「吉原手引草」 松井 今朝子

2009.06.15 Monday

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    吉原遊郭に関する本や映像はたくさん出回っておりますが、ここまで面白いお話は、この「吉原手引草」と、杉浦日向子さんの江戸漫画「ゑひもせす (ちくま文庫)」や「二つ枕 (ちくま文庫)」くらいしか思い浮かびません。あと「さくらん」かな。

    とかく遊郭を描いたものは、華やかさとは反対の、悲惨さやドロドロした情念的なものが取り上げられがちですが、「吉原手引草」は、吉原という異世界をニュートラルな視点で描き出すとともに、ミステリー要素を加えて今までにない遊郭ものに仕上がっています。

    「吉原手引草」は、吉原一の花魁葛城の失踪事件について、ある人物が当事者たちから事件の聞き取りをしていくうち、葛城という花魁がどんな素性の女性だったのか、失踪の真相について迫っていくのですが…

    芥川龍之介の「藪の中」を思わせる話で、結局のところ、最後の真相が本当なのかどうか、いまいち確信が持てませんでした。吉原というところは作者が何度も語っているように、「女郎の誠と卵の四角ない」世界なのですから。

    最後の章のタイトルも「詭弁 弄弁 嘘も方便」とありますから、いったいどれが本当なのか、当の葛城花魁が語らない限り、本当の真相は藪の中なのかもしれません。


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    松井今朝子作品感想


    「吉原十二月」→
    「星と輝き花と咲き」→
    「円朝の女」→
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    コメント
    私もこの小説読みました!
    読解力がないせいか、よくわからなかったです(泣)

    たしかに「藪の中」みたいですね〜。

    結局、葛城はなぜいなくなったのか、…やっぱり読解力がないです…私。
    小夜さんへ
    いなくなったとしても、お職をはるくらいの花魁ですので女一人だけでも生きていけると思いますが、その後どうなったのかも気になります。
    • by 日月
    • 2009/06/16 12:00 PM
    こんばんわ。
    一人の女性の人物像を浮かび上がらせることによって事件の謎を解いていく、という構成が面白かったですね。
    葛城のその後は気になりますね。
    きっと平凡な幸せをつかんだはず、と思いたいです。
    • by ia.
    • 2009/06/17 12:28 AM
    ia.さんへ
    みんな勝手に葛城花魁のことを推測しますが、本人の口から語られないところがまた彼女の神秘性を高めたような気がします。位の高い花魁は、各習い事の師範並みの実力があるそうなので、生活面は心配しないでも大丈夫だと思っています。
    • by 日月
    • 2009/06/17 9:27 PM
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    花魁・葛城はなぜ消えたのか? その事情を聞きまわっている人物の正体は? …が、いろいろな人々の語りくちで明らかになっていくお話です。
    • 月の舟
    • 2009/06/15 8:19 PM
    著者:松井 今朝子 出版社:幻冬舎 感想: 松井今朝子さん初読み、2007年直木賞受賞作品です。 吉原一の花魁が消えた謎。関係者たちの証言から、一人の男がその真相を明らかにしていくという物語。 手引草というタイトルにふさわしく、吉原で働くさまざまな職業
    • どくしょ。るーむ。
    • 2009/06/17 12:24 AM
    吉原手引草 (幻冬舎文庫)幻冬舎 2009-04売り上げランキング : 58920おすすめ平均 真相は・・・藪の中?!花魁は何故消えた?Amazonで詳しく見る by G-Tools読み終わってみると、全ての章に伏線があることに気づくでありんす。ノリにノッた全盛の吉原で、花魁葛城の失踪
    • いつも読書人 
    • 2009/12/05 11:36 PM
    演技に工夫を凝らして新しい定九郎像を創造した江戸時代初期の歌舞伎役者、中村仲蔵を描いた『仲蔵狂乱』で記憶に残っておりました。その松井今朝子が新作を発表した。歌舞伎の世界に精通した著者が今回は遊郭の世界だ。『吉原手引草』。手にとらないわけにはいかんで
    • 日記風雑読書きなぐり
    • 2012/06/03 8:51 AM
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