2008.08.09 Saturday

「麦ふみクーツェ」 いしいしんじ

【ものがたり】
港町でそだった「僕」は、ねこそっくりな声を出すことができる。
おじいちゃんは町の吹奏楽のリーダーで音楽のこととなると
人が変わったように厳しくなる。父さんは数学の教師で素数の数式の証明にとりつかれている。
ある日「僕」は黄色い大地を「とん たたん とん」と独特のリズムで麦ふみをするクーツェに出会う。

わたしにとって、はじめてのいしいしんじ作品です。
童話のようで童話でない、
不思議でちょっと切ないお話でした。
いままで読んだことのないような、それでいてどこか懐かしいような舞台の世界と、主人公のまわりのユーモラスで優しい人々。

物語の前半部分は吹奏楽のコンクールで優勝するものの、
町に不思議なネズミの雨が降ったおかげで、町の様子がおかしくなったり、「ねこ」が進学した音楽学校になじめないでいたり、
故郷に現れたセールスマンが町の人々をだましてしまったり
辛いことも多く、読んでいて切なくなりました。

けれど、蝶の刺青をしている盲目の「ちょうちょおじさん」に出会い、おじさんの紹介で友達の名チェリストの「先生」や、先生の娘の「みどりいろ」、「先生」がチェロを弾きに行く娼館の女性たち。こころやさしい「へんてこ」な人々との出会いは「ねこ」のこころを癒し、読んでいるわたしまでうれしい気分になってゆきます。

やさしいリズムと音楽が本全体をやわらかく包んでいるような、
あたたかい気持ちになる物語でした。

プラネタリウムのふたご
ぶらんこ乗り
トリツカレ男

麦ふみクーツェ (新潮文庫)
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不思議な感覚の、お話でした。 日本なのか外国なのか、今なのか昔なのか、 不思議な雰囲気と、そして浮遊感のある物語。 名前ではなく、あだ名で登場する人たち。 そしてみんながみんな、へんてこな人たち。 彼らが語るへんてこなお話は、どれもこれも、 寂し
  • *モナミ*
  • 2008/08/09 11:41 PM

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