「ヒア・カムズ・ザ・サン」 有川 浩

2012.02.28 Tuesday

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    面白かった!有川浩の「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、演劇集団キャラメルボックスとのクロスオーバーから生まれた小説で、演劇と小説、それそれが生み出す物語がみてみたい、というある役者のつぶやきから生まれました。
    真也は30歳。出版社で編集の仕事をしている。
    彼は幼い頃から、品物や場所に残された、人間の記憶が見えた。
    強い記憶は鮮やかに。何年経っても、鮮やかに。
    ある日、真也は会社の同僚のカオルとともに成田空港へ行く。
    カオルの父が、アメリカから20年ぶりに帰国したのだ。
    父は、ハリウッドで映画の仕事をしていると言う。
    しかし、真也の目には、全く違う景色が見えた……。

    このたった7行のあらすじから有川浩が書き上げたのは、家族の愛と憎しみと再生の物語でした。

    ヒア・カムズ・ザ・サン
    小説雑誌「ポラリス」編集部で働く真也は「人の記憶が見える」能力で作家の気持ちに寄り添う編集者として好評だが、本人はその実力ではない能力に悩み、同僚のカオルの仕事ぶりに一目おいている。
    カオルの父はヒットしたアメリカ映画の日本人脚本家「HAL」で、20年ぶりに帰国するという。雑誌でHALの特集を組むことになったため、しぶしぶ父親との対面を果たすカオルと付き添いの真也。
    しかし、別の記者が手に入れた「HAL」の写真はまったくの別人だった…。
    脚本家「HAL」の正体についてはちょっとミステリのような展開でした。

    ヒア・カムズ・ザ・サンParallel
    こちらの世界の真也は、カオルとつきあい初めて3年、そろそろ結婚がみえてくる時期。真也はカオルから死んだと聞かされた父親が生きていて、アメリカから帰国するため、一緒に出迎えに行って欲しいと頼まれる。
    急な仕事の都合で、真也ひとりが父親を出迎えることになったが、そこへ現れた父親は、調子がよく、甘ったれで嘘ばかりついているような大人だった。
    けれど、そんなダメ人間な父親がカオルに会いに来たのにはある理由があって…

    作中の「親を諦める」って言葉が印象的でした。親も人間だから、時に子供の心を不用意に傷つけてしまうこともあるんですよ。そういう時は子供側がある程度「諦める」ことをしないと子供は自分を守れないんだよなあ。
    でも、カオルは口では憎しみを吐いても、心のどこかでだらしない父親を信じたい、って気持ちがあるんですよね。

    どちらの父親「HAL」も、カオルに対して深い愛情を持ってはいるのですが、表現の仕方が自分本位で、なかなかカオルに伝わらない。物語の中では真也と「特殊能力」で親子の気持ちをつなぐことができたけれど、親子関係はこじれてしまうと難しいよなあ。


    演劇集団キャラメルボックスの舞台版「ヒア・カムズ・ザ・サン」も、再演されたらぜひ観に行きたい!

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    有川浩さんの劇団を舞台とした小説。こちらも実際の劇団とのクロスオーバー企画もあったそうです。
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