2012.01.04 Wednesday

「おしまいのデート」 瀬尾 まいこ

なんてことない人々の、よくある話。けれど、瀬尾まいこさんが描くと、どれも愛しく、切ない物語になる「おしまいのデート」。

・別々に住んでいるおじいちゃんと孫の「おしまいのデート
・卒業した教え子と教師が、月に一度定食屋で玉子丼をたべる「ランクアップ丼
・今まで全く話したことのないクラスメイト(男子)に誘われ、「デート」をすることになってしまった「ファーストラブ
・公園に捨てられた犬をめぐる男女の不思議な交流「ドッグシェア
・シングルファザーの父兄と恋仲になってしまった幼稚園の先生と、園児のかんちゃんのお話。「デートまでの道のり

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ランクアップ丼


私が好きなのは不良の男子学生が飄々とした雰囲気の先生と一緒に玉子丼を食べる「ランクアップ丼」。不良を更生させる、といった大仰な話ではなく、玉子丼を食べながら話すうちに、すこしずつ絆ができていく感じがユーモラスでちょっと切なくて。ラストの展開には不覚にもちょっと泣けてしまった。


どの話も「よくある話」と片付けてしまえそうな話です。でも、関わる人が違えば、物語もすこしずつちがうし、本当は「よくある話」なんてないのです。いったい、いつから私たちは愛おしい日常を「よくある話」として括って大切にしなくなったのでしょう。

瀬尾まいこさんの物語は、私たちが邪険に扱いがちな、人々のなんてことない日常を、丹念に拾い集めては磨き上げ、私たちの前に見せてくれます。瀬尾さんの話を読むたびに、大事なモノは日常にこそ潜んでいるのだと気づかされます。

「ありがとう、さようなら」
「見えない誰かと」
「天国はまだ遠く」
「優しい音楽」
「強運の持ち主」
「図書館の神様」
「幸福な食卓」

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