僕僕先生シリーズ 「仙丹の契り」 仁木 英之

2015.02.10 Tuesday

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    僕僕先生シリーズ、今回は叶藩(チベットを)へ向かう僕僕先生たちですが、今までずっと共に旅をしてきた薄妃と、蒼芽香が旅から外れます。

    ずっと一緒に旅をしてきた仲間が去るのは寂しい王弁ですが、僕僕先生とふたりきりの時間が多くなり(もうひとりの仲間、劉欣はほぼ別行動)、先生から新たな医術・経絡(ツボ)を習えるのはまんざらでもないらしく、そんなところを僕僕先生にからかわれています。

    しかし、前回知り合った医師・ドルマが吐藩の王子だったことで、吐藩の内乱に巻き込まれていきます。おまけに、白塗りの異形の祈祷師デラクというものも現れ、僕僕一行に立ちはだかります。その裏ではある人物が糸をひいているようなのですが…。

    王弁の力


    僕僕先生からは無能と脳天気さをからかわれ、元暗殺者・劉欣からは、苦労知らずを疎まれる王弁ですが、実は、王弁、こうみえてすごいんです。

    もっとすごいのが周囲にいるから気が付かないだけで、ドルマのピンチには機転をきかせたり、時には僕僕先生が驚くほどの包容力を発揮したりします。ま、普段は正直すぎて周りに迷惑をかけたりするんですけどね。

    仙丹の契りと新たな道


    内乱に揺れる吐藩では、ドルマの父であるテムジン王が病に伏していた。王を助けるためには仙丹と言われる特別な薬を調合しなければならず、それには僕僕先生と王弁が「契る」必要があるという。

    心の準備ができていないと拒む王弁でしたが、どうやらふたりの「契り」とは、私達の(王弁も)考えるものとはちょっと違うようで…。

    それでも、2人のこころが重なりあい、もっと深いところでつながったようでした。
    しかし、ここでもいろいろと邪魔が入り、二人の旅はいよいよ長安へ。そこで僕僕一行を待ち構えているのでしょうか…。


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    僕僕先生シリーズ
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    しゃばけシリーズ外伝 「えどさがし」 畠中 恵

    2015.01.07 Wednesday

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      しゃばけシリーズ外伝「えどさがし (新潮文庫)」読了。通常のしゃばけシリーズと異なり、今回、若だんなはあまり出てきません。

      おなじみの仁吉や佐助、妖が見える僧・寛朝さまや、若だんなに知恵とお菓子を拝借しに来る、親分とそのおかみさんの話など、しゃばけの登場人物たちが主人公になり、身に迫る難題を(若だんな抜きで)解決していきます。

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      五百年の判じ絵


      これはまだ、犬神の佐助が若だんなと出会う前のお話。あてもない旅を続ける佐吉の前に、人に化けた狐・朝太が現れる。

      茶店の判じ絵(絵文字)の謎を解いていくうち、どうやらそれが佐助の500年前の約束に関わることだとわかる。けれどそこへまたお稲という狐が現れ、珍道中が始まることに…。判じ絵の謎が解かれていくうち、佐助は500年前の約束事を思い出していきます。

      太郎君、東へ


      若だんなたちと関わりのある河童の親分・禰々子は、このところ利根川の化身・坂東太郎が荒れているのに頭を悩ませていた。

      原因を探ると、人間たちが利根川の流れを勝手に変えようとしているらしい。様子を探るべく普請場へ向かった禰々子は、普請を行う侍・小日向に出会う。小日向をにくからず思うようになった禰々子は、坂東太郎に人間と真っ向勝負をするように諭すのだが…。

      江戸初期、実際に行われた利根川東遷事業に案を取り、人間の都合で自然を変えられる側のドタバタを描いています。それにしても禰々子さん強い。

      直木賞作家、門井慶喜さんの「家康、江戸を建てる」でも、利根川東遷事業について書かれています。
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      たちまちづき


      妖退治で有名な僧・寛朝の元には、人々からの怪異に関する相談事が後を絶たない。あるとき、口入れ屋の女房お千が亭主についた「おなご妖」を払って欲しいとやってくるが、寛朝といえでも「おなご妖」など聞いたことがない。よくよく聞くと、亭主が弱腰なのを、妖のせいだと思い込んでいるようで…。

