「沖で待つ」 絲山 秋子

2008.11.05 Wednesday

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    沖で待つ」を読んだきっかけは、恋愛と違う会社の同僚同士という絆に引かれたからです。
    わたしは今まで中小企業でしか働いたことがないので、同期と呼べる人はいませんでした。会社の人間はみなライバルだと思ってたし、信頼して約束を結ぶ相手を作ることができなかった。
    仕事で失敗したり、みっともないところを見られている分、気の置けない太っちゃんと主人公みたいな関係がうらやましかった。


    【ストーリー】
    会社で気の置けない同期だった「私」と太っちゃんはある約束をする。それはどちらかが先に死んだらお互いのパソコンのハードディスクを破壊するというものだった。
    その約束は思いがけず早く実現することになった。
    太っちゃんが突然、事故に遭い、死んでしまった。
    「私」は、約束を果たすべく、前もって作った合鍵で太っちゃんの部屋に向かう。

    会社という組織でなければ成立しない関係。
    恋愛でもない、家族愛でもない、友情とも微妙にちがう。
    しいて言えば同志、仲間みたいなものだろうか。
    相手にもよるでしょうが、同期に限らず会社の同僚というのは家族よりも長い時間を一緒にすごしているわけだから、家族とはまた違う種類の絆を結べるのかもしれません。

    同時収録の「勤労感謝の日」は、近所のすすめで見合いをすることになった求職中の元総合職の女性の1日。
    ムカつく相手との見合いを途中でばっくれ、後輩と飲みに行って憂さをはらす。
    将来のビジョンもなく、いろんなことにムカついている女性なんですが(^^;)、不思議と嫌な気はしませんでした。人生をひねくれていてもどこかあきらめていないような感じがするからでしょうか。これから彼女がどんな人生を歩いていくのか続きを読んでみたい話でした。

    沖で待つ
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    JUGEMテーマ:芥川賞・直木賞
    コメント
    日月さん☆こんばんは
    そうですよね、同僚って家族とよりも一緒に過ごす時間が長いんですよね。
    だからこそ生まれる連帯感は、他では得難いものなのかもしれません。
    太っちゃんのHDを壊してあげることはできたけど、自分のはどうするんだろう?って思いました。
    そういう約束をできる相手って、なかなかいませんからね。
    Rokoさんコメントありがとうございます。家族でも恋人でも友人でもない太っちゃんとの絆が好きでした。

    >自分のはどうするんだろう?って思いました。

    あ、たしかにそうですね。誰かに頼むんでしょうか。あとで自分で区切りをつけそうな気もするんですが。

    余談ですが、私は前の会社で人間関係がうまくいかず孤立していました。これから遅くまで残業するというときに部署の違うスタッフがお菓子をくれたんです。同じ部署の人間はさっさと帰ってしまったというのに。彼のちょっとした心遣いがすごくうれしくて支えになったのを今でも覚えています。
    • by 日月
    • 2008/11/07 1:33 AM
    日月さん
     
     こんにちは。昨日は「沖で待つ」にコメントをいただき有り難うございました。

     私、昨年の夏に小学校の同級生にン十年ぶりに再会しました。会った途端に、長期のプランクがあったとは考えられないぐらいに、波長ピッタリで盛り上がってしまいました。

     会社の「同期」に限らず、人生のある一時期でも、時間を共有した人との連帯感というか、同時代感っていいもんだなぁ―と思いました。

     それでは、また。 


    • by おりおん。
    • 2011/01/28 1:12 PM
    おりおんさんへ
    私も十年ぶりにおさななじみと会いましたが、ほんとにすっと会話が続きました。

    確かに楽しかった時間を共有したひととは、どんなに離れていても繋がっているんだな、と感じました。同期にはめぐまれませんでしたが、おりおんさんのコメントで、ちょっとうれしくなりました。
    これからもこんなつながりを大事にしていけたらな、と思います( ̄▽ ̄)
    • by 日月
    • 2011/01/30 11:32 AM
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    沖で待つposted with amazlet on 06.07.03 絲山 秋
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    • 2011/01/28 12:53 PM
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