『菓子屋横丁月光荘 文鳥の宿』ほしおさなえ

2020.06.26 Friday

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    川越を舞台にした菓子屋横丁月光荘シリーズ『文鳥の宿』。ほしおさなえさんの本を読むと、ほっとします。

    特に今年、2020年はコロナ禍のため行きたいところに行けず、会いたい人に会えないつらい時期。

    そんなときに「菓子屋横丁月光荘」をよむと緊張がほぐれて、なんだか自分も守人のように、やさしい人達に囲まれている気がして、こころが温かくなるんです。



    主人公の守人は、両親を早くに亡くし、厳格な祖父と折り合いが悪く孤独を抱えていた青年ですが、月光荘の管理人を任され、川越の人たちと関わることで少しずつ絆が芽生えていく姿が、読んでいて応援したくなります。

    また、守人は「家の声を聞くことができる」不思議な能力も孤独と同様に抱えていたわけですが、月光荘と言葉を交わすうちに、不思議なことだけれど、それを受け入れ、生きていくことでまた新しい縁が生まれた気がします。

    雛の家


    前作浮草の灯で関わることになった「二軒家」の整理を手伝うことになった守人は、大事にしまわれた雛人形をみつける。

    二軒家の整理が終わるまで月光荘で雛人形を飾ることになったが、なぜか三人官女の一体だけが見当たらない。家主の和田さんに確認しても、雛人形の存在自体知らないという。
    しかしある日、「二軒家」の三人官女を返しに来たという女性が月光荘に訪ねてきて…

    子どもの死亡率が高かった昔、ひな祭りは女の子の成長を願うものでした。和田さんのお母様の、亡くなった娘への思いと、その思いを託された女性。二人の女性をまもってきた雛人形。
    読んでいて涙があふれました。


    オカイコサマ


    大学時代の友人・田辺の誘いで川越の隣、川島町を訪れた守人。近代和風建築の遠山記念館を訪れた時、家から「モリアキ」と声をかけられる。最初は人違いだと思っていたが、田辺の祖父母の家を訪ねた時、また声がした。

    紹介された田辺の祖母は不思議なひとで、彼女もまた家の声を聞くことができる人だった。そして、「モリアキ」と守人とのつながりも…

    蚕のいる家


    関東近郊の農家の2階は、かつて蚕を飼育していました。私の親戚も養蚕をやっていたので、蚕が桑の葉を食べる雨のような音の描写を懐かしく読みました。

    田辺くんのおばあさまのやさしく、どこか浮世離れした雰囲気がかわいらしい。おばあさまとの出会いによって、秘密を抱えていた守人の心が軽くなって、なおかつ先祖とのつながりもわかったのは、読んでいるこちらもうれしくなりましたね。

    出会いはみんな縁になり、僕たちはつながりの中で生きている。


    文鳥の宿


    守人は大学院を終えた後の進路を考えるようになる。そんなとき、懇意にしている古書店「浮草」のスタッフから、元料亭だった旅館のリーフレットづくりの手伝いを頼まれることに。

    守人が浮草のスタッフとべんてんちゃん、宿のオーナー美里さんと話し合い、いろいろな企画やアイデアを実現していくようすが、ワクワクします。こちらも参加している気分になれる。

    将来のことについて、まだ悩みはつきない守人ですが、せっかくできた川越での縁を活かす仕事についてほしいなと思います。

    実際に川越では古民家を利用した宿やゲストハウスが増えていて、宿泊だけではなく、地域やお客さんとの絆を大事にしています。また、川越の夜の風景は昼間と違ってしずかできれいなので興味のある方は行ってみてはいかがでっしょう。

    観光だけで帰るのはもったいない!川越は「夜」も面白いのです
    日帰り観光の川越で、あえて宿泊する3つのメリット

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    菓子屋横丁月光荘シリーズ


    『菓子屋横丁月光荘 歌う家』
    『菓子屋横丁月光荘 浮草の灯』

    レビューポータル「MONO-PORTAL」

    古本と旅と謎解きと「愛についてのデッサン―佐古啓介の旅 」野呂邦暢

    2020.05.31 Sunday

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      書店を舞台にした小説が好きです。ましてや好きな作家の作品ならなおさら。
      野呂邦暢さんの「愛についてのデッサン―佐古啓介の旅」は、古書店の若き店主・佐古啓介が、本に込められた人の思いを読み解いてゆくストーリー。40年以上前の作品なのにまったく色褪せない、何度も読み返したくなる本です。

      啓介は本と人の縁をつなぐうちに、自分の父がなぜ故郷を捨てたのか、そのわけを知りたいと思い、父の故郷・長崎へ向かいます。

      旅と古書と謎解き


      旅と古書と謎解きと書くと、旅をしながら本の謎を解く、個性的な探偵小説を思い浮かべるでしょうが、この本にはそんな派手な展開はありません。

      そういうものはラノベにおまかせして、「愛についてのデッサン」ではもっと大人の、本に秘められた人間の深い感情を味わいましょう。

      佐古啓介は父親の古書店を継いだ若き店主で、よく友人や知人の依頼で本を探すために旅に出ます。それはただ本を探すだけではなく、本にまつわる事情にも触れることになります。

      本を探すだけが古本屋の仕事じゃない。人間っていつも失ったなにかを探しながら生きているような気がする。


      昨日まで啓介と普通に本の話をしていたのに、その翌日に自殺を図った老人、才能が枯渇したのにそれを認められず虚勢をはる小説家志望の友人、詩に愛と、絶望をこめた詩人たち。

      そこにはさまざまな人の、さまざまな思いが本に込められています。



      美しくて深い


      一冊の本にはその持ち主の思いが反映されていますが、謎解きが終わってもすべてが明かされるわけではなく、啓介も探偵というより、本に秘められた人の感情を静観しているように思われます。

      女性が体に悪いのにおいしいと煙草の感想を漏らしたとき、彼女が道ならぬ恋をしているのではないかと思い、同じく道ならぬ恋をして彼女を生んだ母親の人生が重なる。

      美しく、詩的な文章なのに、読んだとき思わずゾッとするほど深いんです。

      ほかにも、会ったときは元気だったけれど、本を読み終えた後に自殺を図った老人や、才能が枯渇するがそれを認められず虚勢をはる友人など、さまざまな感情が描かれてます。それが滑稽であったり、切なくもあり、読んだ後の余韻がまた深いというか…。


      古書店の詳細な描写


      古書店の目録による通信販売や、万引の話、地方で郷土史を仕入れると東京で高く売れたり、新刊書の古本を指して「白っぽいもの」と言ったり古書店ならではのエピソードも詳細に語られています。

      実際に調べもしたのでしょうが、野呂邦暢さんは著書「小さな町にて」で、旅先で書店や古書店をめぐると書いていますし、またかつて大森にあった有名な古書店・山王書房へも通っていたので古本屋事情には詳しかったのかもしれません。

      山王書房店主・関口良雄さんの随筆「昔日の客」。野呂邦暢さんとのエピソードが描かれています。


      JUGEMテーマ:オススメの本


      レビューポータル「MONO-PORTAL」

      古本屋さんに住む女の子の話。『森崎書店の日々』 八木沢 里志

      2020.05.15 Friday

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        こんな時だからこそ、読みたい本。『森崎書店の日々』は主人公の貴子が、叔父が営む神保町の古書店に住むことになったお話です。

        ときには人生の中で立ち止まってみる。そこから新しい景色が見えてくることを教えてくれる本です。

        『森崎書店の日々』あらすじ


        恋人から「今度(別の人と)結婚するんだよね。」と軽い口調で振られた貴子は、ショックで会社をやめてしまう。心配した叔父サトルの誘いで、古本屋「森崎書店」を住み込みでを手伝うことになった。

        最初はまったく本(それもカビ臭い古本)に興味のなかった貴子。けれどある日、店にある本『或る少女』を手にとって読んでみたところ、すっかり本の世界に入ってしまった。

        なにせ本はいくらでもある。それからどんどんと本を読みまくるようになった貴子は店番をしながら本を読み、喫茶店でコーヒーを飲みながらまた本を。空いた時間は神保町を散策する。そんな生活を続けるうち、貴子は自分の人生を真剣に考えるようになり…




        人生の休暇


        古書店で働き、本を読み、珈琲を飲みながらまた読書。部屋にはたくさんの本。本好きにとってこんなにうらやましい環境はありません。貴子が本のおもしろさに目覚めたところなんかは読んでいるこちらも、ぱあっと、視界が広がるような気持ちになりました。

        貴子は、本を読んでこなかったからこそ、よけいに新しい世界が広がったんでしょうね。そして、ひょうひょうとしているようでいて、しっかり貴子を見守ってくれていたサトル叔父さん。ときにその思いが暴走しちゃうけど、こんな叔父さんがいたらいいなあと思います。

        本との出会いと、サトルおじさんとの再会は、貴子の人生に新しい世界の扉を開いてくれたんですね。

        後に出会うことになる常連客の和田さんが、貴子の本を読む姿をみて「さなぎが蝶にかえるような」と評しています。

        今までのようにいかないことの多い昨今ですが、私も今は貴子のように立ち止まって、羽化するまで心や知識を育てていく時間だと考えるようにしています。


        「桃子さんの帰還」


        「森崎書店の日々」の後日譚。映画にもちょこっとでてきた、サトルおじさんと、出て行ってしまった奥さん、桃子さんとのお話です。

        数年間出奔して行方しれずだったサトルおじさんの奥さん、桃子さんが突然帰ってきた。ひょうひょうとした桃子さんはいつの間にか貴子が使っていた2階の部屋に住み着いて、店を手伝い始める。

