「第二音楽室―School and Music」 佐藤 多佳子

2012.07.19 Thursday

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    第二音楽室―School and Music」は、音楽と学校をテーマにした短編小説集。舞台も年代も違う、4つの音楽にまつわるストーリー。

    音楽に関する知識はなくても、音の表現や、子供たちの学校生活の描写が楽しくて物語に惹きこまれてい行きます。こうして改めてリコーダーの話などを読むと、学校で習う音楽ってちょっと独特な感じがしますね。

    第二音楽室
    鼓笛隊試験に落ちた小5の6人組はリコーダー担当。ある日リーダー格のルーちゃんが、使われていない屋上の第二音楽室を練習用に借りてきた。そこから第二音楽室が6人だけの秘密基地になった。時々練習をしたり、ふざけあったり、内緒でお菓子やカフェオレを持ち込んだり。
    学校の中の最高の秘密基地。ほこりっぽい古い教室にピアノ。こんな秘密基地があったら最高だろうね。(^^)

    デュエット
    音楽の先生の提案で、好きな男女ペアでデュエットをすることになった中学生の騒動。誰と誰がカップルになるか、告白したり、されたりのドキドキ感が伝わってくる。

    FOUR
    卒業式のイベントとして、リコーダーアンサンブルを組むことになった4人の中学生。大人っぽいアルトの千秋、子供っぽいけれど気になる中原、ノッポのバス担当中澤、ソプラノ担当の私。
    1年を通じて練習を重ね、徐々に4人の音が調和していく様子と、女の子たちの恋愛模様が描かれていて、ドキドキしながら読みました。それにしても中澤くん、気が利かないというか、女子2人の恋愛をその気はなくても水を指してしまうタイミングの悪さったら…(^^;)

    リコーダーにパートごとの種類があることを、この本を読むまで知りませんでした。音楽の授業でなおざりに習っただけのリコーダーがこんなに奥が深いなんて。
    4人が奏でるハーモニーの表現がとても美しかった。他のパートの音が、常に自分の中に存在して寄り添っているって、ハーモニーとして、すごく幸せことだと思います。それだけ、4人の音が融け合っている。そんなハーモニーが、本の中から聞こえてきそう。

    裸樹
    中学2年の時に受けたいじめがもとで学校にいけなくなってしまった「ウチ」。
    しんどい時に児童公園で聞いたアコースティックギターのメロディーと、助けてくれた女性のことが深く胸に刻まれた。その時聞いた「らじゅ」の曲はその時からウチの心の支えになる。
    高校生になってはからひたすら周りに気をつかって、バンドでも自分の意見を言えずにいる「ウチ」の前に、あの曲を弾いていた女性が現れ…。


    一瞬の風になれ」を読んだ時も感じたのですが、佐藤多佳子さんは、等身大の子供たちの目線や話言葉の表現がほんとうにうまい。この4編も時代背景も主人公たちの年齢もさまざまで、そのたびに話し言葉も微妙に違う。
    ただ、「裸樹」の主人公の話し言葉で構成されているせいか、一人称の「ウチ」が連呼されて読んでいてちょっとうざかった。(^^;)まあ、それはオバちゃんの目線で読んでいるせいかもしれませんが…。


    第二音楽室―School and Music
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    佐藤多佳子作品感想
    「一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-」→
    「一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-」→
    「一瞬の風になれ 第三部 -ドン-」→
    「しゃべれどもしゃべれども」→

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