千年前も、夫の悪口は変わらん「蜻蛉日記をご一緒に」 田辺聖子

2011.05.10 Tuesday

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    田辺聖子さんの古典は面白い。
    難解な古典をわかりやすく、ユーモアあふれる文章で紹介してくれるので、ちっとも堅苦しくなく、古典文学を楽しめます。「蜻蛉日記をご一緒に」は、もともと講演会の内容を書籍化したものなので、口語体で書かれているのでわかりやすく、内容は多いですが、するするっと読めてしまします。

    しかし、題材となった「蜻蛉日記」。実はあまり好きではありませんでした。
    というのも、内容がただただ「夫への愚痴と非難を書き綴る日記」だからです。
    それに、夫の愚痴ばっかりこぼしていたせいか、息子の道綱はマザコンのアホ息子に育ってしまったりしたので、なんで千年前の女のぐちをわざわざ読まなきゃならんのだ、と思っていたのです。
    (兼家の息子には有名な藤原道長とか、歴史的にすごいひとが多いのに、道綱は気はいいけれど仕事ができなかったらしい)
    今で言ったら奥さんが夫の愚痴をブログに書いたり、子供に自分の恨みつらみをこぼしているようなもんです。

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    ただ、蜻蛉日記の作者(本名は伝わっておらず、通常兼家夫人もしくは道綱母と称します。)は非常に文才に優れていた方だったので、千年後も読み続かれていたのだそうです。田辺聖子さんの解説によると愚痴や非難文の中にも自然の描写がすばらしかったり、年をとるにつれて夫との仲を客観的に描写できるようになる変化など、いろいろと面白みのある作品なのだそうです。解説によると彼女のつくった歌はいくつもの掛詞や季節の言葉を幾重にもかけ合わせて巧みなものだったようです。

    歌詠みとして才能があり、プライドの高い蜻蛉夫人は夫・兼家の浮気や自分のところへ通ってくれない切なさを上手いこと甘えられずに、やっと夫が来ても嫌味っぽい歌をつくったり、すねて相手をしなかったりします。読んでいくうちに「この人もっと素直になればいいのに…」と思ったりするのですが、パートナーに対してこんな態度にでることは、現代の私たちにも多々あるかと。

    田辺聖子さんはそんな蜻蛉日記の作者を現代の女性の心情とも共通する部分や、男と女の考え方のちがいなど、面白く、興味深く伝えてくれています。やっぱり千年たっても女というものは変わらないんだなあ。(^^;)


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