フランス人から見た原爆[映画]24時間の情事 ヒロシマ・モナムール
2018.08.02 Thursday
『愛人 ラマン』を描いたフランス人作家マルグリット・デュラス脚本の映画。フランス人の目から見た原爆の地、広島を描いています。
冒頭、原爆投下後のショッキングな映像(眼球を失った女性、口をえぐられた少年、ケロイドの皮膚など)が流れ、そこに男女の情事がモノローグとともに映し出され、戦争と情事、2つの相反するものが重なり合あっていく。どこか幻想的なシーンです。
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フランス人は、なにもかもをアートにしてしまう
この映画をみて思ったのは、フランス人というのは、なにもかもをアートにしてしまうのだなあと。たとえそれが原爆映画であっても。
マルグリット・デュラスの詩のようなセリフ、主人公の故郷ヌヴェールの風景、愛したドイツ人将校、ヒロシマの風景が重なり合い、難解ではあるけれど、とても幻想的で美しい。
後半は主人公の過去を中心に描かれ、フランス人でありながらナチスの将校に恋をし、やがてその相手を亡くした心の傷が描かれます。
とにかく難解なのでよくわからないのだけど、映像が美しく幻想的なので見ていて飽きない。それに、もしかしたら主人公の過去の傷とヒロシマの原爆の痛みを重ねて描いているのかもしれない。
過去を忘れ、新たに生きることを「君の名はヌヴェール、あなたの名はヒロシマ」という最後のセリフで表しているのかな…。
原爆から生まれたアート
フランス人アーティストのイブ・クラインは、原爆ですべて溶かされ、人影だけが残った事実を受け、人体を刻印するアートのインスピレーションを得たそうな。
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そういえば、マルグリット・デュラスの『愛人ラ・マン』もフランス人女性と中国人男性の恋愛話でした。アジア人は彼らにとっては異なる世界に住む「異邦人」だから、その交わりが彼らの感性を刺激するのかもしれません。
『24時間の情事』で大勢があつまる反戦デモの中、2人だけが逢瀬に走るのシーンは、下町の雑踏から壁一枚隔てた部屋で情事を行う『愛人 ラマン』のフランス人少女と中国人男性と重なります。
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いいとか悪いとかではなく、フランス人と日本人とでは戦争の表現の仕方が全く違うのだと実感しました。
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