「北里大学獣医学部 犬部!」 片野 ゆか

2013.10.20 Sunday

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    前から気になっていた「北里大学獣医学部 犬部! (ポプラ文庫)」を読みました。物語だとおもっていましたが、実在する動物愛護サークルを取材したノンフィクション。けれど、下手な小説よりも感動させられます。

    北里大学獣医学部にある「犬部」は、捨てられたり、保護した犬や猫の世話をし、新たな飼い主を探す活動をするサークル。とはいえ、その行動は、サークルなどどいう生易しいものではなく、部屋は保護した動物たちで溢れかえり、治療費や薬代で部費もかさむ。

    それでも「犬バカ」(猫、うさぎも含む)を自称する彼らは、自分の生活よりも、犬達の幸せを優先させていく犬部の活動にのめり込んでいきます。でてくるエピソードひとつひとつが泣けます。

    育児放棄された子犬たちを育てるため、犬部唯一の犬部員であり、動物たちのリーダーである「ハナコ」に世話を頼んだところ、ハナコから通常は出るはずのないお乳がでて、赤の他犬を育て上げたエピソードは本当にすごい。

    また、初期の犬部メンバーも個性的。犬達のために生活のすべてを捧げるといってもいいくらいで、忙しい時に限って困っている犬に出会ってしまう「特技」をもつ部員や、街金の仕事がいやになり、獣医を志したうさぎ好きの部員など。みんな動物たちが幸せになるためなら、自分の生活を犠牲にするのが当たり前の「バカ」がつく動物好きたち。

    けれど、犬部の活動は楽しいばかりじゃありません。無責任な飼い主によって傷ついた動物を目の当たりにしたり、誤解や偏見をうけることも。犬部が大きくなるにつれ、初期のメンバーの強引な運営と現状があわなくなったり、一度は休部に追い込まる状態に陥ります。

    だけど、犬部のメンバーたちはあきらめず、危機的な状況にも一生懸命立ち向かって、犬部を守ろうとします。

    こんな犬部の学生たちのためにも、動物を飼うなら一生を背負う覚悟をしなければならないし、そうでなければ動物を飼ってはいけないのだと思います。

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    動物愛護に関連したお芝居
    しっぽのなかまたち 感想→

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    「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」 水野 敬也

    2013.10.02 Wednesday

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      型破りな神様・ガネーシャが、一見むちゃくちゃな方法で成功の秘訣を教える「夢をかなえるゾウ」。
      その第二弾「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」を読みました。


      【物語】
      売れないピン芸人、西野勤太郎はある日、変なおっさんから「ワシとコンビ組まへん?」と誘われる。実はこのおっさんはガネーシャといわれる神様で、神様界のお笑い王を決めるため、人間とコンビを組んでお笑いトーナメントであるゴッド・オブ・コントで優勝を目指すという。

      ガネーシャが現れたことで、金無幸子さんという勤太郎についていた貧乏神までもが姿をみせ、釈迦や死神などもゴッド・オブ・コントに参加することになり…。


      今回のテーマは「お金」。けれど、こうしたら儲かる!といったお金儲けのノウハウではなく、心のありようを教えてくれます。貧乏神の幸子さんは「お金持ちになるには、まず心が変わること」そこから行動が変わり、お金がついてくるんだと。

      私達はつい、目先のテクニックや成功理論ばかりを追い求めてしまいますが、本当に大切なのは、幸福も不幸も、自分がどう受け止めるか、それが一番大事なことなのかもしれません。

      ○ガネーシャの教え


      ・人の意見を聞いて、直す。自分に才能がないのならば、人に聞いて何度も何度も直す。
      ・たくさんの人を喜ばすことだけを『成功』ととらえがちだが、たった一人の人間をたくさん喜ばすんも『成功』のひとつ

      ○貧乏神・金無幸子さんの教え


      ・楽しみをあとにとっておく訓練をする
      ・つらい状況でも、楽しもうとする心があれば、「喜びを作りだす」ことができる。

      ○仏陀の教え


      ・辛い時、自分と同じ境遇にいる人を想像する(自分だけが苦しいのではない)

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      夢をかなえるゾウ
      古田新太さんがガネーシャ役で面白かった スペシャルドラマ「夢をかなえるゾウ」

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      今度は大学の自転車ロードレース『キアズマ』 近藤史恵

