[映画]秒速5センチメートル

2016.09.29 Thursday

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    秒速5センチメートルとは、桜の花びらの散る速度。「言の葉の庭」の風景の主役が「雨」なら、「秒速5センチメートル」は風かもしれない。初恋の切なさを、何気ない日常のできごとを、周囲の風景を、暖かく美しく描いている作品。

    観ていると胸が苦しくなります。懐かしくも切ないノスタルジーが詰まった映画。

    秒速5センチメートル あらすじ


    「桜花抄」
    小学生時代。貴樹と明里はお互いを特別なものと感じていたが、卒業と同時に明里は栃木へ引っ越すことに。ほどなく、貴樹も親の都合で鹿児島へ行くことに。遠くはなれてしまう前に明里に会いに行く貴樹だったけれど、大雪のため列車は大幅に遅れてしまう。

    「コスモナウト」
    高校時代。花苗は種子島へ引っ越してきた貴樹のことを中学時代から思っていた。サーフィンで波に乗れたら告白をしようと心に決めるが、貴樹と自分の間には越えられない距離があることに気づき…

    「秒速5センチメートル」
    青年時代。何かに追われるように仕事に打ち込む貴樹は、付き合っていた女性から「気持ちは1センチも近づかなかった」と言われる。いまだ明里の面影を心に秘め、明里と通った懐かしい踏切で一人の女性と出会う。

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    風景が「語る」


    新海誠監督の手にかかると、日常の本当に何気ない風景が、かけがえのない、美しいものに見えてしまう。例えば自転車のカゴに捨てられた空き缶や、地方駅の寒々しいホームでさえも。

    そして、主人公たちの心情や距離感が、風景に反映されている気がします。「コスモナウト」で、花苗が貴樹に告白しようとしたとき、ロケットが発射される。その軌跡が空の色を分けてゆき、まるで、ふたりの世界が異なるもののように観せている。私は、これまで観た映画の中で、こんなにも風景が「語る」ものを他にはしりません。




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    ・「言の葉の庭」→

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    戦後の底抜けの明るさ[映画]銀座カンカン娘

    2016.09.24 Saturday

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      昭和24年の映画「銀座カンカン娘」鑑賞。高峰秀子と笠置シヅ子のコンビの歌声が楽しい。戦後の底抜けの明るさが伝わってくる映画です。

      銀座カンカン娘


      ストーリーは単純明快。落語家・新笑(古今亭志ん生)の家の居候、お秋とお春は、食い扶持と芸術活動(歌と絵)の資金を稼ぐため、アルバイトで出会った流しの白井に誘われて、銀座で歌を歌うことになる。

      そこへ同じく音楽を志す新笑のおい・武助が加わり、「銀座カンカン娘」を披露していく。

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      底抜けに明るい戦後


      ストーリーは正直、たいして面白味はないのだけど、戦後の風景や人々の暮らしかた、今観ると歴史的な資料としての面白味があります。話し方も今とはちがいますしね。
      昭和の名人、古今亭志ん生の貴重な落語のシーンは、現存する映像としても貴重なのだとか。

      お秋とお春の居候生活も、お金がないとぼやきつつ、服をシェアしあったり(服が2人で1着しかない)、ちゃっかり大盛りのご飯を食べたりと、貧しいなりに楽しそう。

      戦争が終わって、貧乏で大変な時代だったけれど、それでもなんだか底抜けに明るくて、たくましくて開放的な戦後の雰囲気を感じることができました。




      笠置シヅ子の『ジャングル・ブギ』も映画で歌われています。笠置シヅ子のブギウギは、ほんと聞くと気分がアガる。

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      [映画]超高速!参勤交代リターンズ

      2016.09.21 Wednesday

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        前作「超高速!参勤交代」が面白かったので、めったに行かない映画館まで観にいきました。「超高速!参勤交代リターンズ」今回は、「参勤」の帰り道「交代」のお話です。

        「超高速!参勤交代リターンズ」あらすじ


        湯長谷藩の当主・内藤政醇と仲間たちは、5日間という超高速の参勤を終え、交代の帰路についていた。途中側室となった飯盛女のお咲の身請け代と、旅の路銀を貯めるため、道場破りや猿回しをして金をため、ようやく国元に帰れると思ったら、今度は湯長谷で一揆の情報が。

        お取り潰しを避けるため、幕府の目付より早く、今度は2日で帰らねばならず、またしても超高速で参勤交代をするハメに。おまけに、宿敵・松平信祝が不穏な動きも。湯長谷藩だけでなく、江戸をも巻き込む大騒乱が始まった…

