「銀河英雄伝説 黎明篇」 田中 芳樹

2013.07.11 Thursday

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    これまで舞台化・アニメ化もされてきた田中芳樹のSF超大作「銀河英雄伝説、黎明篇」を読了。
    壮大な宇宙時代の歴史と戦闘を描いた一大叙事詩のような大作。

    その導入部分であり、帝国側の主人公ラインハルトと同盟側の名将ヤン・ウェンリーが戦場で会合し、戦闘を重ねていく様子と、銀河帝国と自由惑星同盟、フェザーン自治領という銀河における主要勢力とその歴史が語られていきます。

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    SFというより軍記物


    SFというよりも、軍記物を読んでいるような感覚です。戦いには勢力ごとに掲げる正義はあるものの、それらはもはや支配者たちの都合による出兵となり、多くの兵が犠牲になっていきます。その犠牲の部分もきちんと描いているのが、ただのSFと異なるのでしょうね。戦いはかっこいいばかりではないのですから。

    自由惑星同盟側のヤン・ウェンリーは、軍人という立場を本当は持て余しているのに、時代と周囲が彼の才能を手放さないので、いやいやながら戦いを(味方の損害を少なく)続けていて、一方のラインハルトは、銀河皇帝にたった一人の家族である姉を奪われた恨みから、銀河、宇宙の支配者になることを目指して戦場にでる。

    この、立場も考え方もまったく異なる両者の戦闘は、読んでいてやっぱり面白い。

    そして、ラインハルトの親友で腹心で分身とまでいわれる、キルヒアイス。心優しい青年で、ラインハルトの野望をしりつつ、彼を支えています。ラインハルトとキルヒアイスの関係って、十二国記の王と麒麟の関係に当てはめるとしっくりきますね。慈悲の副官が病むと、王もまた…。ってところも似ているかも。今後の展開が楽しみ。

    物語の初盤である黎明編で、ラインハルトがあれだけ忌み嫌っていた皇帝があっさり死んじゃったのにはびっくり。もっと皇帝周辺のドロドロや皇帝自身の心情、アンネリーゼとの関係性についても、もうちょっと描かれると思っていたのですが。

    2018年ふたたびアニメ化。豪華声優陣による重厚な人間ドラマと圧巻の戦闘シーンが素晴らしい。

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