「天顕祭」 白井 弓子

2008.11.06 Thursday

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    すごい物語を、見つけてしまいました。
    白井 弓子さんの「天顕祭 (New COMICS)」は化学兵器を用いた「汚い戦争」後、「フカシ」という毒物に汚染された大地に生きる人々の物語。
    武装島田倉庫のような最終戦争後の世界というSF的要素と、神話や祭りといった民俗学的要素が織り込まれ、力強い墨のタッチとともに独特な世界観がつくりだされています。

    「天顕祭」という祭りがある。その年は50年ごとの大祭にあたり、町ごとにクシナダ姫が選ばれて祭に色をそえる。
    しかし、「天顕祭」の秘祭に選ばれた「本物」のクシナダ姫は地下深くに降り儀式を行わなければならない。地底深くには彼女を待ちこがれるオロチの君がいる。
    鳶の若頭・真中は、組の女鳶・木島が秘祭のクシナダ姫に選ばれて逃げてきたことを知る。連れ戻された木島を助けるため、真中は秘祭の行われる地下深くへ潜入する。


    ここまで書くと民話・ファンタジー風なのですが、実はSF的要素「汚い戦争(汚染物質を使った戦争)」が絶妙にまじりあった物語です。天顕祭は、科学的な戦争によって目覚めた「もの」を抑えるための祭りですし、「天顕菩薩」という架空の菩薩、天から現われて大地を浄化してくれる仏様がいて、それが日本らしく神社の祭りと合体したり、男たちは生涯に一度、汚染土壌の清掃管理を国から義務付けられていたり。
    どんなに科学が発達しても信仰や祭りといった民族的儀式が失われず、むしろ時代や環境にに合わせて変遷していくところが「ありえそう」で興味深かったです。

    天顕祭 (New COMICS)
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    白井弓子 サンクチュアリパプリッシング


    白井弓子さんは上橋菜穂子さんファンでもあり「狐笛のかなた」単行本のイラストを担当されています。マンガの帯も上橋さんからの推薦コメントも。

    狐笛のかなた
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    ●白井さんがイラストを描かれた「狐笛のかなた」感想はこちら→

    ●椎名誠が描いた科学戦争後の世界「武装島田倉庫」感想はこちら→
    コメント
    面白そうな漫画ですね!
    ぜひ私も読んでみたいと思います。
    日月さん、いつも素晴らしい本の紹介ありがとうございますm(_ _)m
    • by 小夜
    • 2008/11/08 10:53 AM
    小夜さん、気にいっていただきありがとうございます(^^)
    独特な世界観だと思います。よかったら読んでみてください。
    • by 日月
    • 2008/11/08 11:11 PM
     何故か本日、その本を偶然見つけ、天顕菩薩の名前を知り、これまで聞いた事のない菩薩名であり、その意味を知りたいと思い、検索しましたら。またまたこのサイトに辿り着きました。とても不思議です。

     まだ、これから読むのですが、何故か私には放射能汚染された今の日本の社会がだぶって見えるということと、これは私の感性的なものなのですがこの物語と高橋ツトムの『スカイハイ・カルマ編』の作画の印象がとても似ているので、この種の物語には自然とアンテナが反応して自然に本が手にはいるような気がしました。

     また読了後に、感想を書きたいと思います。スカイハイのカルマ編の中にも、同じようなモチーフが示されています。
    • by 異邦人
    • 2011/07/21 7:51 PM
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