      その後、大滝屋が夜道で襲われ、その後大滝屋でも奉公先の騒動が発生し、女房お千の責任問題にまで発展するが、それを解決したのは、意外な人物で…。


      親分のおかみさん


      時々長崎屋の離れに現れては、お菓子と若だんなの知恵を拝借していく日限の親分。その女房・おさきは病がちで夫に面倒をかけるのを申し訳なく思っていた。

      あるとき、自分の長屋の中に赤ん坊が捨てられ、同時に亭主が買っておいた昼ごはんまでが消えていた。長屋の住人に相談すると「捨て子を引き取るふりをした強盗事件」があることを知らされる。けれど、強盗に使われたのは女の子だという。果たして捨てられた赤子の正体は…。

      話には出てきていた親分のおかみさん。こんな方だったんですね。拾い子をしたことで彼女自身も強くなっていったようでした。推理は親分よりも上手のようです。

      えどさがし


      明治20年代。「京橋」と名を変えた仁吉は、「江戸の頃をおぼえているか 一」という新聞の投書の出処を調べに新聞社へ。

      そこでピストル殺人事件に遭遇し、事件に巻き込まれることに。警官に化けた妖かし・秋村から、投書の情報を調べるかわりに事件を調べてほしいと頼まれ、仁吉は明治の世でも面倒事に巻き込まれます。

      果たして投書の主は若だんな(の生まれ変わり)なのか、ピストル事件の真相は…

      時は明治に移り、若だんなはそこにおらず、妖かしたちだけが明治の世に残されています。仁吉たちは店を守り、姿を変えて若だんなの生まれ変わりを探しているのです。

      こうした形で若だんなのいないのその後を知らされるのは、なんとも切ないのですが、「しゃばけ」では神様によって一度運命が変えられたこと(ゆんでめて)があるので、あくまでスピンオフの世界として考えておこうと思います。

      しゃばけ本編では、若だんなと妖かしたちがずっとずっと一緒にいると、信じていますので。

      「えどさがし」には畠中先生の「アイスクリン強し」に登場する洋菓子屋「風琴屋」のものらしき洋菓子がでてきます。いつか若様組や真次郎が仁吉たちに会うお話も読んでみたい。

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      しゃばけシリーズ感想


      「しゃばけ」感想→
      「ぬしさまへ」感想→
      「おまけのこ」感想→
      「うそうそ」感想→
      「いっちばん」感想→
      しゃばけ絵本「みぃつけた」感想→
      「ころころろ」感想→
      「ゆんでめて」感想→
      「やなりいなり」感想→
      「ひなこまち」感想→
      「たぶんねこ」感想→
      「すえずえ」感想→
      「なりたい」→

      「しゃばけ読本」→
      2007しゃばけドラマ感想→
      2008しゃばけドラマ感想→
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      しゃばけシリーズ 「すえずえ」 畠中恵

      2014.08.12 Tuesday

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        しゃばけシリーズ第14弾「すえずえ」を読みました。本の帯に「若だんなのお嫁さん決定!」の文字があり、こりゃ、図書館の順番待ちしてる場合じゃないと、この本だけは買ってきて読んでみました。

        今回のテーマは「未来、将来」でしょうか。若だんな、友人の栄吉、佐助と仁吉兄や、そして妖怪たち。このままの暮らしがずっと続くと思われてきましたが、みな少しずつ、先のことを考える時期にきているようです。

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        栄吉の来年


        若だんなの親友、菓子職人の栄吉に縁談がもちあがります。けれど、栄吉は自分から若だんなに話そうとません。そんな友が心配になった若だんなは、妖たちとともに、栄吉の見合い相手・おせつのことを調べると、おせつには他に好きな男がいるらしいとわかり、またその男は借金持ちで、その借金取りが栄吉のところにもやってきてしまい…。

        栄吉は若だんなの親友だけれど、病弱でいつも寝付いている若だんなよりも、時の流れがはやいようです。友がどんどん先にいってしまうことに、若だんなはちょっと寂しいんですね。

        寛朝の明日


        妖怪退治で有名な僧・寛朝は、突然現れた天狗の黒羽坊から僧ごろしの妖退治をたのまれることに。小田原へ向かう寛朝を心配した若だんなは、獏の場久と猫又のおしろ、それに何匹かの鳴家を共につけます。

        獏の場久は夢の中を渡ることができるので、旅の様子を逐一若だんなに知らせることができます。途中で猫又たちの「猫じゃ猫じゃおどり」に遭遇したり、旅先でおいしいものを楽しんだり、けっこう楽しい旅だったのですが、目的地につくと、そこには別の天狗たちが待ち構えており…。

        以前の箱根旅行「うそうそ」の時のように、また天狗たちが騒動を起こすのですが、若だんなが夢を通じて指示を与え、なんとか八方丸くおさまります。夢の中から指示を送るって、ミステリの安楽椅子探偵のようですね。

        おたえの、とこしえ


        上方へでかけた夫・藤兵衛の留守に、赤酢屋という大坂商人が、藤兵衛が商いに失敗し、その「かた」として長崎屋をよこせと言ってきます。留守を守る母・おたえと上方の父を心配した若だんなは、自ら上方へ様子を見に行くことに。

        おたえさんは妖の娘であるせいか、おっとりとしていて、店のことよりも若だんなの健康を心配したりします。

        やがて、赤酢屋が示した期限の日、おたえさんは若だんなから意外な方法ですばやく情報をもらい、赤酢屋と対決するのですが…。

        おたえさんのおっとりとした対応が、ちょと人とずれていて可愛らしいです。
        物語に出てきた上方と江戸を結ぶ情報網は、当時実際に使われていたようで、私達が思うよりも江戸ってけっこうな情報社会なんですね。


        仁吉と佐助の千年


        前回の上方での活躍が周囲に広がり、若だんなにたくさんのお見合いが持ち込まれます。今までは病弱のため周囲がとどめていたのですが、ここへきて強引な仲人や、見合い相手までもが若だんなのもとへ押しかけてきて…。

        一方、仁吉と佐助は、若だんなの祖母である大妖・おぎんの指示でそれぞれ出かけてゆき、そこで若だんなが結婚後の身の振り方について諭されるのですが…。

        ここへきて、いよいよ、若だんなのお嫁さんが決定します!(*´∀`*)いやびっくり。
        じゃあ、仁吉や佐助、妖たちはどうなるのかというと…。まあ、すぐにどうこうってことにはなりません。
        その展開がまた、しゃばけシリーズらしいです。


        妖達の来月


        若だんなが長屋の大家を任されることになり、長屋とともに建てた一軒家を、妖たちに貸すことにします。
        獏の噺家・場久と、猫又おしろ、それに貧乏神の金次が住人となり、他の妖怪たちも泊まれるよう、若だんなは火鉢などの生活雑貨を買い与え、いよいよ引っ越しという日、なんと妖怪の家に泥棒が。

        若だんなからもらった大事な火鉢を盗まれた金次は、祟り神らしく(?)周りを凍りつかせる勢いのため、焦ったあやかしたちは犯人探しを行うのですが…。

        人の世からずれた妖たちの生活、どうなっていくんでしょう。

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        しゃばけシリーズ


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        「ぬしさまへ」感想→
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        「ひなこまち」感想→
        「たぶんねこ」感想→
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        外伝「えどさがし」感想→

        「しゃばけ読本」→
        2007しゃばけドラマ感想→
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        しゃばけシリーズ『たぶんねこ』 畠中 恵

        2014.01.19 Sunday

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          しゃばけシリーズ「たぶんねこ」を読みました。大店・長崎屋の若だんな、一太郎は、妖かしの血を引くものの、体がめっぽう弱い。

          そんな若だんながふた月の間、寝つかなかった。この僥倖を逃さぬよう、若だんなを守る2人の兄や(妖怪)は若だんなに、半年の間、おとなしくしているよう約束をさせるのですが、妖怪も人間も、時には神様の使いまでもが若だんなに相談事を持ち込んでしまい…。

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          安定して面白いのだけど…


          今回は、しゃばシリーズらしいお話でした。よくいえば安定して面白いのだけど、変化が少ないのがちょっと残念かな。「ゆんでめて」のような奇抜な展開ではなく、若だんなが相談事を持ちかけられ、それを妖怪たちと解決していくいつものパターンと、兄やたちが事件に巻き込まれて、若だんなと離れてしまう展開などは面白いんです。

          ただ、そろそろ、若だんなの周りにも変化がほしいかなと。親友の栄吉や義兄の松之助も若だんなの元を離れてしまい、新しい生活を営んでいきますが、若だんなの周りには変わらず妖かしたちがいます。

          それはそれで、ほっこりする風景ではあるのですが、若だんなの自身の恋があってもいいのじゃないかと。あやかしたちのことをわかって、それでもお嫁にきてくれるお嬢さんがいるといいのですが…。


