2009.09.13 Sunday

「芙蓉千里」 須賀 しのぶ

有川浩作品「植物図鑑」と共に携帯小説サイトに連載されていた「芙蓉千里」。

芙蓉千里 あらすじ


明治末期、一人の少女・フミが中国大陸に渡った。彼女は角兵衛獅子で鍛えた身のこなしと舞の才能で、やがて哈爾浜(ハルピン)で名をとどろかす芸妓へと成長する。

自分を捨てた父親から母親は吉原の花魁だったと聞かされ、自らを女衒に売り込み、大陸一の女郎となるべく海を渡るフミ。親に売られたタエとともに哈爾浜の女郎屋・酔芙蓉で下働きを始める。酔芙蓉では元武家でお職の蘭花、妖艶な牡丹など華やかな女郎たちがあでやかさを競っていた。

ある日フミはスリから助けてくれた日本人の男・山村に出会い、特別な感情を抱くが、謎の多い山村は素性を明かそうとしない。そんな中、ハルビンを訪問した伊藤博文が暗殺されるという事件が起こる。見物客として一部始終を見ていたフミの視界には、あの山村がいた…

数年後、芸妓「芙蓉」を名乗り、彼女の舞に魅せられた貴族の次男、黒谷貴史からも援助をうけ、ハルピン一の舞姫に成長するフミ。しかし黒谷は普通の旦那ではなく、過去の心の傷からか、フミには色恋というよりも彼女の舞を愛している人物。そんな時、再びフミの前にあらわれた山村。彼についてゆくか、ハルビンで芸妓「芙蓉」であり続けるか、フミの選択は…

大陸に渡った少女たち


「芙蓉千里」では、当時の大陸で海を渡った女郎たちがどんな思いで、どんな生活をしていたのかが詳細に描かれています。明治期にアメリカ活躍した娼婦「風船お玉」さんはわりあい自由に行動していましたが、大陸の女郎たちは店と借金に縛られるのは内地と変わりはしないんですよ。

大志を抱いた大陸浪人の男どもと違い、女はどこへいっても苦労がつきまといます。それだけに、酔芙蓉の華やかさには目を奪われます。芸妓「芙蓉」となったフミの舞にも。

全体的に面白いお話なんですが、残念なのは携帯版とずいぶん違ったこと。登場人物の名前も変わってしまったし、好きなエピソードも削られてしまっていた。確かに長い連載だったので削ったことで話の筋はわかりやすくなったけれど。それと、歴史ものだとどうしても波乱の展開を期待してしまうんですよね。

物語の最初で伊藤博文の暗殺がでてきたので、その後もフミと山村が歴史的事件に絡んでいくのじゃないかと思っていたんですが。。

芙蓉千里
芙蓉千里
posted with amazlet at 09.09.11
須賀 しのぶ 角川書店(角川グループパブリッシング) 売り上げランキング: 13407

北の舞姫 芙蓉千里II<芙蓉千里> (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店 (2013-06-24)売り上げランキング: 56,384

暁の兄弟 芙蓉千里III (角川文庫)
須賀 しのぶ 角川書店 (2013-08-24)売り上げランキング: 423,233

永遠の曠野  芙蓉千里III
須賀 しのぶ 角川書店(角川グループパブリッシング) 売り上げランキング: 720,457


「くれないの紐」
痛快な明治女性の生きざまを描いた「義侠娼婦 風船お玉」→

レビューポータル「MONO-PORTAL」

JUGEMテーマ:オススメの本



Comment
こんばんは。
読む前は「面白いの?」と半信半疑でした。
知らない作家だし、調べるとラノベ作家だし。
ところが、読み始めるとページを捲る手が止められない。
読み終わったら、続きがすっごく気になります。
いつ出るやらの第二弾も楽しみですね。
しんちゃんさん
私も有川先生の「植物図鑑」と同時期に携帯で掲載されていたのでついでのつもりで読んでいたらハマりました、。ただもうちょっとフミを歴史的な事件にからませても面白いかなと思ったのですが、それは2部に期待ですね。
  • 日月
  • 2009/10/19 22:42
日月さん、ご無沙汰です。そうですか、「植物図鑑」と同じサイトに掲載されていたのですね。私は「植物図鑑」も大好きでした。携帯で小説を読んだことはないのですが(やっぱり、私は「紙」派です)…、侮るべからずなんですね。

「それでも、私は生きていく」そんな、フミの覚悟を決めた強さに惹かれました。そして、額に入れて飾っておきたくなるような表紙の絵も大好きです。







   
この記事のトラックバックURL : http://lbn.hizuki.lomo.jp/trackback/884212
芙蓉千里(2009/07/01)須賀 しのぶ商品詳細を見る 明治四十年、十二歳のフミは、吉原の花魁でお職だったいう顔も知らぬ母親への憧れから、女郎に...
  • しんちゃんの買い物帳
  • 2009/10/19 10:35 PM
須賀しのぶ先生というと、コバルトのとき読んでいました。 店頭で、イラストに惹かれたんですけど。 「文庫にならないかなぁ」とちょっとが...
  • 月の舟
  • 2009/12/28 6:46 PM
自ら人買いに自身を売り込み、「大陸一の遊女になる」と意気ごむ主人公・フミ。 辛い境遇をものともせずに逆境に立ち向かう彼女はおっとこまえです。 自分の運命は自分で変える、変えられる力を持つ、強い主人公にぐいぐい引っ張られてページをめくってしまう快感! ...
  • L4BOOKS - イラストですてきな小説と出会えるウェブマガジン。毎週月曜日更新
  • 2010/02/15 6:07 PM
   「芙蓉千里」 須賀しのぶ著 角川書店 11/04/25読了   久々のページターナーでした♪ 311の震災以降、もともと低い集中力が極限的に低下して、ろくに本が読めない状態というか… 本を読みたい気分にもなれませんでした。「芙蓉千里」は、活字を追い、ページ
  • おりおん日記
  • 2011/05/07 11:06 PM

Calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2018 >>

オススメ

Archive

Recommend

Recommend

Recommend

Recommend

Selected Entry

Comment

  • 「無伴奏ソナタ」 オースン・スコット・カード
    kazuou
  • いよいよ完結『ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~』三上 延
    latifa
  • [映画]箱入り息子の恋
    苗坊
  • BAR追分シリーズ『オムライス日和』 伊吹有喜
    日月
  • BAR追分シリーズ『オムライス日和』 伊吹有喜
    Fe
  • [ハッカ油活用法]ベビーパウダー+ハッカ油
    日月
  • [ハッカ油活用法]ベビーパウダー+ハッカ油
    牛くんの母
  • 活版印刷がつなぐ物語『活版印刷三日月堂 海からの手紙 』
    日月
  • 『アンマーとぼくら』有川浩
    日月
  • 活版印刷がつなぐ物語『活版印刷三日月堂 海からの手紙 』
    苗坊

Link

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM