「風が強く吹いている」 三浦 しをん

2012.05.12 Saturday

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    たった10人で箱根駅伝目指す弱小陸上部の物語。「風が強く吹いている
    もう楽しすぎて、感想まとめるのが大変でした。読みどころが多すぎます。

    「風が強く吹いている」あらすじ


    高校陸上部で不祥事を起こしたカケルは、お金のないところを大学の先輩ハイジに誘われ、ボロアパート竹青荘に住むことになる。しかし、実は竹青荘は寛政大学陸上部の寮だった。ハイジは自ら才能を見出した他のメンバーたちと共に、「この10人で箱根駅伝を目指す」と宣言。

    リーダー・ハイジの指導のもと、アフリカ留学生ムサ、ニコチャン先輩、ユキ、神童、キング、ジョージ・ジョータ(双子)、王子たちとともに箱根駅伝を目指す…。

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    ・詩的で美しい、走る世界の描写


    特に好きなのは、ユキの走るシーン。普段より加速がつく下りの走路、そのスピードの果てにユキは「走のいつも観ている風景」を体感します。それは美しく心地いいけれど、人間には危うすぎる世界。

    そんな世界の住人であるカケルをユキは「おまえが目指している世界は美しいけれどさびしくて静かだ。生きた人間には、ふさわしくないほどに」とカケルの身を案じます。

    ・竹青荘(アオタケ)での男子寮生活


    詩的で美しい走る世界の描写とは対照的に、竹青荘(通称:アオタケ)での描写は日常的。
    ボロい木造アパートでは、家鳴りがひどいし、大雨が降ると雨漏りしてあちこちに器をおくハメになる。厳しい練習が終わると宴会して、時に意見の食い違いからケンカしたり。時には恋バナで盛り上がったり(以外な人がモテてたり)。

    みんなすごく楽しそうなんですよ。まさに同じ釜の(ハイジがつくった)飯を食い、走ることで気持ちがつながっていくんですね。

    ・カケルとハイジの師弟関係


    走ること以外に無頓着で不器用なカケルはハイジの指導と信頼関係により、スピードや記録以外の答えを探していく。また、ハイジはカケルの走りに自らの探す走りの可能性を見つけ、引き出していきます。お互いがお互いを必要とし、影響し合う様子は時に聖職者ような清廉さすら感じました。

    それにしても、いくら走る事以外無頓着とはいえ、自分の恋心まで気が付かないなんて、どんだけピュアなんだよカケル…Σ\( ̄ー ̄;)

    ・登場人物がみんな違って、みんないい(^^)


    走り方も性格も、まったく違う10人。そっくりの双子、ジョージとジョータもこの駅伝でお互いの道が異なることを感じ、ニコチャンは忘れかけていた陸上への情熱を思い出す。みんな見える景色も駅伝への思いも違う。

    でも、同じなのは、ハイジが目指すものをみんなで叶えようとしていること。どんなに辛くても彼らは走ることをやめない。それは駅伝が「10人が走って初めて完結する」から。

    アオタケ住人のなかでは神童くんが一番好きです。
    風邪で高熱がでて、辛い中でもみんなの精神状態を察して、リラックスさせるように気を配ることができる人。
    何気ない会話なんだけど、彼が話しかけると、みんなの気持ちがほぐれていくの。ムサさんとの友情もいいな。

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    レビューポータル「MONO-PORTAL」
    コメント
    これは絶対面白いよねO(≧▽≦)O
    駅伝に興味なくても楽しめる。
    スポコンっぽいけど飛雄馬ほどの根性は無い。
    普通の運動部とは一線を画したトレーニング法がいいです。
    最終的に優勝しないけどってところがいい落としどころだと思いました。
    駅伝については今もよくわかりませんが、知識がなくても楽しめますね。

    映画を先に見たのですが、まるであて書きしたように、ぴったりの配役でした。
    • by 日月
    • 2012/05/17 10:13 PM
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    「風が強く吹いている」は、ずっと気にはなっていたが読めないでいた本。ようやく読むことができました。 竹青荘というおんぼろアパートに住む寛政大学の学生10人。 4年生の清瀬(ハイジ)が、新入生...
    • 心に残る本
    • 2012/05/13 8:39 PM
    三浦しをん 『風が強く吹いている』(新潮文庫)、読了。 スポコンもの。しかも箱根駅伝がテーマということで、 これは青春小説の王道でしょう。 おんぼろアパート竹青荘に住む9人の学生を無理やり誘い、 大半が陸上素人のメンバーで、しかも、たった8か月の準
    • 観・読・聴・験 備忘録
    • 2017/02/21 9:46 PM
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