          しゃばけシリーズ感想


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          僕僕先生シリーズ外伝 「童子の輪舞曲」

          2013.09.04 Wednesday

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            僕僕先生シリーズの外伝「童子の輪舞曲」今までのシリーズに出てきた登場人物のエピソードや、本編で語られなかった冒険など、外伝的な話が掲載されています。中にはちょっと不思議な話もあり、それがどうも今後の王弁と僕僕先生の関係につながっていくらしいのですが…。

            ・避雨雙六


            雨の無聊をなぐさめるため、僕僕先生が不思議なすごろくをだしてきた。自分の願いにあわせてオーダーメイドにつくられるすごろくで、王弁の道順だけが異様に長くなってしまって…。
            すごろくの中で動く人形と自分がシンクロしているので、穴に落ちると、本体にもダメージが。もちろん、王弁くんは穴に落ちるのはお約束(^^)


            ・雷のお届けもの


            旅の途中、僕僕先生一行と知り合った雷王の息子と人間の子どもとの友情物語。雷の国から水の中の竜の国におつかいに行く途中でトラブルに巻き込まれ…。


            ・競漕曲


            舟で旅をする僕僕先生一行は、とある港に停泊するものの、そこは一度入ると二度と出港できない港でした。そこから抜け出すには王の息子たちと舟の競争で勝つこと。僕僕先生は王弁と劉欣に舟勝負を挑むように命じるが、勝負は一度だけ、負けると港から永遠に出ることはできない…。
            まだ、劉欣が王弁の脳天気さにイライラしている頃ですね。このあと、大分仲良くなっていくのですが…。


            ・第狸奴の殖


            僕僕先生のペットの妖怪・第狸奴は、庵に化けて、雨露をしのいでくれる大切な旅の仲間。そんな第狸奴に恋の季節が訪れた。雌雄をもたない第狸奴の交尾を成就させろと無茶振りをされた王弁は…。


            ・鏡の欠片


            僕僕先生の知人で、この外伝の案内役・那那(ナナ)と這這(シャシャ)の主人である仙人・司馬承禎が不思議な鏡の中に囚われてします。那那と這這は主人を戻すため、街の子供達と協力して鏡のカケラを探すことに…。
            童子の姿の那那と這這ですが、実は二千年くらい生きている不思議なそんざい。小鳥がなくように言葉をかわすところが可愛らしい。


            ・福毛


            この「福毛」だけが、なんとも不思議なお話でした。舞台はなぜか現代の日本。

            王弁や僕僕先生、シリーズの登場人物らしき人々が出てくるのですが、まったく異なる話かとおもいきや、これからの物語、王弁が仙骨を手にすることができるかどうかに関わってきそうな雰囲気でもあり…。


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            僕僕先生シリーズ
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            「薄妃の恋」→
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            しゃばけシリーズ 「ひなこまち」 畠中恵

            2012.12.19 Wednesday

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              しゃばけシリーズ第11弾「ひなこまち」を読みました。

              ろくでなしの船箪笥


              若だんなの使うこたつの脚に「助けてください」と書かれた木札が紛れていた。助けてあげたいと思うものの、助ける相手の素性もわからない。ただ木札には「5月10までに」と期限が区切られていたので、それがなにかの手がかりとらしい。

              一方で若だんなは友の七之助から、助けを求められます。本家の隠居が形見にと七之助に遺した船箪笥の引き出しがあかないため、中に高級品が入っていると勘ぐった親戚筋から横槍がはいり、一旦は親戚の江戸支店預かりとなりましたが、そこでは次々と怪異が…。若だんなはひとつ困りごとが持ち込まれるたびに、それを解決すれば木札の主にたどりつけるのではと考えます。

              ひなこまち
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              ばくのふだ


              近所の商家で落語寄席ができ、若だんなは兄やたちにたのんで連れてってもらうことに。ところが噺の途中で噺家が武家に切りつけられる騒ぎがおきる。実は噺家の場久は悪夢を食べる獏で、食べた悪夢をネタにして話したために狙われたらしい。場久に泣きつかれた若だんなは、悪夢の主を探すため、妖たちに協力してもらいます。

              夢を食べる獏が、実際の悪夢をネタにするのですから、そりやあ怖いでしょうね(;´・ω・)

