ジョーカー・ゲームシリーズ 『パラダイス・ロスト』 柳 広司

2012.12.10 Monday

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    旧日本陸軍のスパイ組織・D機関の活躍を描いた『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第三弾『パラダイス・ロスト』。スパイたちの繰り広げる頭脳戦は、読むたびに痛快で、ハラハラドキドキさせられます。

    誤算


    フランスへ潜入したD機関メンバー「島野」は、不測の事故で一時的な記憶喪失にかかり、自分の名前も任務も思い出せないまま、レジスタンスたちと行動を共にすることになる。彼らの隠れ家に身を隠すものの、そこにはドイツ兵たちが迫ってきて…。

    しかしさすがはD機関メンバー。相次ぐ誤算が生じた危機に「島野」は冷静に対処していきます。高い能力をもち、特殊な訓練を受けた彼らは、たとえどんな誤算が生じようとも、決して任務をわすれることはないのですね。

    失楽園


    シンガポールのラッフルズ・ホテルが舞台のミステリ仕立てのお話。シンガポール駐在のアメリカ武官キャンベルは、混血の美しい娘・ジュリアと恋に落ちる。しかし彼女にはイギリス人商人・ブラントの殺人容疑がかかってしまう。恋人の無実を証明するため、キャンベルは調査をはじめ、イギリス人将校がこの件に関わっているとつきとめるのだが…。

    「死は隠しておけない」ため、殺人を避けるD機関がどのように殺人事件に関わったのかといえば、ヒーローを自負するアメリカ人をたくみに扇動して動かしていき、必要な情報を本人に知られないままに取得していきます。


    追跡


    D機関設立者にして「魔王」と呼ばれるスパイ・マスター、結城中佐の過去はいかなるものだったのか。イギリス人記者プライスはその謎に迫り、ようやく結城中佐の少年時代を知る人物を探し当てる。「晃」と呼ばれたその少年は幼い頃から頭脳明晰で、人とは違う思考の持ち主だった。さすがはスパイマスター、子供の頃から優秀だったのね(*´∀`*)

    けれどスパイにとって正体を暴かれることは致命的なので、結城中佐の過去が簡単に暴かれてしまっていいんだろうか?と思っていたら、そこには幾重にも張り巡らされたトラップがあったのです。謎を暴いていると思っていたほうが、知らずに罠にかかっていたのですね。


    暗号名ケルベロス 前編/後編


    太平洋を航海する「朱鷺丸」船上で発生した殺人事件。D機関メンバー「内海」はイギリス諜報部員で暗号の専門家マクラウドを二重スパイとして徴用するため、マクラウドに近づくものの、あと一歩のところで毒殺されてしまう。一方船には乗船したドイツ人を尋問するためイギリス海軍が乗り込んでくる。

    不測の事態の中「内海」はマクラウド殺しの犯人とおもわれるコード「ケルベロス」に相当する人物を、「どんな犠牲を払っても探しだす」ことを決意する。

    ある意味密室である船の上での殺人事件。D機関メンバーである「内海」にとって、犯人探しはそれほど難しいことではありません。意外な犯人と動機には驚かされましたけどね…。


    パラダイス・ロスト
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    今回はスパイ活動より、派生した殺人事件のミステリ仕立てが多い印象をうけました。
    『パラダイス・ロスト』以後、日本は真珠湾攻撃を行い、太平洋戦争に突入するわけですが、開戦後のD機関はどうなっていくのでしょう。

    D機関シリーズ
    「ジョーカー・ゲーム」→
    「ダブル・ジョーカー」→
    「ラスト・ワルツ」→

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    • Roko's Favorite Things
    • 2012/12/10 10:45 PM
    第二次世界大戦時、結城中佐率いるD機関という優れたスパイ集団のお話。
    • ポコアポコヤ
    • 2012/12/24 10:34 AM
    小説「パラダイス・ロスト」を読みました。 著者は 柳 広司 「ジョーカー・ゲーム」シリーズ 第3弾 今回もD機関のスパイを見せていく構成 3つの短編と初の中編が1つ 最初の2つ「誤算」と「失楽園」は今までの感じで! 悪くはないけど そこまでの驚きもなかったか
    • 笑う社会人の生活
    • 2013/04/29 5:43 PM
    「パラダイス・ロスト」柳広司 誤算/失楽園/追跡 /暗号名 ケルベロス 前篇 /暗号名 ケルベロス 後編 の5編の短編集。 HPアリ D機関シリーズ その3 久々に本屋をプラプラして発見。 コレ、もう文庫化って、そんなに時は流れたか。。。 と思ったら、
    • 読書感想文 と ブツブツバナシ
    • 2013/07/23 10:53 PM
    「ジョーカー・ゲーム」、「ダブル・ジョーカー」に続く第3弾。 結城中佐率いる「D機関」のメンバーが活躍する。ネタばれあり。    【送料無料】パラダイス・ロスト [ 柳広司 ]価格:580円(税込、送料込) 「誤算」 1940年のパリが舞台。 ドイツに占領された
    • りゅうちゃん別館
    • 2013/09/15 9:34 PM
    「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」につづくD機関シリーズ第三作。今回も
    • 事務職員へのこの1冊
    • 2013/09/16 7:56 PM
    「パラダイス・ロスト」柳広司 角川書店 2012年(初出野生時代) 「ジョーカー・ゲーム」、「ダブル・ジョーカー」に続く、第二次世界大戦時の日本の諜報の先端を行く結城中佐率いるD機関の暗闘を描く短編集。 <誤算> 1940年パリ、レジスタンスと仲良くなった日
    • ふるちんの「頭の中は魑魅魍魎」
    • 2013/09/18 1:56 PM
    パラダイス・ロスト  大好きな推理小説  スパイ組織”D機関”の異能の精鋭たちを率いる“魔王”--結城中佐。  その知られざる過去が、ついに暴かれる!?   世界各国、シリー ...
    • ベテランママは小説、エッセイ、ビジネス本大好き。あらすじ、ネタバレ注意
    • 2015/03/14 9:21 PM
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