2012.02.05 Sunday

「奇面館の殺人」 綾辻 行人

館シリーズ第9弾「奇面館の殺人」読了しました。

前作「暗黒館の殺人」のような怪奇幻想的な本格推理小説を想像していたのですが、「奇面館の殺人」は、怪奇的な要素は少なく(それでも日常を逸脱した場の設定は存在します)ミステリの「お遊び」をふんだんに盛り込んだ、「ああっ!(゚д゚)!」と叫んでしまうような結末が用意されていました。

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「奇面館の殺人」 あらすじ


推理作家の鹿谷門実は、自分の容貌が似通った作家・日向京助と知り合い、風変わりな依頼をうける。
病気の自分の代わりに「ある会合」に参加して欲しいというものだった。
その館「奇面館」が、因縁のある建築家・中村青司の手によるものだと知らされた鹿谷は身代わりを引き受け、奇面感へと向かう。
影山逸史という資産家が主催するその会では、主人と似通った体型・似通った生年月日の人物が6人集められ、館に伝わる奇妙な仮面で、主催者・参加者共に顔を隠して対面するという、風変わりな趣向が行われる。
しかし、これまで中村青司のつくる建築ではこれまでも数々の殺人事件が起こってきた。
そして、今回、この奇面館でも新たな惨劇が起こることに…

反則ギリギリのフェアプレー


新聞の書評では「反則ギリギリのフェアプレー」と称されていたけれど、まさにそう!
真相は、誰もが手に届く場所にあるのに、まさかと思い、スルーしてしまうものの中に隠されていました。

綾辻さんの「館シリーズ」は、文章の細部に「ひっかけ用のヒント」と、「真相を導くヒント」を散りばめており、うまくヒントを探り当てれば真相に近づき、間違ったヒントで推理をしてしまうと、まったく違った方向に進んでしまいます。また、うまいこと「ひっかかり」を混ぜ込んでいるんだよねえ。

また今回おもしろかったのは、アルバイトのメイドとして事件に関わることになった、大学生の新月瞳子さん。
彼女も事件に関わっているのですが、彼女の探偵・鹿谷への印象は「普通の人の視点」なんです。

中村青司作の館の殺人は、いつも鹿谷が強引に仕切って推理するのですが、彼女は最初、「なんでこの人が捜査をするの?」という至極まっとうな疑問を持ちます。ま、そうはいっても彼が推理しないことにはお話にならないのですが。

ただ鹿谷は推理以外では人の心情をあまり解釈しない人間なので、たまにはうさんくさがられたり、やり込められたりすると、ちょっと痛快かも。( ̄ー ̄)

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「十角館の殺人」→
「水車館の殺人」→
「迷路館の殺人」→
「時計館の殺人」→
「月館の殺人 上巻」→
「月館の殺人 下巻」→

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Comment
こんばんは。
綾辻マジックは健在でしたね。
私も「ひっかけ用のヒント」にひっかかって、まんまと騙されました。
瞳子ちゃんの素朴な疑問が面白かったですね(笑)
このシリーズの探偵キャラはやや迷走しているように思えるので、案外作者の素直な思いなのかもしれませんね。
  • ia.
  • 2012/04/06 23:15
ia.さんへ
「これはひっかけ用だな」というヒントはなんとなくわかるのですが、だからといって真相のヒントの方はまったくわかりませんでした(^^;)

瞳子ちゃんはワトソン役として鹿谷さんとコンビを組んで事件解決すれば面白いかな、と思っています。
  • 日月
  • 2012/04/08 11:06





   
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新年早々、Amazonから「奇面館の殺人」の発送が1月下旬になるというお知らせメールが届き、少しがっかりしたウリ坊ですが、ほどなく、本が送られてきました。
  • ウリ坊の楽しい毎日
  • 2012/02/11 9:25 PM
綾辻行人さんの館シリーズ第9弾、「奇面館の殺人」を読み終えました。探偵役の作家・鹿谷門実は、自分とそっくりな作家・日向京助と出会いました。しばらくして鹿谷は、日
  • 日々の記録
  • 2012/02/25 11:28 AM
著者:綾辻 行人 感想: 『奇面館の殺人』綾辻行人さんの館シリーズ9作目。 知人の代理で『鬼面館』と呼ばれる館に招かれた鹿谷。季節外れの吹雪の山荘で《もう一人の自分探しの会 ...
  • どくしょ。るーむ。
  • 2012/04/06 11:07 PM
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  • 日々の書付
  • 2012/04/07 2:17 AM
奇面館の殺人 著者 綾辻行人 季節外れの吹雪で孤立した館、奇面館。主人影山逸史に招かれた六人の客はそれぞれの仮面を被らされた。前代未聞の異様な状況下で、事件は進展する。主人の〈奇面の間〉に転がっていたのは、頭部と両手の指を切り落とされた凄惨な
  • 読書と足跡
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