2018.05.30 Wednesday

戦前の少女雑誌の美しさ『彼方の友へ』伊吹有喜

戦前、中原淳一や少女たちに絶大な人気を誇った雑誌『少女の友』をモチーフとした伊吹有喜さんの『彼方の友へ』

昭和十二年、憧れの雑誌『乙女の友』で働くことになった少女・波津子の成長と、憧れの編集部の人々や当時の雑誌づくりの様子が戦争へと向かう当時の情勢とともに描かれていきます。

彼方の友へ
彼方の友へ
posted with amazlet at 18.05.29
伊吹 有喜 実業之日本社 売り上げランキング: 148,605


『彼方の友へ』あらすじ


卒寿を超え、老人福祉施設で暮らす佐倉ハツ(波津子)。ある日彼女に美しいカードの贈り物が届く。それはかつての少女雑誌『乙女の友』の付録『フローラ・ゲーム』だった。

昭和十二年。行方不明の父に変わり家計を支えるため、波津子は音楽家の女中をしていた。密かな楽しみは印刷所につとめる幼なじみが内緒で持ってきてくれる『乙女の友』だけだった。
ある時遠縁のおじから『乙女の友』編集部での仕事を紹介される。しかし、男子社員を望む有賀主筆からも編集部からも疎まれ、波津子は途方に暮れるが、憧れの挿絵画家・長谷川純純司だけは彼女をかばってくれた。

波津子は編集部で働くため、おさげ髪を切り落とし、自転車を駆り、有賀たちの役に立つため奮闘する。

昭和十五年、雑誌の人気挿絵画家であり、波津子の理解者でもある長谷川純司が「(戦争の)時流にそぐわない」と雑誌を降板することになる。

昭和十八年、戦争が激化するにつれ、仲間や友人、美しい詩や絵が波津子の周りから消えてゆき、さらに憧れの有賀も出征することになり…

『少女の友』


モデルとなった『少女の友』は、吉屋信子、川端康成など、当時一流の作家が寄稿し、少女雑誌の枠を超えた文化レベルの高い雑誌でした。作家の田辺聖子さんも愛読していたそうです。

『少女の友』創刊100周年記念号 明治・大正・昭和ベストセレクション

中古価格
¥751から
(2018/5/30 17:33時点)




シンデレラも楽じゃない


波津子の人生は、貧しい女の子が苦難を乗り越えて幸運を掴む、シンデレラストーリーではあるのですが、実は憧れの人と働ける幸運を手にしてからのほうが大変でした。

女の子だと舐められて原稿を渡してもらえないし、有賀を慕う女流作家からは疎まれるし、学歴がないため恥ずかしい字の間違いしたりと波津子の編集部での仕事は前途多難、悪戦苦闘の連続です。

遊びで書いた物語が採用されて雑誌連載を依頼されてもプレッシャーで原稿を落としたり、周りからは批判されてしまいます。現代とは違い、働くことになれていない昭和初期の女の子ですから、かなりの重圧だったでしょう。

けれども、波津子はがんばります。それは支えてくれた有賀主筆のため。有賀が戦争に行ってからは雑誌の灯火をけさないよう、必死で雑誌を守り続けます。

最後はちょっと報われたかな。それにしても戦争は美しいものを根こそぎに奪い取っていきますね。
戦争によって文化奪われていく恐怖、不安感が読んでいてひしひしと伝わってきます。

美しい昭和の雑誌付録


戦前の『少女の友』付録を復刻した『少女の友』中原淳一 昭和の付録 お宝セットは、『彼方の友へ』に登場する「フローラ・ゲーム」のモデルとなった「フラワーゲーム」のほか、花言葉のしおり付きカード、すごろくなど。

当時の少女たちは、たとえ美しいものが禁止されても、隠したり、疎開させたりして雑誌を守り通していたそうです。

『少女の友』中原淳一 昭和の付録 お宝セット

新品価格
¥15,119から
(2018/5/29 23:06時点)




欲を言うなら、「男装の麗人」はいらなかった


伊吹有喜さんは大好きな作家なのですが、モデルとなる人物が実在する場合、モデルの個性に登場人物が引っ張られているように感じ、そこがちょっと引っかかってました。(『カンパニー』のE○ILEとか、熊○哲也とか)

でも、今回は中原淳一や川端康成という実在の人物をモデルとしていても、違和感なく物語に入ることができました。

あえて言うなら「男装の麗人・翡翠」はいらなかったかも。あの当時男装の麗人といえば女スパイ川島芳子しか思い浮かびませんし、彼女は個性が強すぎるので扱いが難しい。登場も中途半端な気がします。スパイ云々の描写がなくても、「乙女の友」の編集部の物語だけで十分だったのではと思うのですが。