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        古き良き、昭和時代劇の雰囲気


        「超高速!参勤交代」シリーズは、ストーリーも作り込まれ、スピード感やアクションは現代風だけど、どこかこう、昭和の映画黄金期の、時代劇の雰囲気がするのです。

        それは、単純な勧善懲悪と、弱者が活躍する物語だからかもしれません。湯長谷藩メンバーのがんばってる姿は、私たちに浮世の憂さを忘れさせ、自分たちも頑張ろう、と思わせてくれるのです。

        ・前作「超高速!参勤交代感想」
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        ラブコメ


        殿とお咲の、ラブコメ要素がいい!(*´∀`*)殿の役に立とうと一生懸命なお咲と、それを愛おしく思うのに、なかなか言葉にできない殿とのじれったい感じがいい。

        殿に「(自分も言ったんだから)ちゃんと言葉で言ってください」と迫るお咲→殿が言おうとする瞬間、刺客が!→刺客と死闘→それでもくいさがるお咲→殿、応戦しつつ「今、ここでぇが?」→めんどくさくなって刺客をひと刺し!→プロポーズ!(*´艸`*)この流れ好きです。

        やっぱり女性は強い


        今回は湯長谷藩メンバーの女性たちも活躍。一騎当千の剣豪、荒木さんも、奥方には弱いらしく(婿養子だと判明)「なんでもっと早く来れないの!」と叱られていたり、閉じ込められても負けずに応戦。強くてしっかりものの湯長谷女性たちがいるからこそ、男は戦えるのね。


        おまけ:先生、お願いします!


        荒木が路銀稼ぎの道場破りをした道場主は「ラスト サムライ」「太秦ライムライト」に出演した、切られ役者として有名な福本清三さんでした。ちゃっかり祝言の席にも出ていたり。時代劇ファンにはうれしい演出でした。




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        [映画]超高速! 参勤交代

        2016.09.12 Monday

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          面白いです!超高速! 参勤交代5日以内に参勤交代を命じられた東北の弱小藩が、知恵と工夫で江戸を目指す、痛快なストーリー。弱者が強者を凹ます勧善懲悪なのもいい。こういう映画が見たかった!

          超高速! 参勤交代 あらすじ


          将軍吉宗の治世、東北・いわきの湯長谷藩は貧乏で小さな藩だが、お人好し領主・内藤政醇のもと、みなで力をあわせ、幸せに暮らしていた。

          1年の江戸詰が終わり、ようやく故郷に帰れたと思ったら、幕府から領内の金山の件で不正を問われ、5日以内に参勤するハメに。金も時間もない中、湯長谷藩の存亡をかけた参勤交代が始まるっ…!

          弱小VS巨悪


          「超高速! 参勤交代」が面白いのは、巨悪に弱者たちが挑んでいき、打ち勝っていく姿だと思うのです。陣内孝則さん演じる松平信祝は今時珍しいほど憎たらしい悪党だし、湯長谷藩は殿を筆頭に仲間の結束が固く、そこがまたかっこいいし、泣けるのです。

          平和になった江戸時代中期でも、殿をはじめ、湯長谷藩士たちが鍛錬を怠らず、いざって時に強いのは、福島の武士の気概を感じました。この100年後、福島の会津では薩長の連中相手に最後まで抵抗しましたし、やっぱり、昔も今も、福島の人は強くてかっこいい。

          抜け忍の霧隠段蔵も、途中で裏切るのに、礼金のお金が土にまみれた古い銭ばかりなのをみて、彼らに味方しようと決めるんですよね。それは殿と、湯長谷藩士たちの思いが泥臭くも愛おしいからでしょうね。

          歴史の話


          超高速! 参勤交代は、けっこうぶっ飛んだ時代劇ではありますが、要所要所ではきちんと史実をおさえていて、それが物語に味をつけてくれます。

          殿が助けて後に妻にする飯盛り女のお咲も、大名の中では花魁を側室に迎えるのは例があったようだし(飯盛女というのが、弱小藩らしい)、殿が上様に大根の漬物を献上しますが、その味がちゃんと分かるのは、分家の次男で苦労人の吉宗しないないだろうから。(あとは権現様くらいでしょう)

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          続編、「超高速参勤交代リターンズ」も面白い!
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          [映画]12人の優しい日本人

