで謎は解けるのだと思います。

            なお、澄生については、他にもいろいろと想像させられます。幼少期、病を治すためにかかった医者とは、外界の医者だったかもしれない。彼女のセリフ
            「たくさんのものを見ました。ほんとうに、たくさんのものを」
            は、外界のことを指しているのではないでしょうか?

            このセリフについては、『烏の緑羽』を読むことで、更に推測が浮かびました

            また、『玉依姫』の中で烏天狗の潤天が「毎年人間ドックに行ってるが、人間じゃないと言われたことはない」と言っていますから、八咫烏の治療も可能なのでは…?ただ、烏天狗と八咫烏は成り立ちや仕組みが違うのかもしれませんが。

            真穂の薄の存在


            『追憶』の展開を鑑みると、「出てこない人物がどう動いているか」が重要なのですが、『追憶』で真穂の薄は澄尾と夫婦になり、次の子を妊娠中で直接でてきません。

            『玉依姫』、『弥栄』を読み返すと、彼女は八咫烏で唯一、神の妻である玉依姫との接点がある人物なんです。山神の存続が山内にとって最重要課題であるなら、今後彼女は山神との交渉人として登場するかもしれません。
            雪哉が目指す楽園には、彼女の存在は不可欠だとしたら、本当に二人は折り合いが悪いのだろうか…?

            ふたたびの登殿はあるのか


            『追憶』が『楽園』の12年前だとすると、当時3歳くらいだった凪彦は『楽園』で15〜6歳なので、これからお妃選びである「登殿」(金鳥の場合も「登殿」というのかは謎)が行われる可能性があります。

            あせびは自分が奈月彦と添い遂げられなかった夢を、息子と紫苑の宮(か、彼女に瓜二つの葵)を添わせることで実現させようとしていたら…。凪彦は花祭りで紫苑の宮を見ている可能性もありますし、母親から半ば洗脳のごとく吹き込まれたら、幼い頃から紫苑の宮に執着してしまうかもしれません。

            彼女は自分が嫌われているなんて、これっぽっちも思っていないので、同じく真穂の薄の娘・茜にも「登殿」を促すかもしれません。子供同士もお友達になれたら素敵ですわね!と「本気で」思っていそうです。

            私はその最後の宴で(奈月彦がしたように)紫苑の宮が現れて「あなたのことは大嫌いです。」って凪彦に言い放って欲しいですけどね。

            その他の謎


            他にもいろいろと謎が残っていますね。

            ・招陽宮の火事
            浜木綿と紫苑の宮が行方不明の前、招陽宮から火の手があがります。雪哉は自ら燃え盛る招陽宮へ行き、少しの間捜索を行っています。

            その後、彼は「消火の必要はない」と、思い出のつまった招陽宮を燃やしてしまいます。

            一見、雪哉らしい合理的な考えですが、「燃やす」は「隠す」も可能です。『烏は主を選ばない』や『黄金の烏』を読むと、招陽宮に何かしらの抜け道があった可能性がありますし、それを隠したかったのかもしれません。

            あるいは、雪哉が浜木綿と紫苑の宮を殺し、その死体を焼くためにそのままにしたのでは…?
            通常の火事では人間(八咫烏)二体を骨まで焼き尽くすのは難しいかもしれませんが、山内には「鬼火」など、不思議なエネルギーも存在するので、それらを応用したのかもしれません。

            なんにせよ、八咫烏シリーズの「行動」や「行為」は、視点を変えることでまったく違う意味になるので、人物の心情よりも、行動に注目していったほうがいいでしょうね。

            『楽園の烏』の頼斗だって結局、心情よりも行動を選びましたから。

            ・浜木綿の行方
            あの火事の後、紫苑の宮が幽霊だとしたら、浜木綿はどこにいるのか。その後の捜索で女官たちと山内衆「しか」見つかっていません。あとは「馬(大鴉)」です。馬は第三の足を契約者によって縛られれば、それが解かれるまで鳥形のままです。

