英国版 家政婦は見た!「英国メイド マーガレットの回想」 マーガレット・パウエル

2013.07.20 Saturday

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    1920年代の英国、キッチンメイドからコックになった英国女性・マーガレット・パウエルのメイド時代の体験を綴った「英国メイド マーガレットの回想」を読みました。

    当時の労働階級への差別と、つらい労働状況が描かれていて、古きよき英国に憧れる人にとっては、少し厳しい内容かもしれません。けれど、劣悪な環境の中でも、キャリアを積みながら努力を重ねていったマーガレットの姿は読み応えがありました。


    英国メイド マーガレットの回想
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    「エマ」と比較すると面白い


    森薫さんの漫画「エマ」は、マーガレットの時代から約30年前、ヴィクトリア朝時代のお話で、美しく教養高いメイドエマと、紳士階級で資産家の長男ウィリアムとの恋物語なのですが、マーガレットの回想を読むと、エマがいかにファンタジックで実際にはありえないラブストーリーなのかがわかります。

    「エマ」のストーリー→

    昔から紳士階級とメイドの結婚はあったようですが、そんなのはおそらく稀で、マーガレットの時代でもメイドは階上(雇い主)たちから、対等の人として扱われることはなく、劣悪な労働、環境で働いています。

    ただ、マーガレットの勤め先は「エマ」のように貴族や資産家の大邸宅ではなく、小規模な邸宅なので、労働環境などは違ってくるとおもいますが、メイドという職業は憧れるほどラクじゃないってことですね…。


    紳士階級と労働階級


    マーガレットの働いていた家の雇い主、上流階級(といっても、それほど金持ちでも位も高くない)の人々は、雇ったメイドを単に「労働力」としてしか考えていません。両者の間には埋められない格差への差別が存在します。

    ある時女主人に新聞を手渡そうとしたら、「銀のトレーに置いて渡してちょうだい」と、まるで汚いものを見るように言われます。

    けれどそんな辛い経験が、マーガレットを強く、したたかにしていきます。キッチンメイド(コックの下で働くメイド)の経験しかないのに、コックとして働いたり、まったく作ったことのない料理をつくって失敗したりしますが、それでも経験を積んで最終的にはフルコースまでつくれる料理人に成長していきます。


    1920年代・英国労働階級の婚活事情


    紳士的なイメージのあるイギリスですが、裏にまわると、上流階級のスキャンダルは日常茶飯事だし、メイドの中には主人や主人の親戚などと関係をもってしまい、捨てられて未婚の母になるといった悲劇も。

    マーガレットは、そんな同僚の姿をみて、コックを目指ながらも「ちゃんとした結婚相手を見つけて退職してやる!」と心に決め、結婚相手を見つけるべく、出入りの商人やダンスホールなどで、相手を探します。

    今も昔も、婚活女子は大変です(;´・ω・) 外出は雇い主の決めたルールに従わなければならないし、当時はまだメイドに対する偏見もあったようで、マーガレットは自分の職業を隠して男性とデートをしたりします。


    日本語訳を担当した村上リコさんは、「エマ」の森薫さんと組んで、メイド関連の専門書を手がけてます。その他にもヴィクトリア時代の著作も多数。

    「図説英国メイドの日常」→
    「エマ ヴィクトリアンガイド」→

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     これは、メイド生活を実体験したマーガレットの書いた本の全訳です  初版刊行から40年がすぎ、  書かれている体験談は、作者の40年前  つまり、80年くらい前のお話で ...
    • ベテランママは小説、ビジネス本大好き。あらすじ、ネタバレ注意
    • 2013/07/20 8:24 PM
     執事がいますところに、メイドあり、でございます。  執事生活に興味を持った方には  ちょこっと、こちらも読んでいただくと、執事生活がより深く理解できると思います ...
    • セレブな執事を放し飼い
    • 2013/07/21 5:36 PM
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