『ビブリア古書堂の事件手帖3 〜栞子さんと消えない絆〜』 三上 延

2012.11.07 Wednesday

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    北鎌倉にあるビブリア古書堂。優れた洞察力で本に関する謎を解く店主・栞子さんと、彼女を支える店員・五浦大輔の周りで起こる古本にまつわるミステリ(と少しの恋愛模様)を描いた『ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)』は、シリーズ第三弾。10年前に失踪した栞子さんの母親のことが少しずつ語られていきます。

    第一話 ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』(集英社文庫)


    今回は古書会館でのセリの様子が描かれています。古書店は買取のほかに、本をセリにだしたり、入札・買取を行います。入札金額の設定も古書業者にとって経験と実力が必要なのだそうです。

    とことがそのセリ市で出品した覚えのない本が残り、そのかわりビブリア古書堂と因縁のあるヒトリ書房が落札した絶版本『たんぽぽ娘』が消えていた。栞子さんの母親を恨むヒトリ書房に、ビブリア古書堂が犯人だと疑われたため、栞子さんと大輔は真犯人を探し出すことに…。

    『たんぽぽ娘』は梶尾真治のSF「クロノス・ジョウンターの伝説」にも登場してました。興味があって読みたいと思っていたのですが、絶版なんですね、残念。

    第二話 『たぬきとイヌとワニがでてくる、絵本みたいなもの』


    第一巻「論理学入門」が縁で知り合った坂口夫妻の妻・しのぶから、タイトルのわからない、絵本のような本を探して欲しいと依頼を受けるが、タイトルも出版社もわからない。

    しのぶの実家にあるかもしれないが、両親とそりが合わないしのぶは、栞子さんと大輔を伴って実家に戻るが…。絵本を探すうちにきつい物言いの母親としのぶはケンカ別れをしてしまう。しのぶさんが『たぬきとイヌとワニがでてくる、絵本みたいなもの』と表現した絵本が、実は結構有名なキャラクターに関係していたのには驚きました。

    やがてお互いの心の中を吐き出し、しのぶさんと両親は和解するのですが、それは栞子さんと母親の関係と対比しているようで、ちょっと切ないですね。


    第三話 宮沢賢治『春と修羅』(関根書店)


    本にまつわる事件に関わったことで栞子さんの「古書探偵」の評判が噂になりはじめます。そんな折、栞子さんの母の同級生・玉岡聡子から盗まれた本を取り戻して欲しいとの依頼がきます。『春と修羅』に関するトリックも秀逸でした。

    まさかそんな価値があったなんて。これだから古本にまつわるミステリは面白いんですね。
    また、古書を遺した聡子の父親は、栞子さんの母親の才能を買っており、家にあった母親の絵は聡子の父親が描いたものだとわかります。この絵は今後キーワードになってきそうですね。

    プロローグ・エピローグ『王様のみみはロバのみみ』(ポプラ社)


    栞子さんの妹、文香は口が軽く、そのせいで過去、栞子が事件に巻き込まれたため、今では思ったことをパソコンに打ち込むことで、おしゃべりを抑えているらしい。日記のようなその文章は姉妹の日常や、ビブリア古書堂の仕事についても触れられています。文香ちゃん、影で大輔のことを「侍従」って…。

    実はこの「日記」には秘密があるのですがそれが『王様のみみはロバのみみ』のタイトルとリンクしているんですね。

    ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
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    3巻まででいろいろな謎が出てきました
    ・なぜ、栞子さんの母親は失踪したのか
    ・なぜ、「クラクラ日記」を栞子さんに遺したのか
    ・栞子さんの母親の謎の出自や写真嫌いというのも何か関連しているのではないか
    ・栞子さんの母親を描いた絵の中の、あじさいの意味は?

    きっとこれらの謎が、栞子さんと母親が再会する鍵になりそうな気がします。

    ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ


    『ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜』
    『ビブリア古書堂の事件手帖2〜栞子さんと謎めく日常〜』
    『ビブリア古書堂の事件手帖3〜栞子さんと消えない絆〜』
    『ビブリア古書堂の事件手帖4〜栞子さん2つの顔』
    『ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時〜』
    『ビブリア古書堂の事件手帖6〜栞子さんと巡るさだめ〜』 
    『ビブリア古書堂の事件手帖7〜栞子さんと果てない舞台〜』
    『ビブリア古書堂の事件手帖〜扉子と不思議な客人たち〜』
    『ビブリア古書堂の事件手帖II〜扉子と空白の時〜』

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