男装の麗人・川島芳子


川島芳子は清朝の王族で日本人の養女となり、清朝復活のため日本のスパイとなった有名な人物。その人生は何度もドラマ、映画、舞台で演じられています。

男装の麗人・川島芳子伝 (文春文庫)

中古価格
¥40から
(2018/5/30 17:02時点)




有賀主筆のその後についても気にかかるところですし、ぜひ別の視点でスパイ仕立ての「彼方の友へ」続編を書いてこのモヤモヤをすっきりさせていただければと思います。

JUGEMテーマ:オススメの本



伊吹有喜作品 感想


『彼方の友へ』
『今はちょっと、ついてないだけ』
『BAR追分』
BAR追分シリーズ2『オムライス日和』
BAR追分シリーズ3『情熱のナポリタン』
『ミッドナイト・バス』
『なでし子物語』
『風待ちのひと』

2018.04.11 Wednesday

八咫烏シリーズ外伝『まつばちりて』阿部智里

人に变化する力をもつ八咫烏の世界を描いた、八咫烏シリーズ外伝『まつばちりて』読了。本編『烏は主を選ばない』の登場人物・松韻の物語です。

※八咫烏シリーズ外伝は、2018年現在、電子書籍のみの販売です。
自分にあった電子書籍えらびのコツ

Amazon Kindle版

八咫烏シリーズ外伝 まつばちりて【文春e-Books】




楽天Kobo版

八咫烏シリーズ外伝 まつばちりて【文春e-Books】【電子書籍】[ 阿部智里 ]

価格:200円
(2018/6/20 21:58時点)
感想(0件)




烏は主を選ばない

『まつばちりて』あらすじ


八咫烏の世界「山内」でも下層の「谷合」、そこの娼家で生まれた「まつ」は女郎になる運命を背負った少女だった。しかし、金烏の正妃・大紫の御前に見出され朝廷で働く「落女」となるよう教育を受ける。「落女」とは女の戸籍を捨て、男の名で務める官吏のことだった。

やがてまつは松韻と名を変え、大紫の御前に使える落女として出仕する。しかし、朝廷には彼女に対抗する蔵人・忍熊がいた。ことあるごとに対立しつつも、お互いの才覚を認め合うふたりだったが、ある時忍熊からの「松韻を還俗させ、わが妻にしたい」と驚くべき申し入れにより、松韻の運命は大きく変わっていくことに…。

声に出さない、大人の恋愛


これまでの外伝は若者たちの片思いや友情、あるいは家族の物語であったのですが、これは大人の濃厚な愛の物語です。

松韻は大紫の御前派、忍熊は敵対する派閥。愛の言葉など交わしたことがない、決して交わらない松韻と忍熊の愛はだからこそ濃密で美しくもあり、そして悲しくもあります。

相手の書く文字の美しさ、力強さに惹かれたり、対立をしつつも一定の安定感を保っている関係は、声に出してしまっては成立しないのかもしれない。松韻が窮地に陥った時、忍熊がとった行動はほかの誰にもわからなかったけれど、松韻にだけは伝わっていた。だからこそ松韻も、その愛に応えたのでしょう。

大人の悲恋は美しく、悲しかったのですが、欲を言えばもっと朝廷でのエピソードや、2人の関係をもっと書いておいてほしかったかな。短編だから仕方がないのだけど、後半ちょっと性急過ぎる気も…。

文字や和歌で心を交わすのは、平安貴族も同じですね。「超訳百人一首 うた恋い。」の清少納言と藤原行成を思い出しました。
超訳百人一首 うた恋い。3

超訳百人一首 うた恋い。3
杉田 圭 KADOKAWA/メディアファクトリー (2012-04-17)売り上げランキング: 74,480


この物語では、女を捨てて男として出仕する「落女」という設定が興味深いです。中国宮廷の宦官と似ているようだけれど、あれは「男の機能」を捨てるだけなので、またちょっと違うかな。
女が男の仕事をする、というのはよしながふみさんの「大奥」シリーズに近いのかもしれません。

大奥 1~最新巻セット(JETS COMICS )
売り上げランキング: 123,438



いよいよ八咫烏シリーズ外伝『烏百花 蛍の章』の発売が決まりました。これまでの短編に加えて書き下ろしも。

烏百花 蛍の章 八咫烏外伝

新品価格
¥1,512から
(2018/5/2 01:00時点)




八咫烏シリーズ


『烏に単衣は似合わない』
『烏は主を選ばない』
『黄金の烏』
『空棺の烏』
『玉依姫』
『弥栄の烏』
外伝『すみのさくら』
外伝『しのぶひと』
外伝『ふゆきにおもう』
外伝『まつばちりて』
外伝『あきのあやぎぬ』