      2013.09.23 Monday

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        自転車ロードレースの世界を描いた名作「サクリファイス」シリーズ。近藤史恵さんの描く自転車ロードレースの世界は、競技そのものを知らなくても楽しめます。

        サクリファイス」ではプロの自転車ロードレースの世界観をミステリとして描き、「エデン」では自転車レースの巧妙な駆け引きの様子が描かれましたが、今回の「キアズマ」は、自転車ロードレースと、若者たちのスポーツへの情熱と挫折がモチーフとなっています。


        『キアズマ』あらすじ


        大学に入学したばかりの正樹は自転車部とのちょっとしたいさかいから、自転車部の部長の村上に怪我をさせてしまい、謝罪する正樹に対し、村上は「自転車部に入部してくれ」と意外なことを提案される。

        とっつきにくく、苦手なタイプのエース櫻井とともにレースに参加していくうちに、自転車の魅力にとりつかれていき、徐々に櫻井を追い抜いていく…。

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        主人公である正樹が自転車ロードレース初心者のため、サクリファイスシリーズよりも自転車の仕組みやレースについて解説が入るので、よりわかりやすくなっていました。

        とりわけ、正樹が初めて自転車で走った時の風や、スピード感の描写が素晴らしいです。
        どんどんとロードレースの世界にのめり込んで才能を伸ばす正樹と、持病や重度のプレッシャーを抱えながらそれでも走り続ける櫻井。ふたりとも、スポーツで大事な人間が傷つき、自らの心も傷ついていて、負けそうになるのだけれど、それでも走ることをやめられない。

        今後の2人が、どう成長していくんだろう。本を読み終わった後、もう続きが読みたくなりました。


        ところで、「サクリファイス」シリーズのメンバー、どこかでリンクしていないかな?と思ったら、赤城さんがちょこっと登場してました。「キアズマ」での大学自転車部のレースはまだ始まったばかりなので、また続編を書いてほしいです。そして、チカや伊庭と対決するシーンなんてのも見てみたい♪

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        サクリファイスシリーズ


        サクリファイス→
        エデン→
        サヴァイブ→
        スティグマータ→

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        レビューポータル「MONO-PORTAL」

        本当は怖い、銀行の話 「波のうえの魔術師」 石田 衣良

        2013.08.28 Wednesday

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          銀行内の紛争を描いた話題のドラマ「半沢直樹」を今更ながら見始めたのですが、ほんと、銀行ってところは恐ろしいですね…。「半沢直樹」を見ると、絶対に銀行からは金借りちゃなんねえ、って思います。

          銀行を表す言葉として「晴れた日に傘を貸し、雨の日にその傘を取り上げる」っていうのがあります。会社が景気のいい時はどんどん融資をし、ちょっと業績が悪くなると融資を打ち切り、担保となった土地や社屋までも取り上げるという「ミナミの帝王」以上のおっそろしいところなんです。実は銀行って。

          そんな悪徳な大手銀行に、株取引(ディール)で戦いを挑むディーラーたちを描いたのが、石田衣良さんの「波のうえの魔術師」です。経済小説ではありますが、主人公が素人に設定されているので、経済用語もわかりやす、く解説がはいるので読みやすいですし、物語の展開が面白くて経済小説というより、娯楽小説として楽しめます。

          大学卒業後、フリーターとなっていた主人公の白戸則道は、パチンコ店で不思議な小塚老人に声を賭けられ、スタッフとして雇われることになる。実はその老人は「相場の魔術師」と言われる伝説のディーラーで、白戸は老人から相場と株取引についての知識を教えられ、来たるべき「事業」への計画に参加する。

          小塚老人の計画とは、大手銀行「まつば銀行」へ、ディールで復讐することだった…。

          「波のうえの魔術師」の中でも、銀行の暗黒面がいろいろと描かれています。業績不振の銀行員に、どんぶり一杯の味の素を食べさせるイジメがでてきますし、小塚老人の復讐は、銀行の老人向け変額保険で、友人を自殺に追い込み、家屋敷を奪い取られたこと(おまけにひそかに愛していた友人の妻がアルツハイマーに)が原因となっています。

          バブル時に銀行が行なった変額保険は、実際に社会問題にもなった事件だそうで、バブルが弾けて保険料を支払えなくなり、家や土地を手放さなければならなかった老人がたくさんいたそうです。