              ひなこまち


              江戸の器量よしで番付をつくり、優勝者の顔を手本にした雛人形を大名家に納、モデルの娘は大名にお目通りがかなうという、玉の輿のチャンスに、娘たちや親たちが騒ぎ出し、江戸の町では雛小町の噂で持ちきり。当然、見目をよくするきれいな古着市場も賑わうけれど、そこにはなにやら犯罪の匂いが…。

              今回は若だんなが臥せっているので、仁吉と屏風のぞきが相棒となって活躍します。布団から動けなくてもさすが若だんな、仁吉たちのヒントだけで、悪人たちのアジトをつきとめます。

              さくらがり


              顔見知りの僧侶・寛朝さまがいるお寺に花見にきた若だんなと妖怪たち。そこへ関東の河童の大親分、禰々子が訪れ、以前、仲間を助けたお礼にと、河童の秘薬をもってくる。河童の薬なので惚れ薬や痛みが五倍になる傷薬など、一風変わったものばかり。それを聞きつけたとある武士が、妻の気持ちを確かめたいと、惚れ薬を譲って欲しいといってきて…。

              以前「ゆんでめて」の中でも花見をしたのですが、それは神様の手違いでなかったことになっているので、若だんなは覚えていないのですが、妖かしたちはちょっと事情をわかっているようです。
              今後、選ばなかった道が現世にどう関わってくるのでしょうか。

              ゆんでめて (新潮文庫)
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              河童の秘薬


              禰々子からもらった河童の薬は、結局「困難が伴うが幸せになれる薬」をお武家に事情を話して渡すことになったのですが、そこでまた若だんなは奇妙な出来事に巻き込まれます。お武家の妻・雪柳が訪ねてきたり、迷子があわられたり、どうも町中が落ち着かない。どうやら夢の中にいることがわかり、獏の力で佐助を逃し、ことの成り行きを見守ることになったのですが…

              雪柳と子どもの危機に「ここで逃げたら男じゃないもの」と、逃げ出さず助けようとする若だんな、またひとまわり成長しましたね。(*´∀`*) 人を幸せにするだけじゃなく、若だんなにも幸せになってほしい。それには妖たちをうけいれてくれる奥さんが必要なのですが…。

              ひなこまち
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              僕僕先生シリーズ「鋼の魂」 仁木 英之

              2012.09.04 Tuesday

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                僕僕先生シリーズも6作め。「鋼の魂 僕僕先生」では雲南地方を旅する僕僕一行。前回の旅で道連れとなった苗族の娘・蒼芽香も加わり、ますます賑やかになってきました。

                雲南には6つの国(詔)があるが、南詔が他国を制圧しつつあり、吐蕃と唐、2つの大国も虎視眈々と雲南をねらっている状態。そんな中、皇帝の暗殺部隊・胡蝶の捜宝人・宋格之は皇帝から雲南に伝わる「鋼の神」を探しだすよう命じられる。
                その渦中に僕僕先生一行も雲南の湖・程海を訪れると、案の定、各国の争いに巻き込まれることに。そこで前回旧知を得た吐蕃の医師ドルマと再会する。実はドルマは吐蕃の王族らしいのだが、事情があって国を離れているらしい。一方で唐の皇帝と胡蝶の首領は雲南制圧と「鋼の神」を手に入れるため、情報撹乱や大軍を派遣して雲南に迫る。

                程海の人々を救うため、湖の底に眠る「鋼の神」を見つけるべく湖底を進む僕僕一行。「鋼の神」は仙人など特殊な人間でないと目覚めさせることができないらしい。
                地上では南詔の軍隊が程海へ侵攻を始め…。

                今回は月の女神・嫦娥や鋼の神など、神仙が多く登場します。けれど、程海の長、馬銀槍はこういいます。
                神頼みに慣れたものは、また神に頼ってしまう」と。鋼の神の存在は人心をまとめるには都合がいいけれど、すべてを神に委ねることなく、人間たちで何とかしようとする。また、そういう人間の前にしか神は現れないのでしょう。

                以前から僕僕先生たちを陥れてきた「覆面の道士」が、実は皇帝の手のものだということが判明しました。
                今まで皇帝の野望のために動いていたのね。でも引き際があっさりしすぎだし、正体(顔)も明らかになっていないので、これからまたからんできそうですね。

                流れからすると次回の舞台はきっと吐蕃でしょう。ドルマの出奔の理由や唐と吐蕃の陰謀についても書かれそうです。楽しみ(^^)

