2012.04.05 Thursday

『老妓抄』 岡本かの子

年々にわが悲しみは深くして いよよ華やぐ命なりけり
作中に書かれたこの歌が好きで、折々に読み返す、岡本かの子さんの「老妓抄」。

岡本かの子さんといえば、岡本太郎さんの母上で、まずその破天荒で壮絶な人生が浮かびます。芸術の神にすべてを捧げ、童女のまま大人になってしまったかの子さん。

その純粋さゆえに夫以外の男性を愛し、家に同居させ、精力的に歌を詠み、小説を書き…。
(ドラマ「TAROの塔」で寺島しのぶさんが演じた岡本かの子がすばらしかった。)

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そんな破天荒な人生を送ったかの子さんの書く文章は、意外にも派手な装飾を施すのではなく、一言一句、吟味されたことばで物語の世界を構築しているように感じました。これが岡本かの子のいう「芸術」なのかもしれない。

代表作「老妓抄」は、年を経た芸姑が、若い男性の、ひたすらに何かに打ち込む情熱(パッション)を見たいがために、彼の生活のめんどうをみてやります。

そこへ奔放な老妓の養女が関わり、奇妙な関係性がだらだらと続けられます。次第に若い男は情熱を失い、時々は老妓の元を去るのだけれど、関係を完全に絶ち切ってしまうこともできない。

岡本かの子の小説は、読むたびに深くなる気がします。また、自分が年を取って読み返すと、また違った景色がみえてきます。

若い方と話したり、青春映画をみた後は、なんだかワクワクしますもの。それは、自分が成し得なかったこと、見れなかった夢を勝手に託し、彼らの見せてくれる新しい世界を楽しみたいのかもしれない。

老妓の年に近づきつつある今の私が読み返してみると、老妓の気持ちが少しわかる気がします。

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瀬戸内寂聴さんが瀬戸内晴美時代に書いた、岡本かの子の物語「かのこ繚乱」。制作当時、岡本太郎さんをはじめ、まだ当事者が生きていたので、寂聴さんはかのこさんの「恋人」にも取材を行っています。

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