『柳宗民の雑草ノオト 春』柳宗民
2023.03.22 Wednesday
春はこの本を片手に散歩に出たくなります。『柳宗民の雑草ノオト 春』は、単なる野草図鑑ではありません。柳宗民氏の草花に対する愛情が伝わる本であり、随筆なのです。
この本で名前やその性質を知ってからは道ばたの雑草も、なんだか愛おしく思えてきました。
『柳宗民の雑草ノオト』では、雑草も野草も、国内種も外来種も、同じように紹介されています。
例えば、最近見かけるナガミヒナゲシというオレンジの花。この花は有毒成分を含む他、周りの植物を枯らす成分が含まれています。しかし、柳先生はそうした草花もニュートラルな視点で観察しています。
「雑草という名の草はない」という有名な言葉がありますが、柳先生もまた、道端の野花への慈しみを持ち、文章を綴られています。
植物に添えられた文章も、単なる植物の特徴だけではなく、その草花にまつわる思い出やエピソードも添えられているのが図鑑ではなく「ノオト」なのでしょうね。
例えば、イヌノフグリという花がありますが、草花の名前に「イヌ」や「ヘビ」とつくのは「贋とかくだらないもの」を表すのだとか。
現代では眉をひそめるような命名ですが、昔はこうして有効と無用な植物を分けていたのでしょう。
ところでこの柳先生、実は美術界の華麗なる一族のご出身。お父様は民藝運動の創始者・柳宗悦でお母様は日本の声楽家の草分け的存在である柳兼子。
『柳宗民の雑草ノオト』にも、「声楽家である母親が飼っていたカナリアのために、ハコベを摘むのは私の役割だった」と書かれています。柳家の様子がうかがえるエピソードです。
兄たちもそれぞれ工業デザイナー、美術史家として活躍。こうしてみると宗民先生だけ、別の道に進んだように思うのですが、『評伝 柳宗悦』という本を読んでいたらと、祖父の柳楢悦が明治時代に洋風の花壇をつくっていたという記述がありました。
もしかしたら、宗民先生はお祖父様の植物好きが遺伝したのかもしれませんね。
この本で名前やその性質を知ってからは道ばたの雑草も、なんだか愛おしく思えてきました。
植物への慈しみ
『柳宗民の雑草ノオト』では、雑草も野草も、国内種も外来種も、同じように紹介されています。
例えば、最近見かけるナガミヒナゲシというオレンジの花。この花は有毒成分を含む他、周りの植物を枯らす成分が含まれています。しかし、柳先生はそうした草花もニュートラルな視点で観察しています。
「雑草という名の草はない」という有名な言葉がありますが、柳先生もまた、道端の野花への慈しみを持ち、文章を綴られています。
植物に添えられた文章も、単なる植物の特徴だけではなく、その草花にまつわる思い出やエピソードも添えられているのが図鑑ではなく「ノオト」なのでしょうね。
例えば、イヌノフグリという花がありますが、草花の名前に「イヌ」や「ヘビ」とつくのは「贋とかくだらないもの」を表すのだとか。
現代では眉をひそめるような命名ですが、昔はこうして有効と無用な植物を分けていたのでしょう。
華麗なる一族の園芸家
ところでこの柳先生、実は美術界の華麗なる一族のご出身。お父様は民藝運動の創始者・柳宗悦でお母様は日本の声楽家の草分け的存在である柳兼子。
『柳宗民の雑草ノオト』にも、「声楽家である母親が飼っていたカナリアのために、ハコベを摘むのは私の役割だった」と書かれています。柳家の様子がうかがえるエピソードです。
兄たちもそれぞれ工業デザイナー、美術史家として活躍。こうしてみると宗民先生だけ、別の道に進んだように思うのですが、『評伝 柳宗悦』という本を読んでいたらと、祖父の柳楢悦が明治時代に洋風の花壇をつくっていたという記述がありました。
もしかしたら、宗民先生はお祖父様の植物好きが遺伝したのかもしれませんね。
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