JUGEMテーマ:ファンタジー



2018.02.20 Tuesday

『眠る盃』向田 邦子

相変わらずはまっっている向田邦子。『眠る盃』は向田邦子さんの各種雑誌に寄稿されたエッセイ集なのですが、すごいんですよこれが。

その雑誌が多種多様。名エッセイ『父の詫び状』を発表した『銀座百点』から文春などの文学雑誌から、『anan」、『ジュノン』などの若い女性向けの雑誌、『マダム』から『わたしの赤ちゃん』まで。あらゆるジャンルの傾向にあわせたテーマで書かれているのもすごいけれど、それでいて向田さんらしさが文章からにじみ出ていている。

そういえば今の作家さんて文芸雑誌以外でエッセイを書くのをあまりみたことがないような。(私が知らないだけかな?)こうして出されるさまざまなお題に対して、肩肘張らず、すうっと入り込める文章を書けるなんて、やはりこの人はすごい。

新装版 眠る盃 (講談社文庫)
向田 邦子 講談社 (2016-01-15)売り上げランキング: 218,023


眠る盃


タイトルにもなった名エッセイ。「眠る盃」とは向田邦子さんが滝廉太郎の「荒城の月」の歌詞「めぐる盃 」を「眠る盃」と勘違いをしていたこと、「自分はよく勘違いをして覚えている」と続くのだけど、面白おかしいのかと思いきや、このあとの文章が実に美しいのです。

「眠る盃」から連想された話は、昭和の向田家の酒宴の思い出につながり、春の夜、酔客が帰ったあと眠りこけた父親と世話をする母親、父の膳には酒の残った盃が置かれている。まるで詩のように美しい。
「酒と水とは違う。ゆったりと重くけだるく揺れることを、このとき覚えた」

以来、日本酒を飲むたびこの一文を思い出しています。


ツルチック


アマゾンに旅した際、現地の飲み物で思い出した「ツルチック」なる飲み物。向田さんが幼い頃父親がどこからか手に入れてきたらしい。家族に聞いてもわからず幻の飲み物のようだったが、雑誌に掲載された途端、多くの人から「知っている」との連絡が来た。

「ツルチック」は「ツルチュク」という朝鮮半島でつくられた飲み物らしいということがわかり、関係者が様々な情報や資料が送られてきた。中には詩人の谷川俊太郎氏もいた。

というお話なのだけど、驚くのは向田宅に一般の人からたくさんの電話や手紙が送られてきたこと。当時はまだ、個人情報やストーカー規制などがなかったとは言え、絶え間なく電話がかかってくるのは大変だったでしょうねえ…。


ananに掲載された男性鑑賞法


向田邦子さんが様々なジャンルの男性を紹介する文章。俳優や脚本家など芸能界の人間はもちろんですが、美術商や馴染みの魚屋まで、登場する男性の職業もさまざま。(実は魚屋さんの人生が一番意外で面白かったりする)
今だったら絶対企画通らないだろうな…。

当時のanan読者たちはこんな贅沢な文章が雑誌で読めたのがうらやましい限りです。

悼む人の仲間入り


もう40年近くも前に飛行機事故で亡くなられた向田邦子さん。文庫の解説でも名だたる著名人たちがその早すぎる死を何度となく悼んでいます。おそらくファンの方々も何度となくそう思ってきたことでしょう。
私もまた、その一人に加わりたいと思います。

新装版 父の詫び状 (文春文庫)
向田 邦子
文藝春秋
売り上げランキング: 10,594

2018.02.07 Wednesday

八咫烏シリーズ外伝『ふゆきにおもう』(ネタバレ)

八咫烏シリーズ外伝『ふゆきにおもう』。『烏は主を選ばない』の主人公・雪哉の出生にまつわる物語です。

『烏は主を選ばない』から八咫烏シリーズの重要な役割を担ってきた雪哉。一見、明るく飄々としているけれど、俯瞰的に物事をみる目と、明晰な頭脳を持つ少年で、若君からの信頼も厚い。

そんな彼の能力は、実は2人の母親から受け継いだものでした。

『ふゆきにおもう』あらすじ


北領・垂氷郷の郷長の下の息子2人が行方知れずになった。母親の梓は必死で探すものの見つからない。そんな時・息子雪哉とその母親・冬木の噂を耳にした梓は、北本家の姫・冬木のことを思い出す。

梓は昔、冬木に仕えていた侍女だった。冬木は病弱ゆえ、意地のわるいところがあったが、梓のように気に入ったものや、小さく無垢なものにはやさしかった。そして、俯瞰的に物事を見る目と、明晰な頭脳を持っていた。

ある時2人の前に垂氷郷の嫡男・雪正が現れた。健康的で誠実な雪正に惹かれた冬木をおもい、梓は雪正と冬木の縁談を申し出る。しかし、雪正が思っていたのは梓の方で…

Amazon Kindle版

八咫烏シリーズ外伝 ふゆきにおもう【文春e-Books】




楽天Kobo版

八咫烏シリーズ外伝 ふゆきにおもう【文春e-Books】【電子書籍】[ 阿部智里 ]

価格:200円
(2018/6/23 00:03時点)
感想(0件)




2人の母


『烏は主を選ばない』では、雪哉の母は侍女だった梓と夫雪正へのあてつけとして、無理やりに雪哉を産み落として死んでいった、と語られました。

けれども、そこには冬木の計算があったのです。ただ純粋に自分の子を生みたい、という思いと梓への信頼。自分が死んだあと梓が雪哉を守ってくれるだろうと。だから2人を恨む芝居を打って雪哉を産み落としたのでした。

このふゆきの計算高さと、自分の評価より目的を優先する行動力、それが雪哉に受け継がれたのでしょうね。

『しのぶひと』で結婚相手の条件として「自分に何かあった時頼れる実家があり、夫婦間に恋愛感情を持ち込まないこと」という表現も若宮の影響もありますが、やはり冬木の遺伝なのでは。

そしてもう一人の母、梓からは思いやりと思いやりを受け継いだ気がします。
この母がのおかげで、雪哉は垂氷郷でなんとかやっていけたのだし、『黄金の烏』でも相手への思いやりについて教えられています。(その時は暴走しましたが…)



いよいよ八咫烏シリーズ外伝『烏百花 蛍の章』の発売が決まりました。これまでの短編に加えて書き下ろしも。

烏百花 蛍の章 八咫烏外伝

新品価格
¥1,512から
(2018/5/2 01:00時点)





八咫烏シリーズ


『烏に単衣は似合わない』
『烏は主を選ばない』
『黄金の烏』
『空棺の烏』
『玉依姫』
『弥栄の烏』
外伝『すみのさくら』
外伝『しのぶひと』
外伝『まつばちりて』
外伝『あきのあやぎぬ』

2018.02.03 Saturday

八咫烏シリーズ外伝『すみのさくら』

八咫烏シリーズ外伝。第一巻『烏に単衣は似合わない』の系列物語。南家の姫・浜木綿の子供時代のお話です。

『すみのさくら』あらすじ


浜木綿は南家の姫でありながら、両親が政権争いに敗れて殺されたため山烏として育った過去があり、その際に若宮とも面識があった…というのが『烏に単衣は似合わない』で語られた過去で、では実際にどんな事情があったのか、浜木綿はどんな風に変わっていったのかが描かれます。

南家当主の姫として何不自由なく育てられた浜木綿でしたが、ある日突然その身分を剥奪され、山寺で暮らすことになる。混乱の中、おじの融が両親を殺したとの噂を聞き、ひとり復讐に向かうのだがあえなく失敗。
失意の中すごすうち、ある日上皇につれられ若君が寺にやってきて…

後に浜木綿は自分が生き残ったのは周囲の人達の情があったからこそだと知ります。なるほど確かにこの人の芯の強さは一度地獄をみたからでしょう。

だからこそ、若君も伴侶として選んだんだろうな。

Amazon Kindle版

八咫烏シリーズ外伝 すみのさくら【文春e-Books】




楽天Kobo版

八咫烏シリーズ外伝 すみのさくら【文春e-Books】【電子書籍】[ 阿部智里 ]

価格:200円
(2018/6/25 01:04時点)




いよいよ八咫烏シリーズ外伝『烏百花 蛍の章』の発売が決まりました。これまでの短編に加えて書き下ろしも。

烏百花 蛍の章 八咫烏外伝

新品価格
¥1,512から
(2018/5/2 01:00時点)




八咫烏シリーズ


『烏に単衣は似合わない』
『烏は主を選ばない』
『黄金の烏』
『空棺の烏』
『玉依姫』
『弥栄の烏』
外伝『すみのさくら』
外伝『しのぶひと』
外伝『ふゆきにおもう』
外伝『まつばちりて』
外伝『あきのあやぎぬ』

JUGEMテーマ:電子書籍



2018.01.31 Wednesday

八咫烏シリーズ外伝『しのぶひと』(ネタバレ)

人型をとる八咫烏の世界を描いた阿部智里先生の『八咫烏シリーズ』。2018年現在、第一シリーズが完結。さらに次のシリーズが予定されています。

不思議な八咫烏の世界の描写と、先が読めないミステリ仕立てのファンタジーが魅力の、このシリーズは現在6巻まで刊行されていますが、それとは別に外伝として短編がいくつか出ています。ただし、今現在は電子書籍のみなので、電子書籍を扱うネットショップ等での購入、スマホやPCでの閲覧に限られます。
国内最大級の品揃え【DMM.com 電子書籍】