            まさか皇后が馬になるなんて、常識では考えられませんが、浜木綿は烏の姿になることに抵抗はないし、飛ぶこともできます。浜木綿は紫苑の宮に足を縛らせ、今も山内のどこかで娘の帰りを待っているのかも…。

            ・神の名前
            山内崩壊を防ぐには、金鳥が元の山神であった頃の名前が必要なのですが、それは猿の策略で永遠に失われてしまいました。しかし、仮に『玉依姫』に書かれていた例の手引書に、何かしらのヒントがあったとしたら…。

            しかし、それを使えなかったとしたら。それはもしや「女神」の名前だったからではないでしょうか?もともと金鳥は山神の眷属(男)と、元の山神(女)の子孫なわけですから、オリジナルは「カミ」ではなく「ヒメカミ」でないと発動しないのではないでしょうか?

            奈月彦が紫苑を後継者に選んだのでは、単に施政者としての能力だけではなく、元の女神の系統を復活させようとしたのでは…?

            以前参加した『追憶の烏』ネタバレトークイベントで、阿部、松崎両先生が、
            「これまで男尊女卑だった山内に、あせびが大紫の御前として君臨することで、女性の権利に対してパラダイムシフトが起こり始めた。」

            といった意味のことを発言されていたのです。それは、男から女へ、金鳥の系統の変化がこれから起こるということなのでは…。と私は考えています。

            ・金鳥・金鳥代の名前ルール
            歴代の金鳥の命名については、一定のルールがありますね。
            奈月彦(なづきひこ)、捺美彦(なつみひこ)、長津彦(なつひこ)など、「な」と「彦」がセットになっています。「彦」は古代、男神を表す言葉だそうです。
            そして「な」は、汝(なれ)、あなたなど、自分から見た相手を指す言葉です。

            初代金鳥が女神であるなら、男神はあくまでパートナーであり、王配(女王の配偶者)ではなかったのか。本来、女性が受け継ぐべき力と血統を、何かしらの理由で男性側が奪ってしまったのか…?
            (だとしたら多分、四家がなにかやったんでしょうね)

            もし、紫苑の宮が金鳥になるとしたら、彼女の名前は「わ(あ)」(わたし)と「姫」のセットとなり、それが原始の神の名につながるのかもしれません。

            もう一つ、気になるのが「凪彦(なぎひこ)」の名前です。彼だけ漢字二文字なんですよ。他の金鳥、金鳥代は三文字なのに。

            また、音で言うなら「なぎひこ」と、奈月彦の祖父「なつひこ(長津彦)」は四文字です。凪彦は捺美彦が金鳥代を退いた後にできた子ですので、ある時期まで正式な世継ぎではなかったのです。

            もし、「音読み四文字=外部からの後継者」というルールが適用されるなら、あるいは「なつひこ(長津彦)」も正式な世継ぎではなかったのかもしれない、そこには何らかの事情が働いているのかも…。

            名前で深読みすると、いろいろと考えられますね。

            ・山神の謎
            山神はなぜ呼んでも応えないのか。もしかして山ではなく湖に移っている、志保が新たな神を宿している、など、いろいろ考えられますが、どちらにしても祭祀のシステムを早急に整える必要がありますね。

            ・小梅の今後の動向
            小梅がどう動くかも気になります。なにせ魑魅魍魎が跋扈する東本家にいるのですから、何かしら使役される可能性があります。
            『黄金の烏』では、小梅は一時期、桜花宮でも働いていたので、そのスキルを生かして桜花宮に現れるのかもしれませんし、あるいは、小梅の後ろに何か大きな悪意が働いているのかもしれません。

            ・雪斎の悪行の裏にあるもの
            それと、雪哉(雪斎)のダースベイダーっぷりが強烈すぎるところが気になります。先の大ボス、大紫の御前のときもそうですが、雪哉と大紫の御前はやり方が似ていますし、その存在感の強さも同じ。

