2015.12.08 Tuesday

「朝ごはん、ぬき?」 田辺聖子

田辺聖子さんの「朝ごはんぬき? (新潮文庫)」は、女流作家の家に住み込み家政婦兼秘書として雇われた女性が体験する、女流作家一家の奇妙な暮らしぶりがユーモアたっぷりに描いた作品。読んでいると思わずニヤリとしてしまいます。

朝ドラの「芋たこなんきん」で知ったのですが、田辺聖子先生のお家にも本当に秘書さんがいらっしゃるそうです。テーマは身近でも、本の内容は昭和50年代当時の夫婦の関係を皮肉った感じで、ユーモアに包まれた毒がきいています。

「朝ごはん、ぬき?」あらすじ


交際していた男から「俺、結婚すんねん」と言われ、やけっぱちになったマリ子は、会社もやめ、ツテをたよって女流作家・秋元えりか先生の元で住み込みのお手伝いをすることに。

ところがこのエリカ先生、女流作家の才媛さとは程遠く、小太り、オカッパ、白塗りの大阪のおばちゃん。締め切り前はイライラしはじめ「書きもんの神様」の降臨をひたすら待つ。その間にマリ子は編集者の電話対応に追われることに。また、えりか先生は、若くてイケメンの編集者・ノボルくんに熱をあげており、彼が来る日は朝からそわそわ、白粉をぬりたくり、喜々としてでかけてゆく。

朝ごはんぬき? (新潮文庫)
田辺 聖子
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どこか憎めない人々


マリ子さんが遭遇する、えりか先生の周りの人々は、えりか先生を筆頭として、夫の土井氏や娘のさゆりちゃん、編集者のじゃがいもこと有吉氏もちょっと変わっています。

土井氏は、えりか先生が家事(子育ても)まったくせず、まがまま放題であっても、どこかひょうひょうとして、マイペースで自分の趣味に勤しんでいるし、娘のさゆりちゃんは、両親とほとんど会話をしないで、カップラーメンばかり食べています。

傍から観ると、「家庭崩壊?」と思うのですが、でもこの家族、これはこれで、バランスがとれている気がするんですよね。えりか先生も、土井氏のことをおっさん呼ばわりするし、ほとんど世話をやかないんだけど、一回土井氏が倒れた時は、驚くほど取り乱しましたしね。

えりか先生も、ものすごくわがままなのだけど、風貌もふくめ、どこか憎めない。

田辺先生の、ユニークで軽快な大阪弁ならではの会話シーンは、おもわず「ふふふ」とほくそ笑んでしまいます。

夕ごはんたべた? (新潮文庫 た)
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田辺作品感想


「薔薇の雨」→
「孤独な夜のココア」→
「おちくぼ姫」→
「ほどらいの恋」→
「芋たこなんきん」→
「ジョゼと虎と魚たち」→

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