現代歌舞伎のような吉原「吉原十二月」 松井 今朝子

2011.11.16 Wednesday

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    ふたりの花魁の半生を描いた「吉原十二月
    胡蝶と小夜衣、ふたりの異なる性格の花魁が妍を競い、蕾の禿(かむろ)時代から、華やかに大輪の花を咲かせるまでを、吉原の十二月の行事にからめて描いています。

    いや、楽しかった。吉原の風景と花魁たちのの絢爛豪華な姿、そして最後は廓中を巻き込んだ大事件と華麗な結末。まるで歌舞伎や芝居をみているような臨場感がありました。

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    読み進めていくうち思ったのは「小夜衣は女からみるとイラッとするタイプ」ということです。男から見ると、ミステリアスでおっとりしてて、何考えてるかわからないお嬢様タイプ。

    実際彼女は、幼い頃から思う相手がいるにもかかわらず、仕事以外で子供をはらんでみせたり(玄人の花魁にとって、妊娠は計画的な意図がないとほぼ不可能)、時に周りをあっと言わせる行動にでます。

    一方の胡蝶は、花魁には珍しく気持ちが手に取るようにわかる、裏表のないタイプ。
    ちょっと子どもっぽいところが玉にキズですが、気に入らない客は振る、花魁の信条である意地と張りを持っています。

    特に負けん気の強い胡蝶は、ことさら小夜衣と張り合うんだけれど、小夜衣の方はのらりくらりと嫉妬をかわし、時に天然だかわざとだか、わからないようなやりかたで胡蝶を炊きつけたりするし。

    やっぱり女側からみると、どうしても胡蝶を応援してしまうのですよ。

    けれどそんなライバル同士のふたりが、ただいがみ合っていたのかといえば、実はそうでもなく、一方が窮地におちいると、救いの手を差し伸べたり、心配しあったりする。共に苦界に育った女同士は、なんとも不思議な、強い絆で結ばれているようで、最後には男たちをあっといわせる事件を起こしてしまいます。いや、解決したのかな。

    最後の引き際も2人らしくてかっこよかった。

    吉原の花魁たちは、ただただ咲いているだけじゃない。そのプライドと才能をいかし、苦界を自らの足で歩んでいくのです。

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    「円朝の女」→
    「星と輝き花と咲き」→
    「吉原手引草」→

    JUGEMテーマ:時代小説
    コメント
    日月さん、こんばんは。
    やっぱり、断然いいですよね!
    私は、初めて読んだ松井今朝子作品が「吉原手引草」だったのですが… 私たちが一度も見たことがない吉原の世界を浮かび上がらせる力ってすごいなぁと思うのです。時代を超えてアナザーワールドにとっぷり浸かりました♪
    • by おりおん。
    • 2011/11/23 10:01 PM
    おりおんさん
    久しぶりに面白い話を読みました。吉原というとエロと女の戦いってイメージ(五社英雄の映画せい)を見事払拭し、本当の吉原世界を垣間見れた気がします。

    • by 日月
    • 2011/11/24 11:43 PM
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    「吉原十二月」 松井今朝子著 幻冬舎    「物語を読む」楽しみって、こういうことなんだよね―と思う一冊でした。 作者の仕掛けたトリックを見破った達成感とか、深い人生の教訓が得られるとか、「そう、その気持ち解る〜」という共感とかも、本を読むことの
    • おりおん日記
    • 2011/11/23 10:04 PM
    これであなたは最高級の花魁になれます。 吉原屈指の妓楼主になれます。 そして超一流のお客になって吉原の奥深さを味わい尽くせるでしょう。 実践しないで本を見るだけの読者にとっては五つ星の業界ガイドブックでございます。容貌(きりょう)も気性もまるきり違
    • 日記風雑読書きなぐり
    • 2012/06/03 8:43 AM
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