「江戸の忘備録」 磯田 道史

2011.02.02 Wednesday

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    「武士の家計簿」―「加賀藩御算用者」の幕末維新』の磯田先生が送る、戦国から江戸、明治の古文書から読み解いた歴史秘話エッセイ「江戸の忘備録」。ひとつひとつの話が短く、わかりやすいので、歴史をあまり知らなくても楽しめる本です。古文書から垣間見る昔の人々の暮らしは、当時の重要な事件から、どうでもいいようなことまで種々雑多。

    ・大河ドラマ「江」の夫、秀忠は真面目人間


    秀忠さんは真面目な秀才タイプで、出張先で父親の家康が斡旋した女性に手をつけず、そのまま返してしまう堅物だったらしい。でも家臣には慕われていたようで、家康が一度秀忠を廃嫡しようとしたときは、家臣団がなんとか家康を説得したのだとか。偉大な父親と有名な息子に挟まれて歴史的には影がうすい秀忠ですが、二代目としてなかなか優れた人物ではあったようです。

    ・今も昔も同じこと


    江戸時代にも単身赴任があり、地方の武士達は参勤交代について江戸に行くこともあったそうで、残してきた家族にあてた注意事項や老親の介護を頼むなどの手紙が残されています。江戸時代は結構女性の立場が強かったので、親孝行はマスト業務だとしても、ふんぞりかえって嫁に介護を丸投げってわけにはいかなかったようです。

    それと、教育に関しても現代人以上に子どもの教育にお金をかけていたのだとか。「武士の家計簿」にも記載がありましたが、江戸時代は子どもの教育に家の存続がかかっていたわけですから必死で勉強させたのでしょうね。同じお金をかけても、回収率(?)は現代の方が格段に低そうですが…

    それにしても磯田先生の好奇心が実にいろんな方向にを広げられています。
    研究室の大そうじをするのがいやで、古文書を調べているうちにおもしろい記述に出くわしたり、学生たちと男色の資料を読みふけったりしています。読まされた学生さん達、どんな気持ちだったんだろう…(^^;)


    磯田先生はあとがきで、「牛が草を食んで美味しい乳を出すように、古文書を読みといて噛み砕き、世の人に伝えておもしろい出来事を伝えたい。」ということをおっしゃっていました。
    確かに、そこにどんなおもしろいことが書いてあったとしても、素人が古文書をみてもなんのこっちゃかわかりません。磯田先生はそんな歴史と現代をわかりやすくつなげる語り部の役割をになってくださっているのだと思います。


    江戸の備忘録
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    磯田 道史
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    コメント
    日月さん、こんにちは。

     「江戸の備忘録」のご紹介、楽しく拝読させて頂きました。
     特に、「あとがき」がステキですね。研究者って「究極のオタク」だと思うのですが、でも、磯田先生はオタクワールドに閉じ籠もっているのではなく、どんどん外へと発信していくところがいいですね。

     私も、是非、読んでみたいと思います。

     それでは、また。


     
    • by おりおん。
    • 2011/02/08 4:25 PM
    おりおんさんへ
    種々雑多な歴史の出来事をたくさん紹介してくれています。相撲の八百長は昔からあったとか、百姓でも苗字をもっていたとか、知らなかった事実がたくさんありました。磯田先生の歴史おたくっぷりも文の中にみえかくれしていて楽しいんです(^^)
    • by 日月
    • 2011/02/09 8:11 PM
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    • ベテランママは小説、エッセイ、ビジネス本大好き。あらすじ、ネタバレ注意
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