          2016.08.31 Wednesday

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            もし、日本に陪審員制度があったとしたら、議論下手で自己主張の苦手な日本人の裁判は、どんな風になるのだろうか。「真田丸」の三谷幸喜氏が所属劇団・東京サンシャインボーイズとともに作り上げた舞台を映画化。ほとんど一つの部屋でつくられた密室劇です。

            まだ、裁判員裁判が導入される前、陪審員制度をモチーフにした「12人の優しい日本人」三谷さんらしい、笑ってちょっと切ないコメディです。謎解きの要素もあり、事件の真相が二転三転する様も面白い。洋画「十二人の怒れる男 」がベースになってます。

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            12人の優しい日本人 あらすじ


            陪審員制度(裁判員制度ではない)が導入され、民間人が裁判に関わることになった日本。若い女性の元夫への殺人事件裁判に集められた12人の男女。

            最初は加害者の容姿や境遇などに同情があつまり、全員一致で無罪となったが、陪審員2号の発言から、判決は二転三転し、最終的には有罪が無罪を上回ってしまう。

            無罪、有罪、正当防衛、判決不一致(そうすると別のメンバーでやり直し)まで飛び出し、議論を続けたい人、早く終わらせたい人、意見をコロコロ変える人もでてきて、なかなか判決が決まらず…。

            優しい日本人


            弁が立ち、議論をコントロールする人たちが、どんどん有罪へ持って行かれてしまう。でもその一方で、心優しいけれど、なかなか自分の意見を言えない人々がいます。

            最初は、強い人々によって、劣勢に追いやられ、反撃の術を持たず、なんか違うんです、でもそれを明確な言葉にすることができない。しかし、自分の判決は1人の人生がかかっている。たぶん、普段なら強い人間に流されて意見を変えてしまうのに、今回は譲らなかった。

            自己主張こそできないものの、いざとなったら強い。私はそこが「優しい日本人」の部分じゃないのかなと思うのです。

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            25年後の、感想


            映画化から25年たち、驚いたことに日本でも裁判員制度がつくられました、まさか映画のようにピザをとったり、議論だけで判決自体が決まることはないと思いますが。

            三谷さんたちが脚本を書いた時から「優しい日本人」は「自分の意見を言える日本人」になったのでしょうか。改めてこの映画を見なおしてみると、世の中って動いているのだなあと実感しました。映画の中で、男の人達が普通に部屋の中でタバコを吸っているのも、今では考えられないですし。

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            おまけ


            ・劇中、名前が登場する居酒屋「大自然」は、初期の三谷作品によくでてくる居酒屋。「やっぱり猫が好き」にも出てきて、三谷作品好きには懐かしい。
            ・今も素敵だが、若かりし頃のトヨエツは本当にかっこいい。

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            [映画]サンマとカタール

            2016.08.02 Tuesday

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              東日本大震災で甚大な被害を受けた、宮城県女川町の復興を追ったドキュメンタリー「サンマとカタール」鑑賞。

              サンマ漁で栄えた女川は、地震と津波で壊滅的な状態だったのを、カタールの支援によって、冷凍冷蔵施設「マスカー」を建設。そこから、女川の復興が加速していく。定点観測による街づくりの変化、街の復興を任された若きリーダーたちの奮闘を描いていきます。



              こういう感想は不謹慎かもしれませんが、映像にみる新しい女川町をみて、なんだかワクワクしてしまったのです。ここから、新しいことが始まっていくのだという希望が、映像の中にたくさんつまっていて。

              映画に出演した人々は、きっと映像にならない部分で、壮絶な体験をなさっていたのだと思います。けれど、それでも前を向いて進んでいく、その姿に、感動してしまうのです。

              絶望を希望に変えていくのは、容易なことではない、けれども、不可能ではない。人間、というか、東北人の底力を魅せつけられた映画でした。

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              女川復興の足がかりをつくってくれた「カタールフレンド基金」。カタールでは日本企業によるエネルギー開発を行っていて親日家が多いのだとか。映画では女川町の水産加工品をハラル(ムスリム教義で許されている食材)にも対応させて売り込もうとするシーンも写っていました。うまくいくといいな。

              私のイスラム教徒、特に中東の人々の印象は、正直、怖いというのが本音です。ただ、怖いのはよく知らないから、というのもあるのだと思います。

              こうやって、中東の人々が日本への支援を行ってくれていたり、日本文化に興味をもってくれている、というのは、実はあまり知られていないことで、こうした、ちゃんとしたイスラム教徒の人々が、日本を支援してくれたという事実は、もっと知られてもいいんじゃないかな。


