「レインツリーの国」 有川 浩
2008.05.24 Saturday
ひさびさに、本で泣かされました。「レインツリーの国」
ドキドキして、切なくて、読んだあと真剣に主人公達の幸せを祈らずにはいられない。
もともとは図書館戦争シリーズ・「図書館内乱」内にタイトルだけ登場していた架空の本。この架空の本が命を吹き込まれ、実際に物語になったのが「レインツリーの国」です。
伸行は高校時代の思い出の本、「フェアリーゲーム」の感想をネットで探していた。感想サイト「レインツリーの国」の真摯な文章に魅かれた伸行はその感想を書いた「ひとみ」にメールを出してみる。
それがきっかけで2人はメール交換を始め、濃密な言葉のやりとりが始まる。
ちなみにこの「フェアリーゲーム」には元となる「妖精作戦」という小説が存在するのだそうです。
好きな本を通じて言葉をかわし、どんどん仲良くなってゆく2人の様子は、読んでいるこっちもドキドキ。
と、ここまでは、姿が見えない相手とのネット恋愛の様子が描かれています。
親しくなれば、会ってみたくなるのは自然な感情。
「直接会うのが駄目やったら、せめて電話だけでもどうかな」
伸行はなんとか「ひとみ」を説得し、初デートにこぎつけるのですが…。
初デートにこぎつけたものの、実際の「ひとみ」はちょっと変わっていた。食事のリクエストをすれば「静かなところ」というし、映画は洋画の字幕でなければダメだという。
メールとのギャップにとまどう伸行は、エレベータの重量オーバーブザーを無視して乗り続けるひとみについにブチ切れる。
「…重量オーバーだったんですね」
ここからは先ネタバレです。
ドキドキして、切なくて、読んだあと真剣に主人公達の幸せを祈らずにはいられない。
もともとは図書館戦争シリーズ・「図書館内乱」内にタイトルだけ登場していた架空の本。この架空の本が命を吹き込まれ、実際に物語になったのが「レインツリーの国」です。
中古価格 |
伸行は高校時代の思い出の本、「フェアリーゲーム」の感想をネットで探していた。感想サイト「レインツリーの国」の真摯な文章に魅かれた伸行はその感想を書いた「ひとみ」にメールを出してみる。
それがきっかけで2人はメール交換を始め、濃密な言葉のやりとりが始まる。
ちなみにこの「フェアリーゲーム」には元となる「妖精作戦」という小説が存在するのだそうです。
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好きな本を通じて言葉をかわし、どんどん仲良くなってゆく2人の様子は、読んでいるこっちもドキドキ。
と、ここまでは、姿が見えない相手とのネット恋愛の様子が描かれています。
親しくなれば、会ってみたくなるのは自然な感情。
「直接会うのが駄目やったら、せめて電話だけでもどうかな」
伸行はなんとか「ひとみ」を説得し、初デートにこぎつけるのですが…。
初デートにこぎつけたものの、実際の「ひとみ」はちょっと変わっていた。食事のリクエストをすれば「静かなところ」というし、映画は洋画の字幕でなければダメだという。
メールとのギャップにとまどう伸行は、エレベータの重量オーバーブザーを無視して乗り続けるひとみについにブチ切れる。
「…重量オーバーだったんですね」
ここからは先ネタバレです。
実はひとみは難聴者で、そのことを隠して伸行と会いたかったという。泣きながらその場を去る彼女に、伸行はかける言葉がみつからなかった…
さて、彼女が難聴者とわかってから、普通だったら彼が反省し、彼女を理解しようと努力して2人の愛は深まる…
というのが普通のドラマなんでしょうが、このあとも2人はいろいろとモメます。
そりゃそうでしょう。
難聴者、健聴者に限らず、人とつながるというのはドラマのように単純じゃない。
ひとみは「どうせ私は難聴者だから」とひがんだりするちょっと性格もややこしい子で、伸行もなんとか彼女を理解しようとするけれど、実際に想像つかないこともあるわけで。
それでも伸行は持ち前の明るさと関西人のノリのよさで食い下がりますが、ついにキレてしまい、自分の心の傷をさらけ出してしまう。。
お互いの気持ちを、痛いくらいぶつけ合う2人。
かなり切ない。
それが、3章と4章のタイトルに集約されてるんですよ。
「傷つけた埋め合わせに自信持たせてやろうなんて本当に親切で優しくてありがとう」
「ごめんな、君が泣いてくれて気持ちええわ」
ラストもね、完全なハッピーエンドではない気がするんです。
いろいろなことがあって2人の絆は確かに強くなったけれど、現実問題として結婚となったら自分達以外の意思が働いてくるし、文中でひとみが言っていたとおりこれからも小さなことでぶつかるでしょうし。
でもね、読んだあと一読者の私ですら思ってしまうんです。
「どうか2人が少しでも長く一緒にいられますように」と。
有川作品感想
・旅猫リポート
・ほっと文庫 「ゆず、香る」
・クジラの彼
・ラブコメ今昔
・阪急電車
・海の底
・空の中
・三匹のおっさんふたたび
・三匹のおっさん
・キケン
・ヒア・カムズ・ザ・サン
・シアター!
・シアター2!
・フリーター、家を買う。
・植物図鑑
・県庁おもてなし課
さて、彼女が難聴者とわかってから、普通だったら彼が反省し、彼女を理解しようと努力して2人の愛は深まる…
というのが普通のドラマなんでしょうが、このあとも2人はいろいろとモメます。
そりゃそうでしょう。
難聴者、健聴者に限らず、人とつながるというのはドラマのように単純じゃない。
ひとみは「どうせ私は難聴者だから」とひがんだりするちょっと性格もややこしい子で、伸行もなんとか彼女を理解しようとするけれど、実際に想像つかないこともあるわけで。
それでも伸行は持ち前の明るさと関西人のノリのよさで食い下がりますが、ついにキレてしまい、自分の心の傷をさらけ出してしまう。。
お互いの気持ちを、痛いくらいぶつけ合う2人。
かなり切ない。
それが、3章と4章のタイトルに集約されてるんですよ。
「傷つけた埋め合わせに自信持たせてやろうなんて本当に親切で優しくてありがとう」
「ごめんな、君が泣いてくれて気持ちええわ」
ラストもね、完全なハッピーエンドではない気がするんです。
いろいろなことがあって2人の絆は確かに強くなったけれど、現実問題として結婚となったら自分達以外の意思が働いてくるし、文中でひとみが言っていたとおりこれからも小さなことでぶつかるでしょうし。
でもね、読んだあと一読者の私ですら思ってしまうんです。
「どうか2人が少しでも長く一緒にいられますように」と。
有川作品感想
・旅猫リポート
・ほっと文庫 「ゆず、香る」
・クジラの彼
・ラブコメ今昔
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・空の中
・三匹のおっさんふたたび
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・キケン
・ヒア・カムズ・ザ・サン
・シアター!
・シアター2!
・フリーター、家を買う。
・植物図鑑
・県庁おもてなし課
JUGEMテーマ:恋愛小説
私もこの本、大好きです。
2人の幸せを祈る気持ち、一緒です。
TBも送らせてもらいました。どうぞよろしく。