            だとしたら、水面下でなにか別の計画が進んでいるのかもしれません。

            ・治真について
            『追憶』のラスト描写が雪哉ではなく、治真視点だったのも気になるところです。実は私は、治真が奈月彦暗殺に関わっていたと思っています。治真の忠誠は奈月彦ではなく、あくまで雪哉に向けられていましたから。

            治真は『『空棺の烏』 』を読む限りでは奈月彦の奇跡を見ていませんし(寝てたから)。

            南家や東家から「雪哉をいずれ博陸侯にしてやる」と言われたら、私が治真なら協力しますよ。

            八咫烏シリーズ


            『烏に単衣は似合わない』
            『烏は主を選ばない』
            『黄金の烏』
            『空棺の烏』
            『玉依姫』
            『弥栄の烏』
            第二部『楽園の烏』
            第二部『追憶の烏』
            第二部『烏の緑羽』

            『烏百花 蛍の章 八咫烏外伝』
            『烏百花 白百合の章 八咫烏外伝』
            八咫烏シリーズ外伝『さわべりのきじん』
            八咫烏シリーズ外伝『きらをきそう』
            幕間『烏の山』
            『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』
            『八咫烏シリーズファンブック』(電子書籍)
            『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想

            JUGEMテーマ:漫画/アニメ


            「夏」が舞台の小説いろいろ

            2019.08.18 Sunday

            0
              避暑地の出来事、真夏の逃避行、夏休みの子どもたちの冒険、夏の悲しい失踪事件、傷ついた大人の夏休み…など、さまざまな夏の小説を集めてみました。


              桃源郷の短期滞在客


              100年前のニューヨーク。避暑地の混雑を避け、都会のホテルで過ごす上流階級の婦人と紳士のお話。どんでん返しあり。


              エルニーニョ


              暴力を振るう彼氏から逃げだした主人公が、逃亡先で不思議な少年・ニノと出会う。ニノもまた誰かに追われていた。二人の逃避行と非日常が交錯する不思議なお話。



              くらのかみ


              耕介は、夏休みに田舎の大叔父の家を訪れたとき、いとこたち4人と遊んでいると、いつの間にか一人子どもが増えていることに気がつく。旧家で起こる事件と、座敷わらし、ミステリとホラーが両方楽しめる本です。




              幻夏


              ドラマ「相棒」の脚本家・太田愛さんが描くクライム・サスペンス。小学6年の夏、相馬は近くに引っ越してきた尚と拓という兄弟と友だちになった。しかし、二学期の始業式の日、尚は忽然と姿を消してしまった…。

              それから23年後。相馬の友人、私立探偵の鑓水のもとに、23年前に失踪した息子・尚を探して欲しいという風変わりな依頼が尚の母親から舞い込む。

              権力に翻弄される家族と、その復讐劇。せつない話です。



              風まちのひと


              妻の不倫や母の死で心に傷を追った須賀は、母の家で風変わりなおばちゃんと出会う。「福の神のペコちゃん」と呼ばれる喜美子の献身的な世話で須賀は徐々に生きる力を取り戻しくのだが…。

              心が疲れた大人の夏休みの物語。



              JUGEMテーマ:オススメの本



              電子書籍か紙の本か。2018年の読書総括

              2018.12.31 Monday

              0
                2018年から電子書籍を使い始めました。いやもう便利でしょうがないです。紙の本もちょこちょこ買っていますが、カラーの漫画や専門書、あと、何度も読み返したい本やエッセイ、専門書などは電子書籍を使っています。

                私が思う電子書籍のメリット・デメリット


                電子書籍のメリット
                ・パブリックドメイン小説を大量に読める
                ・無料マンガが案外読める
                ・たくさんの本を持ち歩ける


                電子書籍で見つけたパブリックドメイン。本黒岩涙香「幽霊塔」は明治時代独特の文章の読みにくさはあっても、それを凌駕する物語の面白さです。

                幽霊塔





                電子書籍(というかKindleFireHD)のデメリット
                ・アプリが使えない
                ・Koboで買った電子書籍が読めない(できないことは無いらしいけど保証はないらしい)
                ・ちょっと重い

