2013.06.30 Sunday

待望の十二国記新刊 「丕緒の鳥」 小野 不由美

待望の、本当に待望の十二国記シリーズの新刊「丕緒の鳥」が発売になりました。すでに発表された「丕緒の鳥」「落照の獄」の二編のほか、書下ろしの短編が2編収録されています。

「丕緒の鳥」を読み終わって感じたこと


・ホワイトハート版の痛快さを期待して読むと、えらい目に会う
・ファンタジーを超えた人間の物語
・泣きました゜・(*ノД`*)・゜・・

今までは十二国の王とその周辺の話だったのに対して、新潮文庫版の十二国記は、それぞれの時代、国で市井に生きる人々の話が中心です。

そこには「風の万里 黎明の空」のような痛快さや、「風の海 迷宮の岸」のような可愛らしさはなく、圧倒的な絶望の中から、ほんの僅かな希望を見出していく人々の姿が描かれます。


丕緒の鳥


yom yomでの感想はこちら→

改めて読みなおすと、ほんとうに美しい作品です。悲劇的ではあるのですが、きちんと救いがあって、大好きな物語です。大射のシーンは本当に美しくて、色彩が目の前に広がり、音が聞こえるような感じがします。


落照の獄


yom yomでの感想はこちら→
罪と罰。法と被害者の感情。現代でも通用する難しいテーマです。
この話が一番希望がない。けれどそこから、どう持ち直して行くかが、この国を荒廃から救う道になるのですが…。どうか、この国にも小さな希望が芽生えますように…。

青条の蘭


とある国。王がおらず荒廃が進む中で、山毛欅(ぶな)が次々に枯れていく現象が起こる。山を支える山毛欅の変異は、土砂災害をおこし、大災害につながると気づいた包荒と漂仲は、猟木師の興慶の助けを借り、山毛欅の病を抑える薬を探し始める。

やがて特効薬となる薬の花を得るものの、その蘭は増やすのが難しく、王の路木に願ってもらうしか方法がなかった。しかし財を投げ打ってまで願った漂仲たちの必死の思いは、欲に目が眩んだ役人の妨害により叶わなかった。最後の手段は直接王宮へ蘭を届けて願い出ること。雪の中、必死に王宮へ歩を進める漂仲は無理がたたって倒れてしまう。

漂仲が倒れた後、名も無き街の人々が「国を救えるなら」と、すこしずつリレーをして蘭を王宮まで届けていきます。圧倒的な絶望の中に生まれた小さな希望がつながっていく場面は、読んでいて涙が止まりませんでした。

最後まで読むと、どんな国の、いつの話かわかる仕組みになっています。

風信


慶国・予王の景麒への歪んだ愛に単を発した「国から女を追放する」命により、蓮華は家族や友人、育った街までも亡くしてしまう。国外退去のための旅の途中で王の死を知り、故郷に帰らず郡春官の屋敷に働くことにした蓮花。

保章氏の喜慶は暦を作る役職で、喜慶とその部下たちは天候や生き物の状態を調べている一風変わった人たち。蓮花もその手伝いをするうち、少しずつ暮らしに慣れていくけれど、そこにまた戦乱が…。

家族を失い、傷ついた少女が、保護者を得て生き物や自然によって傷が癒されていくのは「獣の奏者I」を思い起こさせます。

このとんでもない命令を、真面目に実行しているとは正直思いませんでした。けれどそのせいで不幸になった人が大勢いる。王が狂ってしまうと、民がどれほどつらい目に会うかを改めて感じました。陽子や延王にはそんな風になってほしくないなあ…。

丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫)
小野 不由美 新潮社 (2013-06-26)売り上げランキング: 2


JUGEMテーマ:ファンタジー小説

Comment
こんにちは。
「青条の蘭」も「風信」も、後の延と慶を知っていることで、気持ちの上で少しだけ楽に読み進められたと思うけれど、これが戴の話だったら辛くて辛くてなかなか読めない話だったかもしれません。
どうか救いのあるシリーズ完結をと、信じてはいますが、祈らずにはいられない感じです。

「丕緒の鳥」と「落照の獄」も、久しぶりに読み直して、特に「落照の獄」ではまたグルグルしてしまうところで、文庫化されて本当に嬉しいです。


  • たいむ
  • 2013/07/01 10:02
たいむさん

新潮文庫に移動してから、ちょっと切ない話が多くなって来ましたね。ホワイトハートは10代向けだったからでしょうか…。

でも、泰麒の話は少しでいいから希望があるといいですね。
  • 日月
  • 2013/07/03 23:28
こんばんは。TBありがとうございました♪
荒れている国の話が多くて、ちょっと切なかったですね。でも、未来を知っている読者には希望が見える仕組みになっていて(私は鈍いのでピンと来なかったのですが)そこはなかなか粋なはからいなんですね。
次の長編の刊行が待ち遠しいです。
  • EKKO
  • 2013/07/21 23:26





   
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待望のシリーズオリジナル短編集が発売された。一応12年ぶりということになるらしいが、2008年と2009年に「yomyom」に掲載された2編を含んでいるので、厳密に言えば新作書き下ろしとしては4年ぶり
  • たいむのひとりごと
  • 2013/07/01 10:01 AM
丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫 お 37-58 十二国記)著者:小野 不由美新潮社(2013-06-26)販売元:Amazon.co.jp 「希望」を信じて、男は覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大 ...
  • 苗坊の徒然日記
  • 2013/07/14 6:06 PM
12年ぶりの新刊ということで嬉しくて、店頭に並んだその日に購入、すぐに読み始めたのですが、ちょっと苦戦してしまいました・・・・。 私にとっては8年ぶりの十二国記。残 ...
  • アン・バランス・ダイアリー
  • 2013/07/21 11:38 PM

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