        突然帰ってきた桃子さんの真意を探るため、サトルおじさんから桃子さんの様子を探るように頼まれる貴子だったが、逆に桃子さんのペースに乗せられて、一緒に旅行に行くことに。

        一方、貴子にもある男性との出会いが訪れ…。

        明るい感じの桃子さんですが、実は心にいろいろな傷を抱えています。貴子もつらい思いをいろいろしてきたから、桃子さんの気持ちを受け止めることができたのでしょうね。貴子の新しい恋がうまく行って欲しいと思います。

        映画「森崎書店の日々」


        小説の雰囲気をそのままに、貴子の古書店での日々が描かれています。貴子役の菊池亜希子さんがほんとうに貴子だし、サトル叔父さんの内藤剛志さんもいい雰囲気ですし、岩松了さんのサブさんがいい味をだしています。

        映画「森崎書店の日々」感想」→

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        『悪魔の辞典』アンブローズ・ビアス

        2020.05.11 Monday

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          アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』は、タイトルに『悪魔』と付くくらいですので、その内容は辛辣と風刺、毒舌・誹謗中傷で飾られています。

          最初に『悪魔の辞典』を読んだのは中学生の頃でした。当時は難しい言い回しや、キリスト教ベースの内容がわからず、読むのに四苦八苦した覚えがあります。

          しかし、それでも万国共通で理解できる内容もあり、その辛辣さとユーモアが大好きでした。
          今読んでも当時の風俗や流行、やはり聖書ベースの部分は読解が難しいのですが、昔よりも理解ができるようになりました。

          また、昔から変わらないもの、権力や恋愛、結婚、に関する記述は今読んでもニヤリとしてしまいます。




          貴族
          (中略)野心を持つアメリカの金持ちの娘たちのために、自然が用意してくれているもの

          イギリスドラマ「ダウントン・アビー」でも、グランサム伯爵夫人はアメリカの大富豪の娘でしたから、あながち間違ってはいないのでしょう。

          銀行預金
          銀行を支えていくために行われる慈善の寄付

          これは今でも変わりませんね。更に昨今は窓口にいくと投資まで勧められるので、下手をすると資産を減らすどころか、本当に慈善の寄付になりかねないので注意が必要です。

          恋愛
          一時的な精神異常だが、結婚するか、原因から遠ざかれば簡単に直る

          だからといって、結婚をすればいいかというと、もちろんそんな風には書いてありません。

          結婚
          「(中略)一人の主人と一人の主婦と、二人の奴隷とからなり、それでいて全部合わせて二人にしかならない状態」

          なんのこっちゃかわからない文ですが、それだけ複雑ということなのかもしれません。

          誕生
          「あらゆる災難の中で、最初に訪れる、最も恐ろしい災難」

          これはもう…、ビアスの辛辣さ全開ですね。ただ、ビアスは息子を亡くしているので、その悲しみを災難と例えたたのかも。いやでも、そんなきれいごとではないか…。


          アンブローズ・ビアスという人


          アンブローズ・ビアスという人は、「ニガヨモギと酸をインキがわりに用いた」と言われていました。ニガヨモギはハリー・ポッターにも登場するハーブで苦味があることで知られています。それくらい、辛辣だということでしょうね。

          この人の人生は、彼の著作以上に波乱万丈で、家族との不和、家出、戦争体験、離婚…、最終的には「失踪」で消息を断っています。

          作家の中には早世したり、自殺したりする人も多いですが、「失踪後、行方不明」というインパクトの強さは、最初に読んだ子供の頃から今でも忘れられません。

          ちなみに『悪魔の辞典』の『失踪』の項目には
          「不可解に行動すること、他人の財産を持ち逃げするときに使う」

          と記述されていました。

          派生作品


          調べてみると、悪魔の辞典の派生作品は今でも出版されているらしく、筒井康隆さんの翻訳本や池上彰さんの政界バージョンまで、さまざまなものがあるようです。

          ビアスはジャーナリストでもあったので、池上さんのジャーナリスト視点の「悪魔の辞典」は面白そうですね。

          政界版 悪魔の辞典 (角川新書)

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          おうち時間に読みたい、閉鎖空間系小説・まんが

          2020.05.04 Monday

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            みなさま、長らくごぶさたしておりました。

            更新がだいぶ空いてしまい、申し訳ありません。

            この数ヶ月何をしていたかというと、あまり詳しくは書けませんが、とあるハラスメントを受けたことがきっかけでメンタルをやられたため、休養に入ってああこれから少しゆっくりできるわ、と思ったところにコロナがきて、復活しかけたメンタルがまたやられておりました。まあ、今は元気は元気なのですが。

            なにせ私はHSPなもので、辛いことに弱い。コロナの悲しいニュースに不安を感じ、鼓動が激しくなったりと、落ち着かない日々でしたが、とにかく今は自分ができることをやっていくだけ、と思い、毎日を乗り越えています。


            閉鎖空間で育った人々の想像力


            外に出ない生活が長くなると、なんだか自分がSFの登場人物になったような気分になります。ドーム都市に住んでいて、そこ以外は戦争とかウイルスが蔓延しているしているとか、あるいは科学者の実験空間に住んでいて、それを知らないだけだったり。さまざまな妄想を浮かばせて少しでも楽しく過ごすようにしています。

            そうした閉じ込められ系のモチーフは、小説や漫画でも古今東西使われていますので、今回はそうした一部の空間でのみ生きている人間たちの物語をご紹介します。

            閉鎖空間で生活する人々は、私たちが当然知っている情報を知らない。知っている私たちは「神の視点」を手に入れていて、「知らない人」が想像する世界を楽しめる。

            それはなんとも残酷で、贅沢なことだと思うのです。

            『びっくり箱』レイ・ブラッドベリ


            世界は自分の住む屋敷と周囲の森だけ、それ以外は恐ろしい死の世界ー。そう母親に教えられて育った子どものお話。
            子どもは誕生日のたびに音楽室や調理室、部屋の鍵を与えられ、世界の秘密を手に入れていく。
            けれども成長すると外の世界に興味を示していき…

            お屋敷の1階を「低地」最上階を「高地」と呼び、部屋と庭だけが世界って、一体どんな気持ちなんだろう。




            『孤島の鬼』江戸川乱歩


            エログロ、BL、殺人事件に脱出、謎解き、江戸川乱歩の傑作「孤島の鬼」は読みどころが満載なのですが、中でも私が心を惹かれたのは蔵に住むシャム双生児の女の子・秀ちゃんです。

            秀ちゃんは蔵に軟禁状態で育てられているのですが、双子の片割れ(人工的に作られたので血はつながってない)吉ちゃんは愚鈍で暴力的なのに対し、秀ちゃんは聡明な女の子らしく、哀れに思ったじいやさんがくれた雑誌で、かなり正確に「外の世界」のことを把握していきます。

            実はこの秀ちゃんは後に意外な出自が判明するのも、その後の展開も驚かされました。




            『FELICIA(フィリシア)』エイリアン通り特別編


            80年代の名作漫画「エイリアン通り」の特別編として描かれた読み切り漫画『FELICIA(フィリシア)』は、エイリアン通りの主人公・シャールくんが「女優」として撮影された映画のストーリー。

            小さいときから外に出たことがなかった少女・フィリシアが、父親に反発して家を出ていた青年ランディと出会い、外の世界について知っていく物語。

            純真無垢で(天然な)フィリシアの素朴な疑問や行動に影響を受けたランディも、働くことや家族との関係を見直していくのですが、フィリシアがとにかく一般常識がなくて面白かったです。でも憎めないんですよ。
            このゆるふわ系女子を、あのシャールくんが演じていると思うとまた面白かったです。



            『白銀の墟 玄の月』第四巻 感想(ネタバレ)

            2020.05.03 Sunday

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              『白銀の墟 玄の月』第四巻、いよいよ、いよいよこの壮大な物語も完結します。
              第三巻の終わりで驍宗さま発見!李斎さんも探索の途中で潜伏していた仲間を見つけたり、泰麒も少しずつ政務ができるようになってきた。あとは兵を上げるだけ!

              と、思っていたらところがどっこい、そう簡単にはいかないのでした…



              ここでも絶妙な伏線の回収


              これまで要所要所で登場した驍宗様にゆかりの轍囲の家族。彼らが少ない蓄えから捧げた供物が驍宗さまの命を救い、幼い娘が備えた鈴が驍宗さま脱出の重要なアイテムとなりました。

              そのことを、あの少女に伝えるすべがないことを、読者は歯がゆく思うのです。

              また、反阿選勢力の旗印である「白幟」「墨幟」が最後の最後に意外なところで現れたり、戦は塀の数で決まるといった言葉が、ここにいたって阿選に対抗する数が集まったことで反撃が可能になったことが裏づけられたりと、細かい伏線回収が絶妙です。

              俯瞰の視点


              読みどころだらけの『白銀の墟 玄の月』ですが、私が特に好きなのが阿選の軍に追われて驍宗と李斎が逃げるところです。

              最初、妖魔の大きな口や仲間が妖魔に体を持っていかれる残酷なシーンをズームで描いたと思ったら、最後はまるでカメラがズームアウトしていくように、驍宗さまが捕まった場面は遠くから描かれていて、その分、不安が増していくような描写がすごく印象に残っています。


              次期戴王は李斎さんでいいんじゃないだろうか


              この人の行動が、戴国の命運を決めたと言っても過言ではない。驍宗さまが斃れたら(考えたくないけど)李斎さんが次の王なんじゃないか。

              驍宗さま探索は、そのことごとくが空振りに終わったかにみえました。土匪の協力を得て廃坑をしらべ、荷が運ばれた場所に行けば、それは玉だったし、有力商人からも情報は得られない。挙句の果てには、驍宗らしき人物が死んだとの情報も。

              しかし、李斎さんはそれでも諦めません。困難の中でも相手の立場を理解し尊重し、諦めずに行動をおこしたことで、少しずつ仲間や情報が集まっていきます。

              結局のところ、ならずものの土匪でも見捨てず援軍に向かったおかげで、驍宗さまと再会することができたわけですし。驍宗さまが捕まっても、愛する騎獣を失っても、この人は前に進もうとするんです。それは、これまで失ってきたものがあまりに多いからなのかもしれません。

              以前は戴国のために慶国を犠牲にしようとも考えた李斎さんですが、自らの闇に打ち勝ったことで道を開くことができたのでしょう。


              残された謎


              結局のところ、琅燦はどこまで阿選を操っていたのか。妖魔をあっせんしたり、入れ知恵をしたりする一方で、泰麒に味方する行動をとってみたり、どうも一貫していない。しかし、人間の行動なんて残酷さと善良さを併せ持つのが当たり前ですし。

              もしかすると琅燦は「実験」のつもりだったけれど、阿選の意に反した行動や、偶然が重なって自分の手からコントロールが離れてしまったことで、彼女なりに事態を収拾しようとしたのかもしれません。

              そして今回、彼女を満足させた「実験の結果」があるとするなら、それはは泰麒じゃないでしょうか。麒麟にあるまじき殺生に手を染めてまで国を、王を助けようとするその行動力に琅燦は「やはり化け物だったな。」とつぶやきます。

              それが否定なのか、称賛なのか。そこも釈然としないところが琅燦らしいですね。

              『白銀の墟 玄の月』今回の山田画伯の挿絵はほとんどが俯瞰で描かれてるのですが、唯一、琅燦だけがその肖像が間近に描かれているんです。これだけでも彼女がこの物語に占める役割を表しているようです。
              あるいは彼女だけ規定の「外」にいるということなのかも…。




              市井の人々


              ほんとうに、なんど読んでも涙が溢れてしまう。読みどころも心をうつ名言も。泰麒や李斎たちといった国を動かす人だけじゃなく、驍宗に助けられた轍囲の生き残りや最初に泰麒をたすけてくれた東架の人々、道士や神農、そうした一人ひとりが短い文章ながら丁寧に描かれていて、彼らが必死に生きる姿がもう、胸に迫るんですよ。

              特に、神農の酆都が作った「墨幟」の幟がざあっと遠くまで掲げられる場面では、ああ彼の死は無駄じゃなかったんだなあ…って(´;ω;`)

              一方、阿選に反旗を翻すわけでもなく、状況に流されて嘘をついたり驍宗さまを攻撃しようとする民もいるわけですが、それもまたわかるんですよ。

              巻き込まれたくないし、自分たちを不幸にしたんだ、といわれたら王だって攻撃したくなる。それでも、彼らを攻めることはできないのも、李斎さんや驍宗さまはわかってるんですよね。

              今こそ、十二国記を


              2020年、こちらの世でも厳しい状況が続きます。誰かを攻撃したくなるし、世の中を恨みたくなる。そういうときこそ十二国記を読むとすごく救われます。

              過去が現在を作る。ならば、今が未来を作るのだ。たとえ繋がりは見えなくても。



              読み終わって


              小野不由美主上には感謝しかない。よくぞここまで書いてくださった…ほんとそれだけです。
              どうかくれぐれもお身体をお厭いください。
              そしていつかまた、十二国の物語が読めたらうれしいです。


              『白銀の墟 玄の月』第三巻 感想(ネタバレ)

              2019.12.01 Sunday

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                前半で暗中模索にみえた泰麒の白圭宮での奮闘と李斎の驍宗探索。しかし、今回、すべてがつながりました。

                これまで登場人物たちはもちろん、読んでいる私たちの前にも覆われていた霧が少しずつ薄れていき、その霧の先には、皆が待ち焦がれたあの方がいたのです。

                物語の構成も、これまで章ごとに泰麒側と李斎側それぞれの視点で物語が展開してきましたが、3巻では互いの物語の間隔がどんどん狭まっていき、前半の伏線が、少しずつ、確実に回収されていくのです。
                本当に、ページをめくる手が止まりませんでした。




                泰麒の六太化


                前半では、単身、白圭宮に戻りあろうことか、「新王阿選」を宣言した泰麒。このハッタリと度胸は陽子のようだな、と思ったものですが、今回もまた、ひとりで阿選に直談判しに行ったり、捕らえられている正頼に会いに行ったりと、麒麟にあるまじき行動にでます。

                今回は延麒・六太くんの(破天荒な)行動力が加わったかのようですね。

                「麒麟」という生き物は殺生を嫌い、血を嫌います。それは血や穢を浴びると病気にもなるくらいです。
                しかし、泰麒は正頼の牢に忍び込む際、門番を攻撃するなど、自ら行動に打って出ます。それほど切羽詰った状況ということもあるのでしょうが、彼の行動原理には蓬莱(日本)での悲惨な経験が影響しています。

                「魔性の子」という作品では、泰麒を守るため使令が暴走したため、周囲の人間や両親も虐殺された過去を持ちます。泰麒はいまもその罪を背負い、彼らの死を無駄にしないために文字通り身を削って戴を救おうとします。



                巌窟王・驍宗


                さて、長いこと行方知れずで、最大の謎だった驍宗さまの行方ですが、なんと灯台もと暗し!李斎さんたちが散々さがした函陽山の落盤で閉じ込められていたのです。まさに巌窟王…、閉じ込められたくらいで諦める驍宗さまではなく、コツコツと岩をのぼり、脱出を試みていたのです。

                しかし、いくら不老不死の仙とはいえ、食べないと死んでしまうのですが、それが、前半にでてきた貧しい親子が月に一度、捧げた供物が巡り巡って驍宗さまの元に届いていたのです。(その他にも前半ででてきた玉とかも意外な形で関わっているし…!伏線回収すげえ)

                ここでも、人の行い、思いが、本人たちの思いもかけないところで誰かを助けになっている。そんな「思い」の細い糸の一本一本が繋がり、太い縄になって驍宗さまの元にどど来ました。
                「青条の蘭」の命のリレーでのテーマがここでさらに壮大な形になって返ってきました。

                結局、人を救えるのは剣でも魔法でもなく、少しずつの、けれどもたくさんの人の思いなんですね。

                それにしても、ページの中に、本物の驍宗さまが現れたときは、思わず本をおいて目頭をおさえました。よくぞ生きていてくださった…!

                銀色の髪の亜里沙
                山の中に閉じ込められるというシチュエーションは巌窟王というより、和田慎二さんの「銀色の髪の亜里沙」を思い出しました。これは少女が洞窟に閉じ込められ、そこで得た知識で復讐を行う物語。「銀髪」というのも同じだし。



                マッドサイエンティストと逆臣


                ここへきて初めて阿選の行動原理が明かされます。驍宗との良きライバル関係だったものの、先王が崩御したことで、そして、驍宗が王となったことで、彼の影になってしまう恐怖。でも、それだけでは彼も行動を起こさなかったかもしれない。

                けれど、彼の近くには恐ろしく聡明で、天の摂理を意に介さない琅燦がいたのです。どうやら琅燦は阿選に具体的な知恵を授けることで天の摂理の「実験」を試みたらしい。

                黄昏の岸 暁の天 」を読み終わったあと、その当時私を含め、読者の一部は「陽子はいつか、天に戦いを挑むのではないか」と考えていました。天の摂理の届かない蓬莱育ちで、泰麒のことで天に疑問を抱いていたようだったからです。

                しかし、意外な形で天に戦いを挑んだのは琅燦の方でした。彼女もまた、陽子とは別の意味で天の摂理から外れた人だったから。

                サイエンティストというのは時に倫理を超えた実験に心を動かされるものですが、琅燦の場合は、どこまでが計算づくだったのか。作中、彼女の心理が語られることはなく、阿選の視点からの描写なので彼女が敵なのか味方なのかはまだ霧の中に包まれているようです…


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                『白銀の墟 玄の月』第二巻 感想(ネタバレ)

                2019.10.29 Tuesday

                0
                  『白銀の墟 玄の月』第二巻読了。白圭宮に戻った泰麒と、驍宗を探すため文州・函陽山周辺を旅する李斎の2つの視点から物語が展開していきます。

                  そして2つの視点の合間に、病気の主に仕える少年と、貧しい家の少女のエピソードが挟まれています。この2つが後にどう関係してくるのか。

                  泰麒視点・白圭宮


                  白圭宮に戻った泰麒は、阿選と面会。帰還を許されるものの、官吏は動かず民の救済は進まない。責任を取りたくないからのらりくらり問題を先送りにする官吏たち。

                  そんな官吏たちに、麒麟とは思えない心理戦で圧力をかける泰麒。あろうことか、「阿選を新王にするためには驍宗に禅譲(自ら王の位を降りる。すなわち王の死を意味する)をさせる必要がある」とまで言い放ちます。

                  果たしてそれは、民の救済を行うための方便なのか、それとも本当に…?