          タイトルの「波のうえの魔術師」は、株取引の値動きのグラフが、まるで「波のよう」にみえるところから。作者の石田衣良さんは実際に大学卒業後、株取引で生計を立てていた時期があったそうです。

          波のうえの魔術師 (文春文庫)
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          すべての銀行がそうってわけじゃないでしょうが、こういう本を詠んだり、ドラマを見ると、銀行はお金を預けるところで、絶対にお金を借りちゃあいけないところだな、って思います…。

          石田衣良作品感想
          下北サンデーズ

          JUGEMテーマ:書評

          待望の十二国記短編集 「丕緒の鳥」 小野 不由美

          2013.06.30 Sunday

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            待望の、本当に待望の十二国記シリーズの新刊「丕緒の鳥」が発売になりました。すでに発表された「丕緒の鳥」「落照の獄」の二編のほか、書下ろしの短編が2編収録されています。

            「丕緒の鳥」を読み終わって感じたこと


            ・ホワイトハート版の痛快さを期待して読むと、えらい目に会う
            ・ファンタジーを超えた人間の物語
            ・泣きました゜・(*ノД`*)・゜・・

            今までは十二国の王とその周辺の話だったのに対して、新潮文庫版の十二国記は、それぞれの時代、国で市井に生きる人々の話が中心です。

            そこには「風の万里 黎明の空」のような痛快さや、「風の海 迷宮の岸」のような可愛らしさはなく、圧倒的な絶望の中から、ほんの僅かな希望を見出していく人々の姿が描かれます。

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            丕緒の鳥


            yom yomでの感想はこちら→

            改めて読みなおすと、ほんとうに美しい作品です。悲劇的ではあるのですが、きちんと救いがあって、大好きな物語です。大射のシーンは本当に美しくて、色彩が目の前に広がり、音が聞こえるような感じがします。


            落照の獄


            yom yomでの感想はこちら→
            罪と罰。法と被害者の感情。現代でも通用する難しいテーマです。
            この話が一番希望がない。けれどそこから、どう持ち直して行くかが、この国を荒廃から救う道になるのですが…。どうか、この国にも小さな希望が芽生えますように…。

            青条の蘭


            とある国。王がおらず荒廃が進む中で、山毛欅(ぶな)が次々に枯れていく現象が起こる。山を支える山毛欅の変異は、土砂災害をおこし、大災害につながると気づいた包荒と漂仲は、猟木師の興慶の助けを借り、山毛欅の病を抑える薬を探し始める。

            やがて特効薬となる薬の花を得るものの、その蘭は増やすのが難しく、王の路木に願ってもらうしか方法がなかった。しかし財を投げ打ってまで願った漂仲たちの必死の思いは、欲に目が眩んだ役人の妨害により叶わなかった。最後の手段は直接王宮へ蘭を届けて願い出ること。雪の中、必死に王宮へ歩を進める漂仲は無理がたたって倒れてしまう。

            漂仲が倒れた後、名も無き街の人々が「国を救えるなら」と、すこしずつリレーをして蘭を王宮まで届けていきます。圧倒的な絶望の中に生まれた小さな希望がつながっていく場面は、読んでいて涙が止まりませんでした。

            最後まで読むと、どんな国の、いつの話かわかる仕組みになっています。

            風信


            慶国・予王の景麒への歪んだ愛に単を発した「国から女を追放する」命により、蓮華は家族や友人、育った街までも亡くしてしまう。国外退去のための旅の途中で王の死を知り、故郷に帰らず郡春官の屋敷に働くことにした蓮花。

            保章氏の喜慶は暦を作る役職で、喜慶とその部下たちは天候や生き物の状態を調べている一風変わった人たち。蓮花もその手伝いをするうち、少しずつ暮らしに慣れていくけれど、そこにまた戦乱が…。

            家族を失い、傷ついた少女が、保護者を得て生き物や自然によって傷が癒されていくのは「獣の奏者I」を思い起こさせます。

            このとんでもない命令を、真面目に実行しているとは正直思いませんでした。けれどそのせいで不幸になった人が大勢いる。王が狂ってしまうと、民がどれほどつらい目に会うかを改めて感じました。陽子や延王にはそんな風になってほしくないなあ…。

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            JUGEMテーマ:ファンタジー小説

            『神去なあなあ夜話』 三浦 しをん

            2013.06.01 Saturday

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              三重県の山林で働く人々と、山での暮らしを描いた「神去なあなあ日常」の続編「神去なあなあ夜話」を読みました。
              今回は山の仕事以外の神去村の習慣や信仰、生活の様子などが語られています。

