実は大人向けのラブストーリー。『続あしながおじさん』 ジーン・ウェブスター

2008.07.25 Friday

0
    「あしながおじさん」は知っていても、「続あしながおじさん (新潮文庫)」の存在を知らない人は多いのではないでしょうか?

    「続あしながおじさん」は、「あしながおじさん」の主人公ジュディの親友・サリーがジュデイの育ったジョン・グリア孤児院の院長となり、物語はサリーのジュディへの手紙形式で描かれます。
    主人公・サリーの仕事と自立をテーマにした孤児院での奮闘が中心ですが、実はラブストーリーでもあります。


    「続あしながおじさん」あらすじ


    評議員のジャービス(あしながおじさん)に促され、新しくジョン・グリア孤児院の院長になったサリー。ジャービスに預かった改革資金で食堂を明るく改装したり、お金の存在を知らない子供たちに買い物を経験させたり、ジュディが大嫌いだったギンガムチェックの服を追放したり様々な改革を行います。

    南の島へ行ってしまったペンデルトン夫妻(この時点でジュディとジャービスは結婚しています。)の変わりにサリー院長のパートナーとなるのは陰気なドクター、ロビン・マックレイ先生。ことあるごとに対立するこの陰気なドクターにサリーは「Dear Enemyーわが敵さま」とあだ名をつけてからかいます。
    (Dear Enemyーわが敵さまは、続あしながおじさんの原題)

    しかし孤児院の仕事で一緒にいる時間が多くなると、ドクターが意外にも文学好きなことや、人をひきつける面を持っていることに気づきはじめます。

    「あしながおじさん」を昭和初期の日本に舞台をうつした勝田文さんの漫画「Daddy Long legs」。あしながおじさん側の視点から描かれます。登場人物は原作の名前をもじった日本名があてられていて、ジュディは樹、サリーはさえちゃんと呼ばれています。勝田文さんのさえちゃんを主人公にした「続あしながおじさん」の漫画も読んでみたいです。




    ツンデレ医師と若手政治家との三角関係っ…!


    けれど、サリーにはゴルドン・ハロックというちょっと自意識過剰な政治家の恋人がおりまして、ある日ゴルドンは孤児院をやめてすぐにでも結婚してほしいと性急なプロポーズをするのですが、玄関先で人の目を気にしたサリーはプロポーズをごまかそうとします。

    それを「NO」ととったゴルドンは、ドクターのせいだと勘ぐり、彼の悪口をまくし立てるとサリーは売り言葉に買い言葉で「ドクターのことなどちっとも好きではない!」と言ってしまいます。すると運悪くその場面にドクターが…。

    ずいぶんと昔の小説なのに、三角関係のドラマのような展開です。このあと2人はどうなるかというと…

    ドクターは何事もなかったようにサリーに接するんですが、ある日、孤児院から働きに出していた子供・トーマスがアルコール中毒になって帰ってくる事件が起こります。

    サリーはすぐにドクターを呼び、夜通しトーマスの看病に当ります。症状が安定した後、今までの感情が一気に吐き出されたようにドクターがサリーを抱きしめ、
    ああ、サリー、あなたは私が鉄でできているとでも思っているですか?

    キャー!(〃∇〃)

    実はドクター、ずっとサリーのことを思っていたのです。でも、ドクターにはいろいろな悲しい出来事があって自分から好きだなんていえなかったのでしょう。ましてやゴルドンみたいな彼氏つきですし。

    そんな不器用なドクターが始めてみせた愛情。この言葉を振り絞るためにどれだけ勇気がいったのでしょう。。

    でも、翌日はまたいつもの陰気なドクターとしてサリーに接するというツンデレっぷりですが。このまま少しずつ二人の距離が近づいていくのかと思いきや、大事件が発生します。ジョン・グリア孤児院が火事に!

    幸いほとんどの子供たちが無事でしたが、たったひとり取り残された女の子を救うため、ドクターは火の中へ飛び込んでしまうのです…果たしてドクターの運命は…

    ちなみに、わたしの想像するDr.ロビン・マックレイはアラン・リックマン(というかスネイプ教授)です。似ているんですよ雰囲気が。残念ながらアラン・リックマンもう亡くなられてしまい、実現できませんが…(´;ω;`)



    孤児院の厳しい現実


    ラブストーリーに隠れてしまいましたが(いやこっちが本筋なのだけど)、20世紀初頭のアメリカの孤児院事情にも触れられています。「あしながおじさん」ではジュディは大学に行けましたが、孤児院は高校を卒業したら何の社会訓練も行われぬままに世間に放り出されることになるのです。

    サリーは、外の世界を知らない子どもたちのために、買い物で金銭感覚を養ったり、院内の服を子どもたちにつくらせ、裁縫の腕を磨かせたり、卒業した子どもたちのと様々な改革を行います。


    この孤児院の実情、100年前の話と思っていたら大間違いです。児童養護施設を舞台にした有川浩先生の「明日の子どもたち」を読むと、現代の日本でも、高校を卒業したら(高校進学しなければ中学卒業時点で)養護施設をでなければならないのだそうです。

    明日の子供たち (幻冬舎文庫)

    中古価格
    ¥434から
    (2018/6/2 21:06時点)





    「あしながおじさん」
    日本を舞台に漫画化されたあしながおじさん「Daddy Long legs」→
    ・ジーン・ウェブスターの初期作品おちゃめなパッティ→

    レビューポータル「MONO-PORTAL」
    コメント
    こんにちは♪
    コメントありがとうございます。
    ほんとに80年前の小説なのに、
    女性の自立とか
    遺伝のこととか
    考えさせられましたし
    二人の恋愛模様にも
    どきどきさせられました。
    • by tsunogai
    • 2008/07/27 8:23 AM
    tsunogaiさん
    コメントありがとうございます。
    大人になってからは、サリーの仕事や恋愛に
    視点を置いて読むようになりました。
    何度読んでも飽きない物語ですね。




    • by 日月
    • 2008/07/27 2:31 PM
    コメントする