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              雨の季節に見たい映画 [映画]言の葉の庭

              2016.06.29 Wednesday

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                雨の季節にぴったりの映画「言の葉の庭」鑑賞。雨って、こんなに美しいものなのかと、何気ない風景にも感動してしまう、美しい映画でした。

                言の葉の庭 あらすじ


                六月、高校生のタカオは雨の日の午前は公園で靴のデザインを考える。ある日、公園の東屋で朝からビールを飲んでいる女性、ユキノに出会う。

                その日からふたりの不思議な雨の逢瀬がはじまった。靴職人を目指し、複雑な家庭環境に大人びたタカオと、どこか憂いをもつユキノ。やがて梅雨があけ、短い逢瀬も終わったかに見えたが…

                美しい雨


                雨って、こんなにも美しかったのか、何気ない雨の風景も、新海誠さんがつくると、まるで絵画のよう。雨に濡れるのはうっとうしいし、蒸すし、いいことなんてないとおもっていたけれど、雨の風景って美しいんですね。そういえば、ゆっくり雨を眺めるなんて、しばらくしていなかったかもしれない。







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                秒速5センチメートル」もすてきでした…
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                純愛って、けっこうホラー。[映画] 友だちのパパが好き

                2016.05.13 Friday

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                  「友だちのパパが好き」タイトルだけみると、ちょっと切ない、ラブストーリーなのかと思いきや、けっこうなホラーでした。そして、下手なホラーより、人間の心がずっと怖い。でも面白い。で、ちょっとエロいw


                  山内ケンジ監督は、舞台『トロワグロ』を観てから、ファンに成ってしまいました。人間の描き方、本音と建前や、建前にひた隠した醜い部分を「笑い」にしてみせてくれるのですが、その描き方が徹底していて怖いくらい。

                  けれど、目が話せないのです。そして、一度観るとやみつきになるのです。


                  「友だちのパパが好き」にでてくるのは、私達の隣にいそうな、普通の人々。本来なら「建前」で覆い隠している人間の本音の部分が、主人公のマヤの行動によって、浮き彫りになっていく。その姿はとても醜くて欲にまみれているのですが、でもどうしても嫌いになれない。



                  「友だちのパパが好き」 あらすじ


                  妙子は、ある日友人のマヤから「あなたのパパが好き」と告白される。
                  妙子も、母親のミドリも、最初は相手にしていなかったが、マヤの行動はエスカレートし、恭介を駅で待ち伏せし、メル友になり、ミドリとの離婚が決まると、今度は愛人のハヅキと恭介の仲を裂こうとする。一方でマヤに別れを告げられた元担任の田所はマヤ恋しさに狂気に走って行き…。


                  普通の怖さ、普通じゃない怖さ


                  私が怖いなあと個人的に思ったのは、吹越満さん演じる恭介さんが、娘に離婚の説明をするとき「震災とかいろいろあって…」と、震災を言い訳に「普通に」使っていたことです。おそらくこの人、震災では被害を受けず、親戚、知り合いも被災していないんじゃないかな。


                  だから「普通に」言い訳に使える。そして、日本中に同じような言い訳をしている人がいるんだろうな、と考えたら、ちょっと背筋が寒くなりました。


                  妙子も、彼氏と自分の関係を聞かれて「好きだよ、普通に」って答えてる。これは、マヤのように本気になれない自分をごまかすための「普通」なんだろうな。


                  それを「普通じゃない」マヤがかき回していくのがまた、怖いんだよなあ。


                  考えてみたらこの映画「恐怖」と「笑い」と「エロ」と、人間がほしい感情が全部詰まってますね。だから面白いのかも。


                  山内ケンジさんの戯曲本「トロワグロ」。とある家のホームパーティーに集まる人々。美しい人妻、童貞っぽい男、優男のデザイナー、女好きの専務、不機嫌な専務の妻、一見好青年な息子。


                  パーティーが進むにつれ、建前に隠された、さまざまな本音や秘密が見えてくる。岸田國士戯曲賞受賞を受賞。


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                  大人の、恋愛ファンタジー[映画] 娚(おとこ)の一生

                  2016.03.09 Wednesday

                  0
                    ようやく映画「娚の一生」見れました。この映画、原作も大好きで、海江田教授を豊川悦司さんが演じるというので、ずっと楽しみにしてたのです。

                    「娚(おとこ)の一生」あらすじ


                    妻子ある男性との恋に敗れ、故郷に戻ったつぐみは、祖母の葬儀のあと、離れの部屋に居ついた謎の中年男性、海江田と出会う。海江田は祖母が講師をしていた大学の生徒で、生前、祖母から鍵を託されたという。

                    奇妙な同居生活が始まると、海江田は、時に強引に、時に優しく、傷ついたつぐみを癒していく。最初は、海江田を拒んでいたつぐみも、徐々に海江田に惹かれていき…。

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                    大人の、恋愛ファンタジー


                    拾ったイケメン男子と同居する有川浩さんの「植物図鑑」が若い女性の恋愛ファンタジーだとしたら、「娚の一生」は、居ついたイケメン中年と同居する、大人の恋愛ファンタジーですね。

                    恋愛に素直になれないアラサー女性・つぐみを、51歳の大学教授、海江田が、心も体も(!)溶きほぐしていく姿が、時に可愛らしく、時にエロく描かれています。

                    豊川悦司さんが演じる海江田がとにかくカッコイイ。白シャツ、メガネ、タバコ、下駄、関西弁…!大人女子の好きなもの、全部つめ込まれたキャラクターに、見ながら何度、膝を叩いたことか。

                    つぐみちゃんを乗せて自転車二人乗り、「お腹すいたわ~」と甘える姿、土砂降りの中、つぐみのネックレスを探して、強引に引き寄せてつけてあげるところ…。

                    大人の余裕と、時に見せる子供っぽさ、そのギャップがまた、たまらんのです。



                    配役も良い


                    こじらせアラサー女子・つぐみには榮倉奈々さん。図書館戦争の郁ちゃんとは真逆のキャラクターですが、当初、つぐみ役には若すぎるかな?と思ったけれど、映画が始まってすぐ、彼女の姿が現れると、画面にぴったりとはまっていて、ああ、つぐみだなと。

                    今まで見ない、エロティックな雰囲気があって、豊川悦司さんの海江田とすごくしっくりくる。づぐみの親友役の安藤サクラさんや、近所のおばちゃん、木野花さん、そして、つぐみの元カレの向井理さんも、今までのイケメン役にはない、卑怯な感じよかった。欲を言えば、もっと嫌な男になって欲しかったかな。


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                    「娚の一生」原作感想


                    「娚の一生 1」→
                    「娚の一生 2」→
                    「娚の一生 3」→
                    「娚の一生4 結婚」→

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                    [映画]万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-

                    2016.03.09 Wednesday

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                      綾瀬はるかさん、松坂桃李さん出演の映画「万能鑑定士Q ―モナ・リザの瞳」鑑賞。エンターテイメントなミステリ映画に仕上がっていて、面白かったです。

                      「万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-」あらすじ


                      天才鑑定士・凛田莉子は、40年ぶりにモナ・リザが日本で公開されることになり、日本の臨時学芸員に抜擢される。その後、日本での厳しいトレーニングをうける莉子は、徐々にその鑑定能力が失われていき…。

                      一方、別の事件で莉子の鮮やかな推理を目の当たりにし、興味を惹かれた編集者・小笠原は、莉子に惹かれ、行動をともにするが、鑑定能力が損なわれた莉子をサポートすることに。やがて日本にモナ・リザがやってくるが、それは恐ろしい陰謀の始まりだった。

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                      記憶力と推理力に長け、「万能鑑定士」と呼ばれる女性がワトソン役(少々抜けている)の男性とともに謎を解くのは「掟上今日子の備忘録」と似てますが、「万能鑑定士Q」では、主人公の持つ特性が後天的なんですね〜。

                      高校卒業時までは、平凡以下の能力しか持たなかった凛田莉子が、ある人物から、特別な思考法を教えられたことで、才能を開花していく。綾瀬はるかさん演じる凛田莉子が、スポンジが水を吸い込むように知識をどんどんと蓄えていく姿が印象的でした。

                      そして、相手役の松坂桃李さんがよかった。本当に、ちょっと頼りないダメ記者って雰囲気が漂ってて、それが、だんだんとしっかりしてくる姿がまたよくて。

                      ストーリーも、実際に100年前に起きたモナ・リザの盗難事件をエピソードに取り入れていて、モナ・リザをめぐる謎が二転三転していくのにワクワクしました。



                      原作「万能鑑定士Qの事件簿 I (角川文庫)」も読んでみたくなりました。

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