              私が好きだったのは「神去村の起源」というお話。神去村はどうして「神が去る」というのか?その謎が今回明かされます。神去村には前回のお祭りで、結構力の強いオオヤマヅミという山の神様がいるのがわかっていますが、神去村の由来に関わるもう1柱、蛇の姿をした神様がいて、その神様と人との悲しい昔話があり、それをシゲばあちゃんが語ってくれます。

              各地に残る蛇神と人との異類婚姻譚は、たいてい女性側が神を愛せず破綻することが多いのですが、神去村の昔話では困難を乗り越えた夫婦は幸せにくらします。奥さんに死なれた蛇神さんが嘆き悲しむところとか、普通の昔話よりもリアルに書かれています。

              神去村のクリスマス」では、小学校にあがったおやかたさんの息子、山太がクリスマスに興味を持ち始めたことがきっかけで、おやかたさんのうちで盛大なクリスマスパーティーがひらかれることに。

              しかしそこは「なあなあ」な神去村の面々のこと。クリスマスツリーは松の木に、プレゼントは木のおもちゃに、パーティーは宴会になってしまうのですが、みんなで集まって飲み食いしているところがほんと、楽しそうなんだよなあ(*´∀`)

              神去なあなあ日常」でおやかたさんの義理の妹・直紀さんに一目惚れをした勇気でしたが、その後さしたる進展もなく、読者たちをやきもきさせていましたが、今回、ようやっと前進が!勇気がんばったね〜。神去村シリーズ、これからも続いて欲しいです、勇気と直紀さんの恋のその後も気になるし。


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              前作、「神去なあなあ日常」では山仕事と山のお祭りについて描かれます。勇気もこの頃はまだちゃらさが残ってますね(・∀・)

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              三浦しをん作品感想


              『神去なあなあ日常』→
              『むかしのはなし』→
              『まほろ駅前狂騒曲』→
              『まほろ駅前番外地』→
              『まほろ駅前多田便利軒』→
              『月魚』→『舟を編む』→
              『風が強く吹いている』→
              『きみはポラリス』→
              『木暮荘物語』→
              『星間商事株式会社社史編纂室』→
              『三四郎はそれから門を出た』→

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              レビューポータル「MONO-PORTAL」

              「ビブリア古書堂の事件手帖4 〜栞子さんと二つの顔〜」 三上 延

              2013.02.25 Monday

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                古書にまつわる謎解きミステリ、ビブリア古書堂第4弾「ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔」を読みました。
                今回は乱歩作品のコレクションにまつわる長編で、いよいよ謎に満ちた栞子さんの母親が登場。金庫に収められた乱歩ゆかりの品をめぐって、栞子さんと母親が対決します。

                これまでの「ビブリア古書堂シリーズ」では、失踪した栞子さんの母親・智恵子さんは、古書の知識と洞察力は栞子さん以上、けれど本のためなら犯罪まがいのことまでやってのける、油断のならない人物として描かれています。実際に登場した智恵子さんも、印象通りの人物で、この人の出現によって、栞子さんと大輔の関係にも影響がでてきそうです。

                ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)
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                孤島の鬼


                江戸川乱歩コレクションを持つ来城慶子という女性から、恋人だった鹿山明という男性が遺した乱歩にまつわる高価な「何か」を探して欲しいと依頼が入る。その品は金庫に入っているが、鍵とパスワードが紛失している。金庫を開ける報酬として、高価な乱歩コレクションの売却を条件に依頼を引き受けることに…。


                孤島の鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
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                少年探偵団


                金庫の鍵を探すため、鹿山邸を訪れ、家族に話を聞く栞子さんと大輔。厳格な教育者、いたずら好きの人物という、鹿山明の「二つの顔」に翻弄されつつも、栞子さんの推理によってなんとか鍵を見つけ出し、依頼者の元へ。しかし、そこには失踪していたはずの母親・篠川智恵子が…。

                ここでも、乱歩作品をモチーフにしたトリックが張り巡らされ、それが徐々に明らかになる様子は読んでいてワクワクします。

                怪人二十面相 (少年探偵)
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                押絵と旅する男


                栞子さんの前に現れた母親・篠川智恵子は、金庫の中の「物」についての推理を話します。それは、乱歩自らが廃棄したことになっている「押絵と旅する男」の幻の第一稿ではないかと。

                もしそれが世にでれば、どれほど価値がつくかわからない。それにそんな幻の作品は、「本の虫」である篠川母子にとっても魅力的なものなはずです。どちらが早く真相にたどり着くか。暗号の解読をめぐって母親と娘の推理合戦がはじまります。


                江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男 (光文社文庫)
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                暗号解読や、人物の入れ替わり、二転三転する真相、江戸川乱歩の作品の特徴を活かした展開は、今までで一番謎解きの要素が多かったような気がします。
                江戸川乱歩の古書と、乱歩に関する資料から、「幻の作品」を創りだしているのですが、それが実際にこの世にあるのではないかと思わずにはいられない。三上延さんはリアルのなかに虚構を落としこむのがうまい作家さんですね。

                乱歩の初期作品「二銭銅貨」をモチーフにした暗号解読は、ページ内に暗号表が表記されていて、より楽しめました。やはりミステリはこうした記号や暗号があると盛り上がりますね。(*´∀`*)

                「ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち」
                「ビブリア古書堂の事件手帖2〜栞子さんと謎めく日常〜」
                「ビブリア古書堂の事件手帖3〜栞子さんと消えない絆〜」
                「ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時〜」

                ビブリア古書堂シリーズで紹介された本が一冊に「栞子さんの本棚」

                JUGEMテーマ:オススメの本


                レビューポータル「MONO-PORTAL」

                一家に一冊あると便利な本 「結び方・しばり方」の早引き便利帳

                2012.11.24 Saturday

                0
                  日常生活で使う、ありとあらゆるジャンルの結び方・しばり方を解説した『見てすぐできる!「結び方・しばり方」の早引き便利帳 (青春新書プレイブックス)』はネクタイや靴紐といった一般的なものから、着物の帯結や料理に使うブーケガルニの結び方、緊急時縄梯子の編み方まで載っている、一家に一冊あると便利な本です。

                  便利帳というより、これはもう辞書ですね。なんでも載っているから。ひとつひとつの結び方は、イラストで図解されているので覚えやすいし、結び方を忘れてしまっても、この本があれば安心です。



                  トレンチコートのベルトを後ろでまとめる結び方、これは便利!いつもベルトの結び方が悪いのでいつの間にかほどけてしまったり、かっこいい結び方ができなかったり、悩みの種だったコートのベルトの後ろ結びもこれで解決!

                  「結び方・しばり方」の早引き便利帳2 (青春新書PLAY BOOKS)

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                  イヤホンのコードをプレーヤーに固定する結び方で実際に結んでみました。たしかに、これならコードがもつれないし、使い時イヤホンの方をひっぱると、するっと抜けるので便利♪結び方に慣れるまでちょっと大変ですが、覚えてしまえばコードのもつれをイライラしながらほどく手間がいりません。長い目で見れば結び方を覚えたほうが時短に繋がりそう。
                  イヤホンのコードをプレーヤーに固定する結び方写真
                  イヤホンのコードをプレーヤーに固定する結び方図


                  続編「たたみ方・折り方」便利帳も発売。

                  見てすぐできる! 「たたみ方・折り方」の早引き便利帳 (青春新書PLAY BOOKS)
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                  『舟を編む』三浦 しをん

                  2012.06.04 Monday

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                    三浦しをんさんの「舟を編む」読了。辞書編纂という未知の世界と、言葉への愛がつまっています。辞書の薄くなめらかな紙の触感と、整然と並んだたくさんの言葉。読んでいるうちに、久しぶりに辞書を引きたくなりました。

                    タイトルの「舟を編む」は、辞書は膨大な言葉の海を渡るための舟である。という意味。
                    そして、その舟は、
                    もっともふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために
                    存在する。自分ではなく、相手のために。

                    「船」ではなく「舟」なのは、それだけ言葉の海が果てしないから、かもしれません。

                    辞書編纂室スタッフは、個性的な面々が集まっています。彼らについても、しをんさんはひとりひとりを丁寧に掘り下げて描いています。なかでも登場したての馬締(まじめ)さんの変人ぶりがおもしろい(^^)。
                    辞書「大渡海」を歌の「大都会」と勘違いしていきなり歌い出したり…!

                    愛すべき、辞書バカ


                    卓越した言葉のセンスを持つまじめさんですが、世情にうとく、同じ下宿の女性・かぐやさんに思いを寄せ、いまどき十数枚ものラブレターを書くのですが、難解過ぎて伝わってなかったりと、ズレっぷりが甚だしい。ひとことで言うなら「辞書バカ」。

                    でも「〜バカ」って、私にとってはほめ言葉です。それだけ一つのことに熱中できるってすばらしいですよね。

                    辞書編纂のベテラン荒木さん、松本先生、それぞれに辞書への愛と思いも語られます。西岡くんは、最初は適当に仕事をしてるだけのチャラ男かとおもいきや、辞書づくりに情熱を注げるまじめさんを羨ましく思ったり、それを表にださず、彼の徳井な営業面でさりげなくサポートしたり…。

                    いいやつだな、西岡。個人的には事務担当の佐々木さんも掘り下げて欲しかったのですが。

                    物語の後半、大渡海の企画開始から13年後の辞書編纂室の様子が描かれています。この時間経過は、それだけ辞書づくりに膨大な時間と手間がかかることを、読者は認識させられます。

                    辞書づくりに必要な能力は言葉のセンスと整理整頓の能力なのだそうで。(言葉や要訳をバランスよく配置するため)私には無理だなあ…。

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                    本屋大賞受賞した「舟を編む」はいくつもの書店で特集コーナーを設置されていますが、なぜか辞書と一緒に売られている書店にはまだお目にかかれない。この本の隣に辞書があれば、きっと辞書を手に取る人、多いとおもうんだけど。

                    「舟を編む」の書店ポップ。既存の辞書と、大渡海の「愛」の注釈が書かれています。本への愛を感じるポップです。(^O^)
                    「舟を編む」書店ポップ

                    「舟を編む」販促グッズのヌッポロラーメン。作中に登場する架空のインスタントラーメンで、まじめさんがよく食べています。
                    「舟を編む」販促グッズヌッポロラーメン


                    『舟を編む』は映画や漫画、アニメにもなりました。コミカライズは『昭和元禄落語心中』の雲田はるこさん。

                    舟を編む(上) (ITANコミックス)




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                    三浦しをん作品感想


                    「むかしのはなし」→
                    「まほろ駅前狂騒曲」→
                    「まほろ駅前番外地」→
                    「まほろ駅前多田便利軒」→
                    「月魚」→
                    「風が強く吹いている」→
                    「きみはポラリス」→
                    「木暮荘物語」→
                    「星間商事株式会社社史編纂室」→
                    「三四郎はそれから門を出た」→

                    [映画]舟を編む 感想→


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                    映画ノベライズ「しあわせのパン」 三島 有紀子

                    2012.05.23 Wednesday

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                      映画「しあわせのパン」のノベライズ本。「しあわせのパン」は、北海道・湖のほとりの町月浦でカフェマーニを営む水縞くんとりえさん、カフェを訪れるお客さんたちの物語を、四季を通じて丁寧に描いたすてきな映画です。

                      映画に劣らず、小説もとてもよかった。
                      登場人物たちの設定や心情を深く描写していて、映画をより楽しめる物語になっています。

                      小説では映画に登場する料理の詳しい説明もあり、、未来ちゃんとパパが食べていたコロッケは百合根で作られていたものだとか、の誕生日ディナーのメニューなど、読んでいるだけでおいしそうなんです(^O^)

                      カラマツのように君を愛す


                      映画ではあまり語られなかった水縞くんとりえさんのお話。実はこの2人、月浦に来るまで数回しか会ったことがなかったのだそうです。でも水縞くんはりえさんのことをとても大事に思っていて、でもその思いは、りえさんに伝わってはいても、りえさんの心はときどき悲しみに満ちてしまう。

                      カラマツは開拓地に最初に植えられる木。りえさんを、カラマツのようにゆっくりと見守っていく水縞くん。
                      やがて水縞くんの思いはりえさんに届き…。

                      映画ではそのとき、大泉洋さん演じる水縞くんが、泣きそうで、でもうれしそうな表情をしていたのは、前のりえさんのセリフがあったからなのだなあ、そこから2人の新しい関係が始まってラストシーンにつながるのか、と映画のシーンを思い浮かべながら読み返しました。

                      映画で重要な役割を持つ「月とマーニ」の絵本も掲載されています。

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                      映画「しあわせのパン」感想
                      しあわせのパンのロケ地・月浦に行って来ました→

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