「T型フォード殺人事件」 広瀬 正

2009.07.28 Tuesday

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    昭和40年代。コレクター泉氏の家でクラッシックカー「T型フォード」のお披露目として同好の士を招いたパーティーが開かれた。作家の白瀬、大学教授の早乙女、自動車整備士の二郎、そしてT型フォードの提供者疋田医師が招かれ、その他、泉の娘ユカリとその婚約者ロバートが加わる。
    宴の途中、疋田医師からこのT型フォードにまつわる過去の事件が明かされる。それは45年前、疋田医師の叔母、麻利子が因縁となった殺人事件だった…

    T型フォード殺人事件―広瀬正・小説全集〈5〉 (集英社文庫)
    T型フォード殺人事件―広瀬正・小説全集〈5〉 (集英社文庫)


    今まで広瀬さんの作品はSFだけだと思っていたのですが「T型フォード殺人事件」は本格的なミステリでした。45年前疋田医師の叔母、麻利子のついた嘘が波紋を呼び、彼女の婚約者がカギのかかったT型フォードの中で死体で発見される事件が起こります。
    それにしても広瀬さんの描写力はすごい。T型フォードの走る様子や昭和初期のフィルム映像が浮かぶようです。

    ・殺そうとした
    こちらも車にまつわるミステリ。
    自動車教習所の講師と若い人妻が愛し合うようになる。彼女は冗談半分に車を使った完全犯罪のトリックは無いかと尋ね、二人は遊び半分で殺人計画を話し合うが…

    立体交差
    こちらはSF。1964年、オリンピックを控えた道路工事現場で立ち退きに応じない家の強制執行を行う工事責任者。その時、家の中に現れたのは1984年の自分で、彼はこの家を避ける設計の道路「立体交差」の設計を促すのだが…
    マイナス・ゼロ」でもそうでしたが、広瀬さんのSFでは未来の自分と過去の自分が影響しあうんですね。過去の自分と未来の自分は同じ空間に存在してはいけないという説が多いのですが。
    でも、実際にだれも経験したことがないわけだから、どんなことになるかなんて誰にもわからないですしね。
    1984年ではサンマが高級食材で、自動発火装置のついたタバコ、派手な色に髪を染める女性など小さな未来描写も面白かった。
    ここまで極端ではないけれど、広瀬さんの予測は現代で的中しつつあるのもすごい。

    T型フォードの映像。今でも愛好者がいるんですね。


    マイナス・ゼロ→
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    鏡の国のアリス→
    タイムマシンのつくり方→
    コメント
    日月さん☆こんばんは
    車の歴史のみならず、流れ作業という工業化の第一歩を作ったT型フォードって、ずいぶん長い間作られていたんですねぇ!
    広瀬さんの凝り性な視点が、ここでも発揮されていましたね。(#^.^#)
    • by Roko
    • 2009/07/28 10:52 PM
    Rokoさんへ
    「夢をかなえるゾウ」にも、確かフォードのことが出てきましたね。「客が望む以上のものを提供する」ようなことをガネーシャがいってました。だから長い間生産が可能だったんですかね。
    広瀬さんの作り出す世界は今までにない視点で、ほんとうに面白いです。
    • by 日月
    • 2009/07/29 1:48 AM
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    T型フォード殺人事件―広瀬正・小説全集〈5〉 (集英社文庫)posted wit
    • Roko's Favorite Things
    • 2009/07/28 10:15 PM
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