2012.07.25 Wednesday

「アルジャーノンに花束を」 ダニエル・キイス

ダニエル・キイスの名作「アルジャーノンに花束を」を読みました。

32歳になっても幼児の知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼にあるとき大学の教授たちが、頭をよくする手術をしてくれるという。
物語はチャーリーが書いた経過報告という形で綴られていきます。手術前の報告書は句読点もなく、ひらがなや誤字だらけの文章でしたが、時間がたつにつれ、どんどんチャーリーの文章がうまくなっていき、最終的には学者レベルまで到達します。けれど、手術によって知能を手に入れたチャーリイを待っていたのは、今まで友人だと思っていた人々が自分を笑っていた事実、頭が良くなればなるほど、チャーリイは孤独に陥っていきます。

物語の後半、チャーリイと同じ手術を受けたネズミのアルジャーノンが不可解な行動を起こすようになり、そしてチャーリイも少しずつ獲得した知能が後退してゆく事実に向き合うことに…。

文庫版の冒頭、ダニエル・キイスはこう書いています。
「この本を読んださまざまな人々が、自分自身にチャーリイ・ゴードンを見出す」
と。
実は私も読みながら、チャーリイと自分に共通する部分を感じました。両親は私を愛してはくれましたが、ほんとうは男の子を望まれていました。周りに合わせることが苦手で、いじめられたこともあります。
そうした状況を打破するには、子供心に勉強をして周りを見返せれば、なめられなくなり、両親も期待をかけてくれるのではないかと。確かに知識はある程度蓄えることができましたが、不安は常につきまといます。

チャーリイは、せっかく獲得した知識が消えて行くのを、ただ観ているしかない。もしそんな状態に自分や家族がおかれたら、どうなってしまうのだろう…と考えずにはいられませんでした。

チャーリイはきっと、頭の良くなった半年くらいの間に、他の人が一生かかってもできない体験をしたことをは確かです。物語の終わり、その後のチャーリイの人生が幸せに満ちたものになるようにと、願っています。


アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)
ダニエル キイス 早川書房 売り上げランキング: 809


JUGEMテーマ:小説全般


Comment





   
この記事のトラックバックURL : http://lbn.hizuki.lomo.jp/trackback/946682

Calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>

オススメ

おすすめ記事

検索

Archive

Selected Entry

Comment

  • ビブリア古書堂、その後の物語。『ビブリア古書堂の事件手帖 扉子と不思議な客人たち』三上 延
    日月
  • ビブリア古書堂、その後の物語。『ビブリア古書堂の事件手帖 扉子と不思議な客人たち』三上 延
    latifa
  • 読者という希少種を、作家と出版社が奪いあう…というSFが読みたい
    日月
  • 読者という希少種を、作家と出版社が奪いあう…というSFが読みたい
    あひる
  • ゴッホを支えた日本人『たゆたえども沈まず』原田マハ
    日月
  • ゴッホを支えた日本人『たゆたえども沈まず』原田マハ
    latifa
  • バリューブックスで古本買取。送料無料で簡単。
    日月
  • バリューブックスで古本買取。送料無料で簡単。
    latifa
  • 「無伴奏ソナタ」 オースン・スコット・カード
    kazuou
  • いよいよ完結『ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~』三上 延
    latifa

Link

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM