絶妙な配役。[舞台] 土方は二度死ぬ

2013.07.14 Sunday

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    ラピュタ阿佐ヶ谷ビルにある小劇場「ザムザ阿佐ヶ谷」で舞台「土方は二度死ぬ」を観てきました。

    物語は函館戦争直前、早乙女蓮次郎という一人芝居の役者が、新撰組隊士・島田魁に依頼され、土方の一代記を芝居にするため蝦夷にやってきた。そこには蓮次郎の世話をするお琴、五兵衛、剣の指南として派遣された新撰組隊士・酒井惣介、蓮次郎を函館まで連れてきた勝海舟の弟子・立花省吾などがおり、それぞれがそれぞれの立場で、この芝居に関わることになる。

    ●絶妙な配役
    配役は6人のみですが、役のひとりひとりに、異なった思いがあり、それが絶妙な配役でした。
    蝦夷の老人、五兵衛は、蝦夷そのものを表し(彼がいることで、架空の空間が蝦夷になる)、島田魁は芝居を使って土方を生かすため、立花省吾は蓮次郎を陰謀に利用するために。

    一方、蓮次郎との出会いによって、変わっていくのが酒井惣介とお琴。

    酒井惣介は土方を尊敬しているものの、蓮次郎の「土方化」により、徐々に別な感情を抱くようになり、お琴さんは、土方とわけありで、蓮次郎に接しているうちに徐々に思いが変化していきます。

    主人公の役者・蓮次郎は、芝居で土方を演じるため、土方の気持ちを追求していくことで、いつの間にか本物の土方とシンクロしていき、周囲を驚かせます。また、いままでチャラく、いいかげんだった蓮次郎は、芝居にのめり込むうちに芝居への情熱を取り戻し、夢を持つようになります。

    そんな夢を語る蓮次郎を眩しそうにみつめるお琴。

    「土方は二度死ぬ」といっても、土方歳三自身はほとんど登場しません。お琴や島田魁たちの口から語られるだけ。
    でもそこが面白かった。全員が土方に違った感情を描いているのが。

    ●印象的な登場人物
    高杉瑞穂さん演じる早乙女蓮次郎は、最初は軽薄でチャラい感じなのですが、芝居を通じてどんどんかっこよくなっていき、最終的は土方以上に土方らしくなっていきます。その変化がよくってねえ…。そりゃ、お琴さんじゃなくても情にほだされちゃいますよ…。

    内田讓さん演じる立花省吾、この人は最初のうちこそ紳士なのですが、物語が進むうちにどんどん歪んだ姿をみせていきます。大勢の命を護るためなら、手段を選ばないし、いろいろ暗躍しているし、おまけに再会した同門の後輩、惣介への恋慕の情を再熱させたり、その狂気的ともいえる姿がまた魅力的でした。

    惣介役の水谷百輔さんとの殺陣のシーン、カッコ良かった〜!BGMや効果音を一切使わず、小さい劇場なので、二人の息遣いが聞こえてきて、迫力があり、瞬きもせず見ていたら、あとで目が乾くこと!それほどカッコいい殺陣でした。

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