                それでも電子書籍用にと買ったのはAmazonのKindleFireHD。なんでKindleFireHDにしたかというと…

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                カラーでが読めるから」です。最初は楽天Koboで書籍をつかっていたのですが、Koboリーダーだとカラーで見れないんですよ。

                専門書なんかは色がついていないと内容が分かりづらいことも多いし、漫画などは電子書籍限定でオールカラー版がでているので、せっかく電子書籍つかうのならば、カラー版が読みたいじゃないですか。

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                電子書籍と紙の本のこれから


                とはいえ、紙の本を嫌いになったわけでは決してなくて、書店は大好きで良く買いに行きます。
                ただ最近感じたのは「ネット書店で紙の本の在庫がすぐになくなる」んです。ネット通販で本や漫画を買おうとすると、新刊以外で数年たった本や漫画は在庫切れが多く、中古か電子書籍ばかりになってきています。

                本屋が在庫をもたなくなるって、ちょっと怖いですね。でも電子書籍のおかげで発表の場所が広がり、ネットで人気に火がついて出版という例もあるから、一概に電子書籍がわるいわけではないんだよな…

                電子書籍は気軽な読書や漫画への入り口として、紙の本は量は減る分専門的、技術的に特化した希少本を作っていけばいいんじゃないかな。

                さて、2019年は電子書籍も紙の本でも、どんな本に出会えるのかな?ワクワクしつつまとうと思います。
                皆様も良いお年を!

                古書価値がつきそうな作中作、劇中作を考えた。

                2014.03.27 Thursday

                0
                  ビブリア古書堂の事件手帖」「せどり男爵」「ブンブン堂のグレちゃん」「月魚」など、古書店を舞台にした小説や漫画が大好きです。

                  そこには、新刊の書店にない驚きや、骨董のように意外な本につく高値、希少本をめぐるミステリなど、物語になりそうな話題に事欠きません。

                  なかでも、戦前、旧満州で発行された芥川賞受賞作「雑巾先生」という小説が、今では美品で100万以上するということには驚きました。

                  おそらく戦前、しかも満州での発行のため、なかなか手にはいらないため、希少価値が高いのでしょうね。

                  それ以来、物語やドラマの中で、これは今だったら希少価値が高い古書になっているかも…と、考えるようになりました。


                  朝ドラ「ごちそうさん」の室井さんの小説「阿呆の仏」


                  これはもう、かなり古書価値がつきそうですwww
                  特に発禁になった本や、初期のおでんの本など、発行部数も少なそうだし、今なら神保町あたりで偉い値段がついていそう。

                  室井さんの書簡集は、つくろうとする出版社が現れず、桜子さんが室井さんの死後、自費出版しそうなので、こちらも価値がでそうです。でも、めい子さんがそれまで持っているかどうかは微妙ですけどね…。

                  NHK連続テレビ小説 ごちそうさん レシピブック
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                  百鬼夜行(京極堂)シリーズ、関口くんの小説「目眩」


                  京極堂シリーズの登場人物、小説家関口くんの単行本「目眩」などは、発行部数も少なそうだし、昭和20年代後半の策なのでまだまだ紙質も悪く、美品でとっておくのは難しいでしょう。

                  京極堂には何冊か在庫がありそうですが、偏屈な店主は売ることはないでしょうね…。

                  文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)
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                  JUGEMテーマ:ごちそうさん


                  JUGEMテーマ:ひとりごと


                  ビブリア古書堂シリーズで使われた古書が一冊の本に。「栞子さんの本棚」

                  2013.05.28 Tuesday

                  0
                    古書にまつわるミステリを描いたベストセラー「ビブリア古書堂の事件手帖」に登場する古書は、時には事件のヒントとなる内容が隠されていたり、登場人物の感情とリンクした表現として引用されています。

                    そして、「ビブリア古書堂シリーズ」を読んだことがある人なら、作中にでてくる古書を読んでみたい、と思ったことがあるんじゃないかと思います。私もそのひとりで、特にロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」は、他のSF小説でも紹介されていたため、ぜひ読んでみたい、と思っていたのですが、残念ながら絶版で手に入れることができませんでした。他の古書も同様でなかなか読む機会に恵まれません。

