「ツィス」 広瀬 正

2009.02.01 Sunday

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    マイナス・ゼロ」にひきつづき、広瀬さんの「ツィス」を読みました。

    【ストーリー】
    神奈川C市でツィスの音階の音が鳴るという現象がおこる。
    最初はかすかな音だけで、聞き取れる者もごくわずかだったが、音は徐々に大きくなり、日常生活にも支障をきたすようになった。
    やがてツィス音は東京にも広がりをみせることに。
    中途失聴者のイラストレーター、榊英秀は耳が聞こえないこともあり当初はツィス音騒ぎに無関心だったが、ツィス防音製品のポスター制作を依頼されてから、ツィス音に関わることに…

    マイナス・ゼロ」を読んだ時も思ったのだけど、この人は世界の作り方が独特で、緻密で現実味を帯びていました。最初はかすかで、耳のよい人にだけ聞き取れたツィス音が、やがて大きな脅威となって都市に侵攻し、人々は耳栓をつけ、音の聞こえない世界で生活することになる。

    1千万人の人々が「聞こえない」状態で治安の維持につとめる役人たち。
    「音のない世界」の現状が非常にリアルです。
    ツィス音避けの商品が発売され、音楽業界はレコードが売れなくなり、テレビでは毎日「ツィス情報」が流される。
    混乱を避けるために都民に疎開を決行する都庁。
    留守部隊として残った英秀が人のいなくなった都会を、ハーフの妻・おイネとともにT型フォードで疾走する様子は、さながら世紀末の寂しさと、爽快感が広がってゆきます。

    そしておイネさん。物語に明るい色彩で彩ってくれるかわいい女性です。学はないけれど機転がきいて情が濃くてセクシーで。
    現代でいったら近いのは木下優樹菜ちゃんかな。
    この人は災害に会おうと、英秀が障害を負おうと態度がかわらないんですね。彼女が文中使う昔の流行語「ゴキゲン!」もキュートでした。

    ツィス (集英社文庫)
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    ツィス (1982年) (集英社文庫)
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    ●その他の広瀬作品
    マイナス・ゼロ→
    エロス→
    鏡の国のアリス→
    T型フォード殺人事件→
    タイムマシンのつくり方→
    コメント
    日月さん☆こんばんは
    集団心理の怖さを凄く感じました。
    今の東京でも同じような事は起こりえるなぁって思います。
    それにしても、おイネさんは明るくてキュートでしたね。(^o^)/
    • by Roko
    • 2009/02/02 12:05 AM
    Rokoさんへ
    そうですね、こんな簡単に引っかかっちゃうものなのですね。70年代など、昔は特に大衆が同じ方向に向いてしまうことが現代よりも大きかった気がします。(オイルショックとか)
    • by 日月
    • 2009/02/02 11:37 PM
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    ツィス 改訂新版 (集英社文庫 ひ 2-2 広瀬正・小説全集 2)posted
    • Roko's Favorite Things
    • 2009/02/01 11:39 PM
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