『しのぶひと』あらすじ


若宮・奈月彦を守るため、地方豪族の次男坊・雪哉は王の護衛「山内衆」の養成学校、勁草院へ入学する。

物語は雪哉が勁草院にいた第4シリーズ『空棺の烏』の頃のお話。
端午の祭祀にみごとな弓射を披露した雪哉。若君の正妃・浜木綿の君に仕える女官・真赭の薄(ますほのすすき)は、そんな雪哉の成長を微笑ましく見つめていた。

しかし、出家している身(実際に尼になるわけではない)とはいえ、かつては若宮のお后候補となるほどの美貌の真赭の薄は、祭祀の際に貴族たちから見初められて縁談が舞い込んできた。彼女の行く末を案じた若宮と浜木綿の君は、ある人物の助言から彼女の縁談の相手に雪哉を指名したのだが…。

Amazon Kindle版

八咫烏シリーズ外伝 しのぶひと【文春e-Books】




楽天Kobo版

八咫烏シリーズ外伝 しのぶひと【文春e-Books】【電子書籍】[ 阿部智里 ]

価格:200円
(2018/7/10 16:40時点)



ここからネタバレ感想


『玉依姫』に至る前のつかの間の平和な日々に、こんなことが起こっていたんですね。実は雪哉と真穂の薄の縁談を助言したのは若君の側近・澄尾でした。
そのことが後に真赭の薄にバレてこっぴどく嫌われるのですが…。澄尾、不器用だなあ…。

このあたりのストーリーが『弥栄の烏』へつながっていくわけですね。

そして澄尾の気持ちを唯一察したのが真赭の薄の弟、明留だったとは。おぼっちゃんと思っていたけれど、なかなかどうして、人の気持ちを察することのできる子なのだな。

結局、この縁談は真赭の薄が嫌がりお流れになりましたが、雪哉の妻に求める条件が「政治的な選択で裏切るかもしれない、夫婦間の恋愛感情は必要ない。」など、まるでどこかの主みたいな言い草なんですね。

まあ、彼なりに相手を思っての言葉ではあるのですが、この主従似たもの同士だわ…。

いよいよ八咫烏シリーズ外伝『烏百花 蛍の章』の発売が決まりました。これまでの短編に加えて書き下ろしも。

烏百花 蛍の章 八咫烏外伝

新品価格
¥1,512から
(2018/5/2 01:00時点)




おまけ


八咫烏シリーズを読むと、阿部智里先生は本当に『十二国記』がほんとに好きなんだろうなあ、と感じます。若君たちが住む中央の山は十二国記の王たちが住む凌雲山に似ているし、今回出てきた端午の祭事で陶器の鹿を撃つ弓射は十二国記『丕緒の鳥』の鳥に見立てた陶製の的を射る儀式・大射を思わせます。

同じモチーフを使っていても、アウトプットでは全く異なる話になるのがが面白いところですね。

丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫)
小野 不由美 新潮社 (2013-06-26)売り上げランキング: 11,862


八咫烏シリーズ


『烏に単衣は似合わない』
『烏は主を選ばない』
『黄金の烏』
『空棺の烏』
『玉依姫』
『弥栄の烏』
外伝『すみのさくら』
外伝『ふゆきにおもう』
外伝『まつばちりて』
外伝『あきのあやぎぬ』





JUGEMテーマ:最近読んだ本

2017.12.14 Thursday

『活版印刷三日月堂 庭のアルバム』ほしおさなえ

思えば近頃、私たちの周りにはデジタルなもので溢れている。フィルムカメラはデジカメに、活版印刷はオフセットからデジタルに。アナログの機器は制限が多く、人はより便利に、きれいにするため技術を発達させてきたけれど、気がついたら私たちの周りからは質感が消えていました。

さわり心地や重さ、匂いなど視覚以外の感覚。それらをもつのが「物体」なのかもしれない。
逆に若い人たちの間では、物体として残せるフィルムカメラや活版印刷が流行っているのだといいます。

『活版印刷三日月堂』は、そんな手に取ることができる「もの」を活字にたくして伝えているのかもしれません。


([ほ]4-3)活版印刷三日月堂 庭のアルバム (ポプラ文庫)
ほしおさなえ ポプラ社 (2017-12-05)売り上げランキング: 4,279


『チケットと昆布巻き』 大切な場所の話。


観光雑誌「めぐりん」の記者・竹野は、友人の結婚式で再会した同級生たちと自分を比べ、仕事や収入将来について引け目を感じた。そんな時、取材時に紹介された三日月堂を取材することになり、竹野は弓子さんに「どうして活版印刷をはじめたのか」と質問をする。

弓子さんが活版印刷をはじめた理由が語られます。家族が早くに亡くなってしまった弓子さんにとって三日月堂とは、弓子さんが家族とつながっていられる大切な場所だったんですね。
三日月堂はお客さんとのつながりが深いし、三日月堂に集まる人が多くて気がつかなかったけれど、そういえばこの人は天涯孤独だったのだと思い出しました。

