「フリーター、家を買う。」 有川 浩
2010.03.08 Monday
面白くて一気に読んでしまった。「フリーター、家を買う。」武誠治は新入社員研修に嫌気がさしてたった3ヶ月で会社を辞めてフリーター生活を送っていたが、ある時嫁いだ姉・亜希子が帰省し母が重度のうつ病であること、父親・誠一の態度がもとで近所の人々から20年に渡って嫌がらせを受けていたことを知らされる。
母の治療には今の家を引っ越すことが必須だが、亭主関白で身勝手な父親は母の病気を「小心者の病気」と切り捨てようとする。その日からいいかげんなフリーター・誠治の家を買うための奮闘が始まった。
●ご近所いじめ
少しずつ心を喰い散らかすような、近所のいじめがもうほんとえげつなくて…(((; ゚д゚)))飼い猫にオイルを塗ったり背中の皮を切ったりするんですよ。有川先生は過去に「海の底」でも、近所のボス的な主婦が息子が片思いする女の子のをハブにしたり、クリスマスの電飾を町内でやらないと嫌がらせをしたりする主婦を描いてましたが、本当、一番怖いのは「世間」です。
●やっかいな父親
病気になった母親にまったく理解を示さない父親。世間体を気にして妻が自殺未遂をするまでその現実から目をそむけようとする。読みながらもう、むかついてむかついて…!(#`Д´)
でも誠治のバイト先のおっさんたちの意見を聞くと、男、特に会社である程度の地位にいる人間は、自分の未知のもの(この場合は妻のうつ病)を怖くて認めることができないのだそうです。
確かに、うちの父もそういうところがありましたし、つきあった男性も私が体調が悪い時ですら、気遣う言葉をかけてくれないことがあり、ケンカになったことがあります。後で聞いたら「どうしていいかわからなかった」と言ってました。ちょっとパニックになっちゃうわけです。まったく男ってやつは……!(#`Д´)
誠治がプライド優先父親の操縦方法がわかってくると徐々に父親も態度を変えてきたので、後半は読んでいてだいぶ楽になりましたが。
●後半は熱血仕事小説
紆余曲折ありながらも誠治はバイト先の土木会社に就職することになります。もうここからは仕事小説になります。
事務方の仕事を兼任することになり、忙しいながらも充実した日々をすごしていきます。その後、人員を補充でやってきたのは、天性のお調子物・豊川と、現場監督を希望する生真面目な東大工学部出身の女性・千葉真奈美。誠治と真奈美は拾った猫がきっかけでなんかいい感じになりそうなのですが、いかんせん家族のことがあるので今一歩踏みきれないというじれったい感じの恋愛要素もちょこっとあり。
ただ、ひとつ残念なのは就職先の会社がよく書かれすぎなこと。
実際に建築や土木、建築関連資材会社に勤めたことがあるので、現場担当ごとの派閥やワンマン上司など、どこの会社にもあるような問題は必ずあるので、その編も少し織り込んでほしかったな。
・2010年10月からドラマ化決定!→
・[ドラマ]フリーター、家を買う 第1回→
有川作品感想
・旅猫リポート
・ほっと文庫 「ゆず、香る」
・クジラの彼
・ラブコメ今昔
・阪急電車
・海の底
・空の中
・レインツリーの国
・三匹のおっさんふたたび
・三匹のおっさん
・キケン
・ヒア・カムズ・ザ・サン
・シアター!
・シアター2!
・植物図鑑
・県庁おもてなし課
母の治療には今の家を引っ越すことが必須だが、亭主関白で身勝手な父親は母の病気を「小心者の病気」と切り捨てようとする。その日からいいかげんなフリーター・誠治の家を買うための奮闘が始まった。
●ご近所いじめ
少しずつ心を喰い散らかすような、近所のいじめがもうほんとえげつなくて…(((; ゚д゚)))飼い猫にオイルを塗ったり背中の皮を切ったりするんですよ。有川先生は過去に「海の底」でも、近所のボス的な主婦が息子が片思いする女の子のをハブにしたり、クリスマスの電飾を町内でやらないと嫌がらせをしたりする主婦を描いてましたが、本当、一番怖いのは「世間」です。
●やっかいな父親
病気になった母親にまったく理解を示さない父親。世間体を気にして妻が自殺未遂をするまでその現実から目をそむけようとする。読みながらもう、むかついてむかついて…!(#`Д´)
でも誠治のバイト先のおっさんたちの意見を聞くと、男、特に会社である程度の地位にいる人間は、自分の未知のもの(この場合は妻のうつ病)を怖くて認めることができないのだそうです。
確かに、うちの父もそういうところがありましたし、つきあった男性も私が体調が悪い時ですら、気遣う言葉をかけてくれないことがあり、ケンカになったことがあります。後で聞いたら「どうしていいかわからなかった」と言ってました。ちょっとパニックになっちゃうわけです。まったく男ってやつは……!(#`Д´)
誠治がプライド優先父親の操縦方法がわかってくると徐々に父親も態度を変えてきたので、後半は読んでいてだいぶ楽になりましたが。
●後半は熱血仕事小説
紆余曲折ありながらも誠治はバイト先の土木会社に就職することになります。もうここからは仕事小説になります。
事務方の仕事を兼任することになり、忙しいながらも充実した日々をすごしていきます。その後、人員を補充でやってきたのは、天性のお調子物・豊川と、現場監督を希望する生真面目な東大工学部出身の女性・千葉真奈美。誠治と真奈美は拾った猫がきっかけでなんかいい感じになりそうなのですが、いかんせん家族のことがあるので今一歩踏みきれないというじれったい感じの恋愛要素もちょこっとあり。
ただ、ひとつ残念なのは就職先の会社がよく書かれすぎなこと。
実際に建築や土木、建築関連資材会社に勤めたことがあるので、現場担当ごとの派閥やワンマン上司など、どこの会社にもあるような問題は必ずあるので、その編も少し織り込んでほしかったな。
・2010年10月からドラマ化決定!→
・[ドラマ]フリーター、家を買う 第1回→
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・ラブコメ今昔
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・空の中
・レインツリーの国
・三匹のおっさんふたたび
・三匹のおっさん
・キケン
・ヒア・カムズ・ザ・サン
・シアター!
・シアター2!
・植物図鑑
・県庁おもてなし課
JUGEMテーマ:小説全般
たとえ就職できてもそこで耐えることができなくて脱落する人がかなり多いのが現実です。
その辺をテーマにもう一冊書いていただけないかしら?なんて思いながら読んでました。