「つむじ風食堂の夜」 吉田 篤弘

2010.01.16 Saturday

0
    わたしは食いしんぼなので、物語のなかに食堂がでてくるお話が好きです。本なら「グアテマラの弟」「かもめ食堂」、映画なら「ホノカアボーイ」、「プール」、など、肩ひじ張らないおいしい料理と、そこに集まる人々の日常は、読んだり見たりするだけで幸せな気分になれるのです。

    「つむじ風食堂の夜」は月舟町の小さな食堂に集まる人たちのお話です。もともと食堂には名前がなく、十字路にあつまるつむじ風にちなんで客たちが「つむじ風食堂」と呼ぶようになったのです。
    メニューは食堂ではおなじみの定食をフランス風アレンジした料理。店の常連には人工降雨の研究から「雨降りの先生」と呼ばれている「私」、舞台女優の奈々瀬さん、帽子屋の桜田さん、果物屋の青年がおり、時おりことばをを交わしながら食事をしています。

    物語の舞台となる月舟町はなんとも不思議で懐かしい雰囲気の町です。路面電車が走る町、坂の上の銭湯から流れるお湯が地下を流れる音、商店街でひとつだけ、夜遅くまで店を開けている果物屋からは、果物の放つあかるい光。

    どこかにあって、どこにもないような、そんな場所。
    私も主人公のように月舟アパートメントの屋根裏部屋に住み、同じ机を二つ並べて研究と文章を書いて日々を過ごしてみたい。

    作者の吉田 篤弘さんはクラフト・エヴィング商會の方なのだそうです。クラフト・エヴィング商會は「どこかにいってしまったものたち」などノスタルジックで不思議な品々を紹介した本を作っていて、クラフト・エヴィングという名前は稲垣足穂の文章中からとられたのだとか。この本を読むと稲垣足穂の「千夜一夜物語」を思い出したのは、そういうつながりがあったからかもしれません。

    つむじ風食堂の夜
    つむじ風食堂の夜
    posted with amazlet at 10.01.15
    吉田 篤弘 筑摩書房 売り上げランキング: 166136

    どこかにいってしまったものたち
    クラフト・エヴィング商會 筑摩書房 売り上げランキング: 76023


    「それからはスープのことばかり考えて暮らした」→
    コメント
    この本、買ったまま放置してました…。
    感想ありがとうございます♪
    ぜひ読みたいと思います。

    私も食べ物が出てくる小説や漫画が大好きです(^^♪
    • by 小夜
    • 2010/01/18 12:44 PM
    小夜さんへ
    ノスタルジックな雰囲気の町と食堂に集う人々。こんな町に住みたくなります。

    童話やマンガでもたべものが出てくる話が好きですね。でもグルメマンガより、日常的な食事のシーンが出てくる漫画のほうが好きです。
    • by 日月
    • 2010/01/18 10:21 PM
    いつも楽しみに拝見してます。
    吉田さんの「それからはスープのことばかり考えて暮らした」はもう読まれましたか?月舟町のサンドウィッチ屋さんが舞台の素敵なお話です。
    つだもくさん
    ありがとうございます。
    「それからはスープのことばかり考えて暮らした」はさっそく図書館で予約してきました。読むのが楽しみです。
    月舟町のサンドウィッチ屋さんなんて、聞いただけでわくわくします。( ̄▽ ̄)
    • by 日月
    • 2010/01/19 9:50 PM
    コメントする
    トラックバック
    この記事のトラックバックURL