「鏡花夢幻―泉鏡花/原作より」 波津 彬子

2010.09.17 Friday

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    泉鏡花の名作を「雨柳堂夢噺」の波津彬子さんが美しいタッチで描く「鏡花夢幻」泉鏡花の代表作の三作を、ほぼ原作に忠実に描いています。




    天守物語


    姫路・白鷺城の天守閣。天守閣の主・富姫のもとへ妹分の会津の亀姫が遊びにくる。富姫は夜叉ヶ池の雪姫へ、雨を頼みに。城主たちの狩りが、亀姫の道中、迷惑になるからだ。

    亀姫は手土産に姫路城主によく似た弟の生首をもってくる。美しい女性たちが生首を「おいしそう…」ともらすのは、彼女たちが実は人間ではないから。

    亀姫へのお返しにと、城主の鷹を奪い取った富姫ですが、その夜、奪われた鷹を取り戻しに若侍・図書之助が天守にやってくる。やがて富姫と図書之助は恋に落ちるものの、横暴な城主は図書之助に言いがかりをつけ、図書之助を成敗しようと…。

    富姫の侍女たちが天守から露をたらして秋草を摘むところや、富姫が蓑を白鳥に見立てて飛ばし、城主の鷹を奪うシーンなど、美しくてため息がでるほどです。

    玉三郎さんも舞台や映画で何度も富姫を演じています。妖艶でお美しい…。

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    夜叉ヶ池


    夜叉ヶ池のほとりで、古くからの誓約を守り、鐘をつく夫婦がいた。もし誓約をたがえて鐘をつくのをやめれば、付近一帯が水没するといわれている。

    一方、夜叉ヶ池の主・雪姫は誓約のせいで遠く離れた恋人に会えずにいるため、鐘を壊そうとするが、夫の帰りをけなげに待つ妻・百合の心に共感し、鐘を壊すのを思いとどまる。しかし、続く日照りに付近の横暴な村人たちは、美しい百合を人身御供に雨乞いを行おうとして…。

    蟹や鯉、なまずなど、雪姫の眷属たちがユニークで愛らしいです。

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    海神別荘


    乙姫の弟で海神の公子(王子)は陸で美しい女を見染め、妻に迎える。彼女は父親が欲する財産のために人身御供にされ、海の御殿に迎え入れられた。御殿の財宝のすばらしさ、またその夫人となる栄華をこの姿を一目、故郷の人々に見せたいと懇願するが、公子は「すでに貴女は人間ではなくなった」と告げる…。

    珊瑚や真珠、数々の財宝をもらえて、多少強引でも男前な公子と結婚できるなら、そりゃ故郷に自慢したくなりますよね。

    作中では江戸時代、恋人のために火事を起こした八百屋お七についても語られています。お七の魂は乙姫に引き取られ、美しい珊瑚の華となったが、男の方は魂が醜く、クラゲに変えられてしまったとか。

    漫画で読むと、泉鏡花の幻想的で格調高い物語がさらに美しく、詳細に再現されています。波津彬子さんの描写力がすばらしくて、美しい絵に読みながら毎回ため息がでます。

    海神別荘




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