この話を読んで、自分の大切な場所について考えてみました。私にとっての三日月堂は、実家の工場です。自営業だったので、家の裏に工場があり、入ると大きな機械の動く音や油の匂いがしていました。もう取り壊してしまったけれど、今でもときおり思い出します。

この章に登場するレトロな雰囲気の市民シアター「シアター川越」は「川越スカラ座」がモデル。実際にイベントで使用したり、映画とのタイアップ企画などにも力をいれています。




『カナコの歌』家族の思い出


「めぐりん」に掲載された三日月堂と弓子さんの記事をみつけた、弓子さんの母・カナコさんの同級生・聡子。カナコさんの生きていた思い出を伝えるため、彼女は三日月堂を訪れます。
闘病のこと、死の恐怖から逃れるように書いていた短歌のこと。

弓子さんはお母さんを早くに亡くしたため、思い出らしい思い出を持たなかったけれど、こうしてお母さんを知る人から伝えられることで、思い出を追加してゆくことができてよかったですね。聡子さんたちにとってもカナコさんのことを思い出せるいいきっかけになったようです。
人は、思い出を作り出すことができるんですね。自分のためにも、誰かのためにも。


『庭のアルバム』道を見つける


母親がもっていたカナコさんの歌カード(弓子さんが印刷した)に興味をもった高校生の楓。学校生活に馴染めない彼女は三日月堂での活版印刷ワークショップをきっかけに、弓子さんからイベント用のカードのデザインを任されることに。

楓がちょっと苦手な父方のおばあちゃんの家の庭で、カード用のスケッチをしていると、苦手だったおばあちゃんの意外な一面を垣間見ることができて…。おばあちゃんと孫の交流、「西の魔女が死んだ」を思い出しました。

学生の時ってなにがきっかけか、自分でもわからない方向に行ってしまうことがありますよね。楓さんも弓子さんと活版印刷に出会うことで自分の進むべき道を見つけられたみたいです。

『川の合流する場所で』新しい流れ


弓子さんが活版印刷のイベント出会った岩手の印刷会社の会長とその親戚の青年・悠生。話を聞くと三日月堂にある大型印刷機械もあるという。弓子さんは機械をみるため岩手へ。それは機械の視察のほかにもうひとつ目的があって…

今回ご縁ができた盛岡の本町印刷。そこでいよいよ大型機械を動かすことができました。そこには青年の祖父である前会長の込めた思いが活字に組まれていて、それをかたちにすることができたことで、悠生にも弓子さんにも新たな流れがきているのかもしれません。

願わくば、人をつなぐ手を持つ優しく孤独な女性に、幸せが訪れますように。


『活版印刷三日月堂』とコラボした作られた『大人の科学マガジン 小さな活版印刷機 (学研ムック 大人の科学マガジンシリーズ)』。

物語に登場した「テキン」での活版印刷が自分でもつくれます。ひらがなとカタカナだけですが、これからの季節、年賀状に活版印刷でひとこと添えるのにもいいですね。





([ほ]4-2)活版印刷三日月堂: 海からの手紙 (ポプラ文庫)
ほしお さなえ ポプラ社 (2017-02-03)売り上げランキング: 21,070


([ほ]4-1)活版印刷三日月堂 (ポプラ文庫)
ほしお さなえ ポプラ社 (2016-06-03)売り上げランキング: 14,539



『活版印刷三日月堂 星たちの栞』
『活版印刷三日月堂 海からの手紙』→
『活版印刷三日月堂』の舞台を訪ねて→

JUGEMテーマ:最近読んだ本



2017.11.29 Wednesday

珠玉の短編とエッセイ『男どき女どき』向田 邦子

『父の詫び状』を読み、すっかりハマった向田邦子。続いて読み始めたのが『男どき女どき』。小説とエッセイが収録されている短編集。向田さん最後の作品集。

大人になるということは、秘密を抱えながら生きることなのだ


『男どき女どき』の小説は、家族には言えない秘密を、静かに淡々と隠しながら日常を過ごす人たちの話が描かれます。小さいころに向田ドラマを見た時、大人とはこんなにも秘密が抱え、それを隠しながら生きているものなのか、と感じたものです。

大人になるということは、そんな、人に言えない秘密を抱えながら生きることなのだ。それがとても恐ろしいような、ドキドキするような。

男どき女どき (新潮文庫)
向田 邦子 新潮社 売り上げランキング: 77,330


しかし、いざ大人になってみたものの、そんなな秘密とは無縁で平々凡々たる日々を過ごしております。向田ドラマに登場するような大人の秘密は実は選ばれた人間しか持ちえないものなのだ、とようやく気がつきました。(そりゃそうか。)