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                「僕僕先生」→
                「薄妃の恋」→
                「胡蝶の失くし物」→
                「さびしい女神」→
                「先生の隠し事」→
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                精霊の守り人シリーズ外伝 『炎路を行く者 ―守り人作品集―』 上橋菜穂子

                2012.02.02 Thursday

                0
                  精霊の守り人シリーズ外伝「炎路を行く者 ―守り人作品集―」を読みました。
                  」は、「蒼路の旅人」「天と地の守り人」の登場人物アユラタン・ヒュウゴが主人公。(ドラマでは鈴木亮平さんが演じていました)

                  ヒュウゴは、主人公チャグムやバルサの住む新ヨゴ皇国を攻めるタルシュ帝国側の密偵。
                  しかし、もともと彼は新ヨゴ皇国と縁の深いヨゴ皇国の武人階級出身でした。

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                  『炎路を行く者』あらすじ


                  大国タルシュがヨゴ皇国を占領、その侵攻でヒュウゴはの母と妹をタルシュ兵に殺されてしまう。ヒュウゴ自身は間一髪で逃げ出し、怪我をしたところを不思議な少女・リュアンに助けられる。

                  リュアンは、現実世界と対をなす異世界ナユグを見ることのできる少女で、口が聞けないためナユグの生物・タラムーを通じてヒュウゴと心を通じ合わせる。

                  今まで信じていた未来や希望、友人、家族…。それらすべてを失わなければならなかったヒュウゴは、まったく環境の違う下町で生きねばならなくなります。下町での暮らしに満足できればよかったのでしょうが、ヒュウゴの心の中には絶えず炎がくすぶっていて、心から満足することができません。

                  リュアンやその父親ヨアル、料理人のシガン、ヒュウゴを慕う少年たち。大事に思ってくれる人もいるけれど、ヒュウゴは自分の生き方に悩み、ケンカに明け暮れる無頼の日々を送ります。

                  どうやって生きたらいいかわからなくて、もがき続ける日々が何年も続く。そんな時、偶然出会った不思議な男オウル。タルシュの密偵だと名乗る彼は、ヨゴ皇国がなぜ滅びたのかを伝え、ヒュウゴを仲間に誘うのですが…

                  少年ヒュウゴの迷い、どうにもできない憤りが時に暴力となって現れる痛々しさと、たすけてくれたリュアンとヨアルとともに食卓を囲んでいる時の楽しそうな様子。ふたつの相反する感情がヒュウゴの中に混在しているのが、思春期の少年らしかった。

                  けれど、まだ夢多き少年だった頃に、何もかも奪われたヒュウゴは、ひとりで道を切り開いていかなければならなかった。切ないですね。せめて、いつか、リュアンと再会することができたらいいのだけれど…。

                  15の我には


                  もう一つの物語「15の我には」、こちらはバルサの思春期。
                  養父ジグロと用心棒をしながら旅を続けているバルサですが、まだ若く、血気盛んなため、判断ミスから怪我をしてしまいます。怪我の治療のため、街の酒場にとどまることになるのですが…。

                  同世代の女の子たちが、恋の話題に夢中のとき、ひとりでいるバルサ。
                  親友の子である自分を連れて逃げたため、国での地位を追われたジグロに申し訳なくて、独り立ちしたくて焦るバルサ…。そんなバルサの感情を、ジグロはやさしく受け止めてくれます。守り人シリーズの「闇の守り人」を読むと、ジグロのバルサへの感情は、決して愛情だけではなく、憎悪もあったようなのですが、ここで書かれたジグロは若く迷うバルサに対し、大きな愛で包み込んでくれています。

                  ヒュウゴもバルサも、子供の頃に大変な困難に巻き込まれ、悩み、憤り、道を模索しています。バルサにはジグロがいて、無鉄砲なバルサ愛し、道を示してくれました。

                  けれど、ヒュウゴは、愛してくれる人はいても、道を切り開くのは自分だけでした。対照的な二人の若き日の体験が、やがて交錯してゆくと思うと感慨深いですね。

                  上橋菜穂子「守り人」軽装版完結12巻セット (軽装版偕成社ポッシュ)

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                  上橋作品感想


                  「物語ること、生きること」→
                  「精霊の守り人」→
                  「闇の守り人」→
                  「夢の守り人」→
                  「天と地の守り人」→
                  精霊の守り人シリーズ外伝「流れ行く者」→
                  精霊の守り人レシピ集「バルサの食卓」→
                  「獣の奏者 闘蛇編・王獣編」→
                  「獣の奏者掘|亀翳圈廣
                  「獣の奏者検ヾ扱詈圈廣
                  「獣の奏者 外伝 刹那」→
                  「<守り人>のすべて 守り人シリーズ完全ガイド」→
                  守り人レシピ「バルサの食卓」→

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                  レビューポータル「MONO-PORTAL」

                  精霊の守り人 最新作 『炎路を行く者 -守り人作品集- 』 2012年1月発売。

                  2011.12.10 Saturday

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                    精霊の守り人シリーズ 最新作『炎路を行く者 -守り人作品集- 』 がいよいよ2012年1月発売になるそうです。「炎路を行く者」は、「蒼路の旅人」「ヨゴ皇国」の登場人物・ヒュウゴを主人公にした物語で、上橋菜穂子先生がずいぶん前から構想を発表されていたけれど、なかなか執筆されずに、ファンの間では「幻の外伝」になっていました。それが今回ようやく発刊となりました。

                    今回の主人公、アラユタン・ヒュウゴは、女用心棒バルサや新ヨゴ皇国・チャグム皇子と敵対するタルシュ国の密偵ですが、もともとはチャグムの国・新ヨゴと縁の深いヨゴ皇国の出身で、タルシュに攻められ、敵国に仕えるしか生きるすべがなかったという生い立ちを背負っています。
                    敵側ながら、時にバルサと協力してチャグムを助けたりとどこか憎めない雰囲気を持つ人物。
                    そんな彼の少年時代がいよいよ明らかになると思うと、楽しみです。


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                    「精霊の守り人」→
                    「闇の守り人」→
                    「夢の守り人」→
                    「天と地の守り人」→
                    精霊の守り人シリーズ外伝 「流れ行く者」→
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                    「偉大なる、しゅららぼん」 万城目 学

                    2011.12.10 Saturday

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                      京都でホルモー奈良で鹿大阪ではトヨトミと、万城目文学の近畿シリーズ(と、勝手に呼んでいる)最新作の「偉大なる、しゅららぼん」の舞台は滋賀。琵琶湖から不思議な力を授かる日出涼介は、力の抑制を学ぶため、高校入学を期に湖西にある日出本家に居候することに。日出本家には、涼介と同じ年の総領息子・淡十郎がいるが、城に住むほどの資産家の長男だけにやることが殿様気質。
                      おまけに、日出家の積年の宿敵・棗家の息子・広海までも同じクラスで、入学早々、お互いの力をぶつけ合ってしまい、波乱含みの高校生活がはじまる。マイペースな淡十郎に振り回されながらも、徐々に湖西での生活に慣れていく涼介だったが、ある時、元領主の末裔である涼介の高校の校長から「琵琶湖周辺から一族全員、出ていくように」と勧告される。両家の力をあわせもつ校長は、淡十郎の父親と、棗の家族の時を止め、意識を奪う。

                      涼介、淡十郎、清子、そして仇敵である棗とも協力し、校長と戦う決意をする。
                      果たして校長の目的とは?しゅららぼんとはなんなのか?

                      登場人物の中では淡十郎と清子の姉弟コンビが好きです。特に清子。小説のキャラにありがちな際立った美しさが微塵もなく、ぽっちゃり体型、サンダル履き、ヘビースモーカー。とてつもなく傲慢で周囲(特に涼介)を振り回していくんだけれど、傲慢さだけじゃなくて、自分に課せられた責任を果たそうとする強い意志をもっていて、魅力的な人物です。実際にお近づきにはなりたくないけれど…。

                      万城目さんの作品は、現実と虚構のはざまがわかりにくくて、読んでいくうちに、いつの間にかそっち側に引きこまれていきます。しまいには、どこまでが現実で、どこまでが空想かわからなくなります。
                      たぶんそれは、現実や実際の歴史部分の描写がしっかりしているからこそ、成り立つんでしょうね。
                      それが万城目学作品の魅力なのだと思います。

                      物語の中で涼介たちがやっていたボードゲーム・カロムも、てっきり空想かとおもいきや、調べたら本当にあるゲームでした。


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                      「鴨川ホルモー」→
                      「鹿男あをによし」→
                      「プリンセス・トヨトミ」→
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                      「ザ・万遊記」→
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