                  しかしなんだか泰麒の行動が陽子化してますねww
                  たぶんこの事件が終わったあと「胎果の王、麒麟=思いもよらない行動をする人たち」と言われそうな…



                  李斎視点・文州・函陽山周辺


                  驍宗が最後に消息を絶った函陽山周辺で手がかりを探す李斎一行。途中、土匪の頭目や道観の人々の協力を得て、さまざまな土地を訪れるものの、その全てが空振りに終わり、各地で民の惨状を突きつけられただけだった。

                  絶望の中、数少ない希望も得た。土匪の頭目からは驍宗が行方不明になった原因となった土匪の乱の内情を知り、驍宗配下の将軍の部下・静之に出会うこともできた。

                  しかし、最後にたどり着いた老安というまちで、驍宗らしい武人が匿われていたという情報を得たものの、その武人はすでに亡くなっていた…。



                  混迷を極める「承」


                  とにかくこの巻をひとことで言えば「混迷」です。なにもかもが不明瞭で、確かなことがなにも見えない。

                  しかし、情報も人も制限され、不確実な情報ばかりの中では、疑おうと思えばどれも疑わしい。
                  冢宰の趙運などは、泰麒が本当に麒麟であるのかまで疑い出す始末です。

                  泰麒が戻った白圭宮では、さまざまな思惑が交錯しています。これまでの戴国編を読むと阿選は「麒麟の角を切り、驍宗から王位を簒奪した極悪人」なのですが、阿選の配下でも「新王阿選」に素直に喜ぶ者がいるかと思えば、不安を感じているものもいます。

                  あるいは阿選によってうまい汁を吸ってきた連中は、泰麒が示した条件に右往左往し、なんとか阿選が王位につくよう画策するも、阿選には届かず、ますます混迷を極めていきます。

                  読めば読むほど、霧が深く、なかなか真相にたどりつけない、そんな不安を掻き立てられる二巻でした。

                  今後の予想


                  ここからは読んでみて引っかかった部分をもとに推理してみました。

                  使令が戻った?


                  作中、泰麒が「上を向いて膝をついたあと、床を見つめていた」という文があり、私はここで使令が帰ってきたのじゃないかと推理しました。

                  寒い庭にずっととどまっているのも、使令と連絡をとりあっているのでは…?

                  不気味な鳩の鳴き声


                  姿の見えない、建物の上にいるらしい鳩。この鳩がでてくるとき、どうもその周囲の人が「病む(魂が抜かれたような状態)」ようで、今回は最初に泰麒の世話にあたった平仲がその餌食となったような…?
                  この鳩が阿選が行う「傀儡廻し」との関係は…?

                  最大の謎


                  その他にも謎の少女・那利の主は誰なのか、琅燦の狙いはなにか、白幟の母子が目指す「奇跡をさずける道士」の存在、など、謎は多いのですが、最大の謎は「驍宗様の安否と居場所」「阿選の行動原理」です。

                  この二つの謎がどのようにして解かれていくのか、それとも謎のままなのか…



                  第四巻の表紙は阿選なんですかね…?彼を倒せばハッピーエンド、そんな近頃のファンタジーでは片付けられないのが十二国記の残酷さであり、魅力なんです。




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                  『白銀の墟 玄の月』第一巻 感想(ネタバレ)

                  2019.10.21 Monday

                  0
                    『白銀の墟 玄の月』第一巻、読了。圧倒される世界観と、そこに生きる人々の詳細で丁寧な描写、次の展開がまちきれず、ページをめくる手が止まらない。久々にそんな思いをさせていただきました。

                    現代のファンタジーと十二国記が違うのは、ここでは魔法やアイテムでラスボスを倒せば解決する、という単純なものではありません。理不尽な状況を変えられるのは唯一つ、人間たちの思いだけなのです。

                    読んでいくうち「敵」と言われる側の人間たちにもそれぞれの思惑があること、「正義」の側にもさまざまな考えがあることが語られます。



                    『白銀の墟 玄の月』第一巻あらすじ


                    泰麒と李斎が戴国へ戻ってくる。途中、驍宗の麾下で将軍だった英章の部下、項梁、阿選に意見したことで滅ぼされた道観の生き残り、去思と出会い、驍宗を探す旅に出る。

                    驍宗が行方不明になった当時の状況を追いながらも、行く先々で民の困窮を目にした泰麒は李斎と別れ、別行動をとることに…。

                    ここからネタバレ
                    いや、ネタバレしないと語れませんよ…

                    泰麒の決意


                    最初は李斎とともに驍宗を探すため戴に戻った泰麒でしたが、旅の途中で民の困窮を見て一つの決意をします。

                    それは、宿敵である阿選のいる白圭宮に戻ることでした。旅の途中で知り合った項梁だけをつれ、単身敵の中へ乗り込み、あろうことか自分を襲った阿選が「新王」だと宣言します。

                    「新王阿選」は本当なのか、それとも民の救済のための方便なのか…。そこもはっきりしません。ただ一つ言えることは「いちど地獄を見た者は強い」ということです。
                    目的のためには手段を選ばない、というか、周りが驚くような豪胆な策を打ってみせるのです。

                    同じく胎果である陽子、尚隆、六太も、過酷な環境下で生死の境を体験してます。
                    もう、泰麒は守られるだけの子供ではなく、自らの意思で希望を掴み取ろうとする青年に成長したんですね。


                    退廃の霧


                    阿選の仮朝は最初こそ機能していたものの、ちかごろでは阿選は政務に飽きたのか、表舞台に出てこず、冢宰の超運が牛耳っている。とはいえ、全体の指揮があやふやで、まるで霧の中にいるような状態が続いている。

                    また、官吏がいつの間にかいなくなり、傀儡のような意思のない者たちが宮中をうろついている。

                    読んでいるうち、あれ?この状態はどこかで読んだことがあるような…?たしか柳でも同じように王が政務を放棄し、官吏が好き勝手を始めていなかったか?

                    この状態は阿選の仕業なのか、それともなにか大きな不具合が十二国に起こっているのか…?謎が深まります。




                    『風の岸 迷宮の海』十二国記2 小野不由美

                    2019.10.20 Sunday

                    0
                      おもえばこれが、これまでの彼の人生の中で、一番幸せだった時かもしれない。
                      このあとに彼の運命を思うと、そう思わずにはいられません。

                      十二国記とは


                      ここで十二国記について軽くご説明を。
                      十二の国からなる異世界。そこでは生き物は卵から生まれる。それぞれの国に王がいて、王は麒麟が選ぶ。麒麟とは仁のけもので、人にも獣にも姿をかえられ、世界の中心部に位置する黄海で生まれる。

                      ときおり「触」と呼ばれる突発的な嵐により、卵は異世界「蓬莱(日本)」「崑崙(中国)」に流される。

                      『風の岸 迷宮の海』主人公・泰麒も、卵のうちに「触」で「蓬莱」流されてしまいます。




                      『風の岸 迷宮の海』あらすじ


                      高里要は祖母の折檻でだされた冬の庭で、白い腕に引かれて異世界にやってきた。蓬山と呼ばれるその場所で、自分は本当は「こちら」で生まれた戴国の「麒麟」、泰麒であると聞かされる。

                      「あちら」では、家族に疎まれ、周りとうまく馴染めないこどもだった泰麒は、すぐにこちらの世界に馴染んでいったが、麒麟としての能力が開花せず、周囲の期待に応えられないことに悩んでいた。

                      しかし、無情にも月日は流れ、黄海には選定を受けるべく昇山者たちが集まってくるが、泰麒はまだ、どうやって王を選ぶのかもわからないままだった…。


                      異世界は楽園か


                      最近のラノベでは「異世界に転送、または転生で成功」が流行りです。
                      自分とは何者なのか、もっとふさわしい場所があるのではないか。誰もがそう思い、自分の(都合のいい)居場所を追い求めます。

                      しかし、十二国記は甘くない。

                      「自分の居場所」は、選ばれたものにしか用意されておらず、その他の人間は異世界で苦労を強いられます。

                      一方、王や麒麟など「選ばれし者」が楽をできるかというと、そうはいかないのです。
                      十二国では「選ばれし者」なりの責務を、まったくの予備知識のないところから始めなくてはなりません。

                      責務を負わされるのに、そのすべがわからない。泰麒はそこで悩み、自分の判断に苦しみます。

                      けれど、選ばれなかった者はをひたすらそれを求め、選ばれし者に嫉妬する。

                      『風の岸 迷宮の海』と対をなす、蓬莱側からの視点で描いた『魔性の子』は、「選ばれし者」と、そうでないものの対比が描かれていてこちらもおすすめです。(ホラーですけど)




                      愛しいこども


                      読み返してみて、結局みんなが泰麒のことが大好きですね。世話をする女仙たちはもちろん、昇山者たち、あの仏頂面でツンデレ麒麟の景麒まで。

                      景麒の無愛想っぷりを心配した玄君に「景台輔は最初からお優しかったです。」って…!
                      ああそりゃみんな泰麒のこと好きになるに決まってる…!

                      景麒なんて『月の影影の海』で主人公の陽子を何の説明もせず異世界に拉致ったり、文句やため息ばかりのくせに泰麒に対しては自分の言葉の足りなさをわびています。

                      泰麒は自分を至らないものだと感じますが、その素直さ、正直さこそが、後に彼のために十二国を巻き込んだ救出劇につながっていくんですね。

                      これで、泰麒が性格の悪い子どもだったらきっと流されたままあちらで亡くなっていたでしょうしね。





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