思えば向田作品は、私にとって大人になる通過儀礼だったのかもしれません。今ではあまりテレビで向田作品を目にすることは少なくなりましたが、こうやって本を手に取ると、なんだか子どもの自分が人の秘密を垣間見たような、そんなドキドキと落ち着かない気持ちになります。

最初に掲載された短編「鮒」は、まさにそんな「大人の秘密」がつまった話。読むと心がざわざわします。

平凡な家庭の団欒に突如おかれた鮒。どうやら男の浮気相手が飼っていた鮒のようだ。捨てようとしたが幼い息子が育てると言い出し、家で飼うことになった。不安になった男は息子をつれ、かつての女のアパート付近を訪ねてみるが女はおらず、帰ると鮒が死んでいた。どうやら妻は感づいていたらしい。息子は母が殺したのではと疑い…

男は秘密を隠し、女は秘密を知っていることを隠す。これを家庭で普通にやっているのだから、恐ろしい。

久しぶりにみた向田邦子新春シリーズは、やはり秘密の匂いがした。

向田邦子X久世光彦スペシャルドラマ傑作選(昭和57年~昭和62年)BOX [DVD]

新品価格
¥78,000から
(2018/4/20 23:24時点)



ネットで気軽にDVD・CDレンタル「ゲオ宅配レンタル」

向田邦子新春シリーズドラマ「男どき女どき」

○の書かれた葉書


後半はエッセイで、猫好きとして知られていた向田さんの飼い猫の話や、日々のこと、家族の話などが語られます。
なかでも印象的だったのが、「○の書かれた葉書」にまつわる話です。

戦争中、向田さんの末の妹が疎開することになり、まだ字がかけない妹に、父親は自宅の住所を書いた葉書をたくさんもたせ、「元気なら○を書いて送ること」と言って送り出します。しかし、最初は大きかった葉書の○が次第に小さくなっていき、☓が書かれ、最後は葉書も届かなくなり、病気でやせ細って帰ってきた妹を、父親が抱きしめて号泣する…というお話です。

このエピソードは、他の漫画などでもモチーフとして使われていたので知っていたんですが、元ネタが向田さんだったんですね。こんな細やかな愛情を見せられたら、どんなに頑固で独裁的な父親でも憎めないでしょう。

書店員 波山個間子(1) (it COMICS)
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス (2017-02-15)売り上げランキング: 67,371

「書店員 波山個間子」ブックアドバイザーの波山さんがお客さんからの漠然とした要求をうけ、膨大な知識と経験で、みごとお客さんが読みたかった本が向田邦子作品だということにたどり着きます。


娚の一生 コミック 全4巻 完結セット (フラワーコミックス)
西 炯子 小学館 売り上げランキング: 26,025


年の離れた男女の恋愛を描いた『娚の一生』では、主人公の海江田とつぐみが親に捨てられた遠縁の子どもを預かり、一緒に暮らすうちに情がうつって家族として暮らそうと思った矢先、反省した親が迎えに来る。海江田はその子に住所を書いた葉書を渡して、元気なら○を書いてポストに入れろと言って送り出します。

JUGEMテーマ:最近読んだ本

2017.11.17 Friday

案の定、はまってしまった向田邦子『父の詫び状』

昔、向田邦子新春ドラマシリーズをみたことがあります。お正月に放送されたそのドラマは、たいてい戦争前の時代で、女系家族の穏やかで静かな生活が描かれる一方で、その家の長女(もしくは母親)が人に言えない相手との道ならぬ恋に落ちるストーリーに、こどもごころにスリルとエロさを感じました。

淡々とした日常と、そこに潜む秘密。そんな艶っぽいドラマを描いた脚本家・向田邦子さんの名エッセイ『父の詫び状』。読むと絶対にハマってしまうだろうと、今まで読まなかったのですが、手に取る機会があり読んでみたところ、案の定でした。また読みたい本が増えてしまった…。

新装版 父の詫び状 (文春文庫)
向田 邦子 文藝春秋 売り上げランキング: 13,423


昭和の暮らし


向田邦子新春ドラマだったと思いますが、空襲のあと家族が生き延び、家も無事だったとき、隠しておいた食材を使って、お芋の天ぷらや砂糖入りの紅茶といった、ささやかで豪華な晩餐をひらくシーンが印象的でした。

実はこれって、向田さんご自身のエピソードだったんですね。『父の詫び状』を読んで初めて知りました。空襲のあと、とっておいた食料で同じように晩餐をひらいています。

向田さんのエッセイには、ほかにも子供の頃のおやつの思い出、子どもたちが寝静まったあと、大人だけで食べる果物、それを時々わけてもらったこと。そんな、食べ物にまつわる話が多く出てきます。

