「ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち」 三上 延

2012.11.04 Sunday

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    ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)」は北鎌倉の古書店・ビブリア古書堂の店主の栞子さんと、あるきっかけからビブリア古書堂の店員なった五浦大輔が、古書にまつわる事件を解決してゆきます。古書の由来と事件がうまく結びついている上質のミステリでした。

    店のある北鎌倉ってのがまた古書店に似合う場所なんですよ。実際にありそうに思えるのに、でもどこにもない空間。そんな店の奥には美しく、聡明なヒロインが本の謎を解き明かしてくれるんです。

    古書は新書と違い、本そのものに「物語」があります。これまでどんな人に読まれ、大切にされてきたのか、想像するだけでわくわくします。そんな本にまつわる物語を紐解いていくのがビブリア古書堂の店主・栞子さん。
    この女性がまあ、絵に描いたような「本の虫(本オタク)」なんです。
    古書にまつわるエピソードが詳しく、情緒的で、栞子さんの本の話に大輔と同じように惹きこまれていきます。


    第一話 夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)


    五浦大輔が、祖母の残した本の査定をビブリア古書堂に持ち込むものの店主は入院しており、病院を訪れるとそこにはかつて大輔が店で見かけて気になっていた女性・栞子だった。極度の人見知りで人と話すこともままならない栞子さんだったが、本に関することになると「スイッチ」が入ったように明るく、饒舌になっていきます。そして祖母がのこした漱石全集「それから」に残された署名。本の情報と署名から、祖母の過去の恋が紐解かれていきます。


    第二話 小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)


    ビブリア古書堂で働き始めた大輔は常連であるせどり屋(本を安く手に入れて高く売る業者)、志田から盗まれた本を取り戻して欲しいと相談を受ける。


    第三話 ヴィノグラードフ、クジミン共著『論理学入門』(青木文庫)


    初老の男が『論理学入門』を売りに来たが、その後すぐ彼の妻から「本を売らないで」と連絡が入る。『論理学入門』にまつわる夫婦の話を聞いた栞子さんは、夫が隠している秘密に気づき…。


    第四話 太宰治『晩年』(砂子屋書房)


    栞子さんの怪我は誰かから突き落とされたものだった。犯人は彼女の持つ希少本『晩年』を手に入れるため、じわじわと彼女を追い詰めていきます。栞子さんは本を守るため、大輔は栞子さんを守るため、「罠」を仕掛けます。この最終話は、少し恐ろしい結末でした。貴重な本のためなら、手段を選ばない「本好き」たちの行動にはゾッとします。栞子さんはそんな犯人から本を守ろうとするのですが、その方法は人より本を優先したものだったため、大輔は憤り、ビブリア古書堂を去る決心をしますが…。

    栞子さんの世界は、よくも悪くも本を中心に回っています。それはちょっと危うい感じがします。そんな彼女が、大輔と出会ったことで変わっていくのでしょうか。まあ、今のところ恋愛感情は皆無で、大輔のことは「本の話を聞いてくれるいい人」程度なんでしょうけど。がんばれ大輔…。


    ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
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    「ビブリア古書堂の事件手帖2 〜栞子さんと謎めく日常〜」
    「ビブリア古書堂の事件手帖3 〜栞子さんと消えない絆〜」
    「ビブリア古書堂の事件手帖4 〜栞子さんと二つの顔〜」
    「ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時〜」
    ビブリア古書堂シリーズで紹介された本が一冊に「栞子さんの本棚」

    古本屋を舞台にした小説・漫画
    「月魚」(三浦しをん)
    「ブンブン堂のグレちゃん」(グレゴリ青山)

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    JUGEMテーマ:読書感想文
    コメント
    こんにちは^^
    鎌倉に古書店って絵になりますよね。舞台も良くてまたストーリーが古書が絡んでくるので本好きにはたまりません。
    確かに栞子さんは本の世界に生きているので違う世界を見ていくというのは良いのかもですね。
    大輔には頑張っていただきたいです^^
    • by 苗坊
    • 2012/11/04 12:06 PM
    苗坊さんへ

    >たストーリーが古書が絡んでくるので本好きにはたまりません。

    そうなんですよ!古本て新書にない魅力がありますもんね(^ω^)

    栞子さんは魅力的なキャラクターですが、ちょっと人の感情(特に恋愛)に疎すぎるところがなんとも…(;´・ω・)
    • by 日月
    • 2012/11/05 6:56 PM
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    ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)著者:三上 延アスキーメディアワークス(2011-03-25)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る オススメ! 鎌倉の ...
    • 苗坊の徒然日記
    • 2012/11/04 12:05 PM
    書店に並んですぐの頃だったと思いますが、カバーのイラストに惹かれて興味を持ちました。その後、あっという間にベストセラーになり、本屋大賞にもノミネートされ、シリーズ化もされて・・・という流れには驚き、かつ複雑な心境ですね。そっとしまっておいて、落ち着い
    • 【徒然なるままに・・・】
    • 2012/11/05 7:40 PM
    JUGEMテーマ:読書感想文    ◆ビブリア古書店シリーズ     篠川栞子の頭は、冴えいますね。    ちょっとした話の内容から物事を読み取ったり    本に書かれているものから人物像を推理
    • こみち
    • 2012/11/05 9:37 PM
    面白かったです。
    • ポコアポコヤ
    • 2012/11/06 2:34 PM
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