夏になると読み返したくなる。『くらのかみ』 小野 不由美

2011.08.31 Wednesday

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    夏になると読み返したくなる本です。名作「十二国記」「ゴーストハント」の作者・小野不由美さんが描く子供向けの、けれど本格的なミステリ「くらのかみ」。

    古い田舎の家で、みんなと遊ぶ夏休みのワクワク感、夏が終わって帰る時の切なさなど、怪奇現象と現実が絶妙に混じり合って、不思議な夏休みの事件となっています。

    『くらのかみ』あらすじ


    耕介は、夏休みに父と一緒に田舎の大叔父の家を訪れた。この家は資産家だが子供が育たないため、子供のいる親戚を呼んであと継ぎを決めることになっていた。

    大人たちが話し合いをしている中、退屈した子供たちは蔵座敷で「四人ゲーム」を始める。真っ暗な部屋の四隅に4人ずつ座り、1人ずつ移動して隅にいる子の肩をたたく。これを順番に繰り返すと、いつの間にか1人増えているという。

    そうして明かりをつけた時、4人のはずの座敷には子供が5人いた。どうやらこの家の守り神「お蔵さま」と呼ばれる座敷わらしが混じってしまったらしい。でもみんな、どの子が座敷わらしかわからない。

    一方、座敷わらし騒動の直後、大人たちが食事の後で苦しみだした。料理に毒のある山菜「ドクゼリ」が混ざっていた。その場は事故として大人たちは処理するが、その後も沼に人魂がでたり、井戸が鳴るなどの怪異が起こる。犯人を突き止めようと耕介、梨香、真由、音弥、禅、光太の6人の子供たちは捜査を開始するが…。

    幽霊や妖怪、家にかかる行者の呪い、一見、たたりのような事故が発生しますが、実はそれにはちゃんとした犯人がいて、それを子どもたちが突き止めていく物語です。



    大人も子供も楽しめる、ホラーミステリ


    家にかかる呪い、家を守る座敷わらしといったホラー要素を含んだ上で、ミステリとしてのロジックもきっちりしています。特に座敷わらしの正体と、ドクゼリを入れた犯人の正体は、巧妙にリンクしているのです。

    物語の最後、いよいよ座敷わらしの正体がわかるのですが、特に怖い描写が書かれているわけではないのに、座敷わらしが去っていくシーンは、読んでいて背筋がぞわりとしました。

    「くらのかみ」は有名作家陣が児童〜ティーンむけに執筆した「ミステリーランドシリーズ」の1冊として書かれ、子供たちには本格的な推理が楽しめ、大人たちは、懐かしい子供のころを思いだせるシリーズです。


    ミステリーランドシリーズ
    「魔女の死んだ家」→
    「透明人間の納屋」→
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