2006.02.17 Friday

「新とはずがたり」杉本苑子

鎌倉時代、後深草院につかえた女性・二条が宮中での愛欲を綴った「とはずがたり」。
海野つなみさんの漫画「後宮」のベースとなったお話ですが、過去にも杉本苑子さんが「とはずがたり」をモチーフに小説を書いています。

こちらは二条の恋人の一人、西園寺実兼の視点から描いた物語です。

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私は今まで二条って「男たちの愛憎にただ流される女性」という印象があったのですが、杉本苑子さんの二条はちょっと「ゆるふわ系」で何を考えているかわからないところがある女性として描かれています。

実兼に「野の花のごとき容貌」と例えられた少女は、やがて成長して実兼と上皇、その他、やんごとなき男たちから求愛されるものの、人生の愛憎を20代半ばで味わいつくし、晩年は出家をし、全国を旅する生活を選びます。

実兼さん、別れたあとでも二条の男との噂を聞いてはやきもきしたりしてたり、どうやら二条には不思議な魅力があるんですね。じゃなきゃ、やんごとなき方々が夢中になるはずもないので。

「とはずがたり」の人物達は貴族社会のトップにいる人たちで、仏教なんかも熱心に信心していたはずですが、現代人でもタブーと考えることを存外、平気でやってしまってます。御所さま(後深草院)なんて義理の妹に手を出したり、まったくm伏字にしないと書けないようなことばっかりだ。。

鎌倉時代の京の貴族達は政治の実権を幕府に握られているので、朝廷内での地位の確保と源氏物語に見立てた退廃的な恋愛ゲームしかやることがなかったのだと作者の杉本苑子さんは書いています。

確かに、二条と御所様は紫の上と光源氏にも例えられるし、御所様、二条、実兼様の三角関係は同じく匂宮、浮舟、薫のようでもある。女性が最後に出家して男たちの元を離れたのも同じ展開。

二条の人生の選択にも源氏物語の影響があったのか、もしかしたら、自分を源氏物語の「浮舟」になぞらえて男たちと決別したのかもしれません…。

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