                    そんな読み手のフラストレーションを一気に解消してくれたのが、ビブリア古書堂シリーズに出てきた古書の内容を一冊に集めた「栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック (角川文庫)」です。

                    ビブリア古書堂シリーズにはたくさんの本が紹介されているので、その全て、というわけにはいきませんが、物語のタイトルを飾った本や、文中にちらっと登場しただけの本まで、短編、長編あわせて12編が抜粋・掲載されいます。

                    巻末には作家・三上延氏の書き下ろしとして、本の解説とエッセイも掲載されていて、ビブリア古書堂ファンにはたまらない専門書になったと思います。欲を言えば、抜粋が多いため、掲載数をへらしてもいいから全編を掲載して欲しかったけれど。まあこの本を読んで気に入れば全部を読んでみたくなりますが。


                    栞子さんの本棚  ビブリア古書堂セレクトブック (角川文庫)
                    夏目 漱石 アンナ・カヴァン 小山 清 梶山 季之 坂口 三千代 アーシュラ・K・ル・グイン F・W・クロフツ 宮沢 賢治 ロバート・F・ヤング 国枝 史郎 太宰 治 フォークナー 角川書店 (2013-05-25)売り上げランキング: 240


                    ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
                    三上 延 アスキーメディアワークス (2011-03-25)売り上げランキング: 1,094


                    ビブリア古書堂がきっかけで、いろいろな本が世にでるきっかけになりました。「落穂拾い」は書店でよく見かけるようになりましたし、「たんぽぽ娘」も2013年復刊されました。これを機会に世に埋もれた面白い本が気軽に読めるようになればいいですね。(*´∀`*)

                    たんぽぽ娘 (奇想コレクション)
                    ロバート・F・ヤング 河出書房新社 売り上げランキング: 224


                    「ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち」
                    「ビブリア古書堂の事件手帖2〜栞子さんと謎めく日常〜」
                    「ビブリア古書堂の事件手帖3〜栞子さんと消えない絆〜」
                    「ビブリア古書堂の事件手帖4 〜栞子さんと二つの顔〜」
                    「ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時〜」
                    JUGEMテーマ:古本・図書館

                    ごんぎつね感想文問題への感想。

                    2013.05.10 Friday

                    0
                      ネットで子どもの書いた「ごんぎつね」の感想について、いろいろと盛り上がっているらしい。
                      その子は「ごんぎつねの行動は身勝手で自己中心的だ、うたれてしまっても仕方がない」というような内容を書いたら、教師が親を呼び出したんだと。

                      たしかに「ごんぎつね」は、人によって感想がわかれる物語だと思う。
                      私も幼少の頃、ごんぎつねの感想を人とは違った内容を発表したせいで、人生の厳しさと教師のズルさを体験しましたから。(自由に感想を言ったのに、先生は金持ちの子の感想が正しいと言い切った。)

                      ごんぎつねにまつわる悲しい思い出→

                      姪っ子のごんぎつねの感想が問題になっているんだが・・・



                      ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)」でも、過激な内容の「時計じかけのオレンジ」の感想文が問題になった話がありました。学校の先生というのは、少しでも規範となる感想と違うことをを書く子がいると、

                      危険思想の持ち主→将来犯罪者になるかもしれない→問題を起こしたらこっちにも火の粉がくる(゚Д゚;≡;゚д゚)→今から親呼んで矯正しなければ!

                      って思うんですかね?

                      この一連の問題で私が思ったのは、感想文の内容とかよりも、通常と違った意見をどう受け止めるかで、その教師の器の大きさが知れる。ってことです。

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                      新美南吉は、いろいろと考えさせられる話が多い。「百姓の足、坊さんの足」でも、前半、罪もない百姓の方にバチがあたって凄くショックを受けた思い出が…。

                      百姓の足、坊さんの足 (青空文庫POD(大活字版))

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