戦前の暮らしはとても静かで淡々としているけれど、時計のコチコチとした音や、母親が鉛筆を削る音、優しい生活の音に囲まれてとても美しいものでした。


また、『父の詫び状』の中には、タクシー運転手にお金と間違えて家の鍵を渡して誤解されたり、留守番電話をつけたら黒柳徹子さんが何度もかけてきて喋り倒した挙句、用事を言わなかった、というエピソードはドラマ「トットテレビ」でも描かれています。

向田邦子さん役はミムラさん。いい雰囲気でした。

トットてれび DVD-BOX
トットてれび DVD-BOX
posted with amazlet at 17.11.13
ポニーキャニオン (2016-11-23)売り上げランキング: 10,261


懐かしい昭和の父親


エッセイの中に出てくる向田さんの父親は、典型的な昭和の父親でした。見栄張りで家族には居丈高で尊大。気に入らないことがあれば怒鳴り散らす。子供である向田さんにも、正月客の宴を手伝わせたりしていました。

ただ、そんな居丈高な父親でも、時折ふとみせるやさしさや弱さを、向田さんはその鋭い感性で拾い上げて描き出しています。思えば昭和という時代には多かれ少なかれ、向田家のような頑固で強い父親がいたものです。
私の父もそうでした。

『父の詫び状』は向田さんの家族の思い出であるとともに、昭和の父親を持つ読者にも、自分の父親を懐かしむことのできるエッセイでした。

寺内貫太郎一家 期間限定スペシャルプライス DVD-BOX1
TCエンタテインメント (2016-05-25)売り上げランキング: 26,761

2017.10.25 Wednesday

部屋にまつわる謎、あります。『物件探偵』乾くるみ

最後のページですべてをひっくり返したすごいミステリ『イニシエーション・ラブ』の乾くるみさんがの『物件探偵』。物件にまつわる謎を風変わりな不動産探偵、不動尊子が解き明かしていく短編集です。

各章のタイトルがそのまま物件情報と間取り図になっているのが面白い趣向です。

異色の探偵・不動尊子


これまでも『東京ロンダリング』など不動産に関わる小説は読みましたが、『物件探偵』が扱うのは主に不動産。
部屋の借り主や持ち主が(そうとは知らずに)抱えることになったトラブルを勝手に解決していきます。

彼女は毎回宅建認定証を印籠がわりに、トラブルを抱える物件に乗り込み勝手に推理を始めてしまいます。どうやら多くの不動産を扱ううちに、その家の気持ちがわかるようになったらしいのです。
部屋の借り主や持ち主のもとを訪れては「部屋が泣いています。」などと、部屋の気持ちを代弁し強引にあるべき姿に整えていく。しかし、その経歴は(宅建資格)以外はほとんど謎に包まれています。

物件探偵
物件探偵
posted with amazlet at 17.10.24
乾 くるみ 新潮社 売り上げランキング: 221,493



身近なのに難解な不動産業界


家を借りたり、買ったりという行為、私たちは普段当たり前に行っていますが、とても大きな金額を扱うのに、そうした契約時の手続きは正直よくわからないことが多く、不動産屋さんの言うとおりに書類を書いて捺印してしまっています。

しかし世の中には悪質な悪質不動産屋もいて、物語ではそんな詐欺事件も扱っています。投資用に物件を相場より高く売りつける詐欺や、自分の横領を隠すために住人を追い込んだりと、恐ろしい不動産業界の裏側が見えてきます。

そんな悪質な被害をうけないためには、やはり私達も勉強が必要ということですね。

ところでこの「物件探偵」読みながら不動産の勉強にもなります。バルコニーとベランダのの違い、心理的瑕疵物件とはいわゆる事故物件で借り主に告知の義務があるなど、実際に役立つ知識も。

『イニシエーション・ラブ』でも感じたけれど、乾くるみさんはこうした理系の解説がとてもうまくてわかりやすいですね。

JUGEMテーマ:最近読んだ本



レビューポータル「MONO-PORTAL」


Calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>

オススメ

Archive

Recommend

Recommend

Recommend

Recommend

Selected Entry

Comment

  • バリューブックスで古本買取。送料無料で簡単。
    日月
  • バリューブックスで古本買取。送料無料で簡単。
    latifa
  • 「無伴奏ソナタ」 オースン・スコット・カード
    kazuou
  • いよいよ完結『ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~』三上 延
    latifa
  • [映画]箱入り息子の恋
    苗坊
  • BAR追分シリーズ『オムライス日和』 伊吹有喜
    日月
  • BAR追分シリーズ『オムライス日和』 伊吹有喜
    Fe
  • [ハッカ油活用法]綿棒より簡単!ベビーパウダー+ハッカ油スプレー
    日月
  • [ハッカ油活用法]綿棒より簡単!ベビーパウダー+ハッカ油スプレー
    牛くんの母
  • 活版印刷がつなぐ物語『活版印刷三日月堂 海からの手紙 』
    日月

Link

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM