「アイスクリン強し」 畠中 恵

2010.11.18 Thursday

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    アイスクリン、シウクリーム、チヨコレイト、ワッフルス…
    なんて「ろまんちっく」で「のすたるじっく」な響きなのでしょう。レトロ好き、歴史好き・スイーツ好きにはたまらない本です。

    畠中さんの新作「アイスクリン強し」は、明治20年代、当時まだ珍しい西洋菓子屋を舞台に、さまざまな事件に巻き込まれる主人公たちの活躍を描いています。


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    皆川真次郎(ミナ)は、西洋菓子屋・風琴屋を営む青年。しゃばけの栄吉さんと違って菓子の腕は外国人の折り紙つきです。居留地で覚えたピストル銃の名人で情に厚く、毎回長瀬たちのもってくるトラブルに嫌々ながらも巻きこまれてしまいます。

    ミナの友人の巡査・長瀬は元旗本。同じく元旗本の仲間とともに若様組と称し、家臣たちを養うためにさまざまな内職に手を出している。真次郎のことを「ミナ」と女の子のように呼んで殴られない、数少ない人物。

    物語のヒロイン・小泉沙羅は女学生。成金とよばれる財産家の令嬢で真次郎とは昔なじみ。当時の女性には珍しく行動的でおてんばなお嬢さん。真次郎のつくるお菓子が大好きで、彼らが巻き起こす騒動にもくびを突っ込みたがる。

    物語は風琴屋に集まる若様組と長瀬が、1通の封筒を真次郎に見せるところから始まります。差出人不明のその手紙には「差出人をつきとめ、なお且つ差出人の望むものを差し出せば報酬アリ」という謎に満ちた文面が。手紙について話をしていたその直後、今度は真次郎にも同様の手紙が届く。

    謎の差出人の目星もつかぬまま、真次郎と若様組の面々は旧藩のお家騒動に巻き込まれたり、新聞に醜聞を書かれたり、流行病・コレラに対応したりと目のまわる忙しさ。
    そんな中、幼なじみの沙羅さんにお見合いの話が持ち上がり、こちらの方も気にかかる。

    柔軟な発想をもつ真次郎や長瀬たち若者でさえ驚くほど目まぐるしく変わってゆく明治の世。世の中に取り残されるもの、新しい道を見つけるもの。やがて迫りくる日清・日露戦争の影。


    そんな時代に流されるのではなく、抗うのでもなく調和していこうとする真次郎や長瀬たち若様組の面々。はたして彼らのの未来や如何に。


    江戸時代よりも描かれることの少ない明治時代ですが、実は科学と迷信、流行と伝統が混然一体となった面白い時代のようです。


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    「アイスクリン強し」が好きな方におススメ漫画。市川ジュン先生の「新編懐古的洋食事情」シリーズ。

    明治の女学生とアイスクリン、チヨコレイトの関係。明治時代ブフェ・パーティ。新しい食べ物に心奪われ、悪戦苦闘する明治の方々のマンガです♪

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    「アイスクリン強し」のスピンオフ、「若様組まいる」。
    若様組の長瀬くんたちが活躍します。

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    「若様組まいる」→
    「若様とロマン」→

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    コメント
    はじめまして。
    コメントありがとうございました。
    この明治期の雰囲気、
    そして今後どのように史実をからめていくか、
    その辺りを楽しみにしています。
    シンさん
    コメントありがとうございました。
    明治時代は目まぐるしく世の中がかわる面白い時代なので、おもしろい史実のエピソードを出してほしいですね。
    このころの未来予測が現代においてほとんどあたっている(新幹線のとうじょうなど)というのも興味深いです。
    • by 日月
    • 2008/11/09 11:30 PM
    こんばんは。
    やっぱり、しゃばけの栄吉さんを思い出しましたよね(笑)。
    始めの、パーティに間に合わせようと奮闘する様子は、「料理の鉄人」が浮かびました。
    スイーツに目がないので「懐古的洋食事情」シリーズ、面白そうです。

    前の続きですが、あの歌、タイトルは「雨の法善寺横丁」なのですね。知りませんでした。
    わざわざ調べてくださって、お手数おかけしました(汗)。
    • by 藍色
    • 2008/11/13 3:50 AM
    藍色さんコメントありがとうございます。真次郎はぜったいにあきらめずにピンチをチャンスに変えた根性はすごいです。沙羅さんに関してはややヘタレですが(^^)
    歌の歌詞だけだと、どうしてもタイトルが知りたくなってしまいました。ちゃんと聞いたことがないのにけっこう歌詞を覚えてるもんだなと思いました。
    • by 日月
    • 2008/11/14 11:10 PM
    こんにちは。
    私もこの小説、読ませていただきました(^^♪
    とてもノスタルジックなお菓子の名前で、それだけでおいしそうな雰囲気で…(食い気が)。
    皆様のコメントのとおり、史実を絡めていくともっと面白そうですね。
    素敵な本の紹介、いつもありがとうございます。
    • by 小夜
    • 2008/11/24 10:20 AM
    小夜さんへ
    今回いちおう謎は解決はしましたが、シリーズ化してもっと彼らの活躍を見ていきたいですね。

    「懐古的洋食事情」もよかったら読んでみてください。こちらは明治から昭和までの洋食やお菓子をめぐる漫画です。おススメです。
    • by 日月
    • 2008/11/24 1:28 PM
    こんばんわ。カキコありがとうございました。
    この作品、悪くはないのですが、入り込んで読むことが出来ませんでした。
    続編がありそうな感じなので、もっと掘り下げてほしいですね。
    もっと彼らを知りたいです。
    日月さんの紹介されている本、面白そうですね^^
    • by 苗坊
    • 2009/01/04 4:59 PM
    苗坊さん
    文明開化・西洋菓子という目の付けどころはなかなかだと思うのですが、もっと細かく描写していってほしいですね。
    明治時代はかなりおもしろい時代らしいです。紹介した本にも大団扇で気象をコントロールするといった想天外なSFも紹介されています。
    • by 日月
    • 2009/01/04 10:25 PM
    市川さんの「編懐古的洋食事情」読んだ記憶がありますよ。
    ライスカレーだかハヤシライスだかのお話もありましたよね。
    明治時代を描いた読みものはなじみが薄いけど、面白いですね。
    • by ia.
    • 2009/01/09 1:20 AM
    ia.さん
    懐古的洋食事情、面白いですよ。
    ライスカレーはハヤシライスはけっこう早いうちから庶民に浸透していたようですね。明治ものは戦争小説はけっこうあるのですが、こうした庶民の話ってまだ少ないので、これからもっと増えていってほしいと思ってます。
    • by 日月
    • 2009/01/10 10:40 PM
    この本、まあまあだったかな?
    やっぱりしゃばけの方が面白いから(^▽^;)>゛
    コレラ騒動がどう終結したのかがハッキリしないな。
    これからも続編が登場しそうな終わり方だったね。
    ミナのお店がもっと流行ってくれると良いな(人´∀`*)
    Crambom、さん
    そうですね、やはり「しゃばけ」と比べてしまうとちょっと薄いかな?
    続編が出たらもっと明治の面白い事件などを取り上げてほしいです。
    • by 日月
    • 2009/01/28 10:54 PM
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