「銀河英雄伝説 乱離篇」 田中 芳樹

2013.08.31 Saturday

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    ああもう今回の乱離篇は、田中芳樹先生や銀英伝ファンの方には申し訳ないけれど、前半部分は逃げるようにページをめくりました。

    宇宙を手中に収め、銀河の皇帝となったラインハルトは、元自由惑星同盟のヤンとの勝負にこだわり、大艦隊を率いて最後の戦いに挑みます。本来は補給を断つなどして大軍勢なりの楽な勝ち方はあるのですが、ラインハルトはそれを快しとせず、正々堂々とヤンと戦おうとします。ヤンもまたラインハルトの期待に応えて知略をつくし、少ない戦力でラインハルト側の名将たちを圧倒します。

    ここはもう、戦争というよりも勝負、決闘のような感じです。

    しかしほどなくしてラインハルト側からの停戦と会談の要求がなされ、ヤンはイゼルローン要塞を離れることになるのですが、その途中、ヤンは命を落とします。

    銀河英雄伝説はSF小説ではなく「歴史」なので、1巻にでてきた、どーしょーもない人間に殺されてしまうのは、なんとも切ない展開でした。もし、ヤンのとなりにユリアンかあるいはフレデリカがいたら、また歴史は変わっていたかもしれないのだけれど、キルヒアイスの時と同じように、歴史は時として思いもよらぬ方向から覆されることがあるのです。

    ヤンの奥さん、フレデリカの言った言葉が、ヤンに対する愛情と、女性の心理を端的に表していました。
    本当に女は、男の主義や戦いなんて、どうだっていいんですよ。ただ生きてさえいてくれれば。
    このセリフ、大好きです。
    「真実をいうとね、私は民主主義なんか滅びたっていいの。あの人が私の隣で、半分眠りながら本を読んでいてくれていいたら…」


    後半は自由惑星同盟のみんながヤンの死を受け入れて、淡々と業務をこなしていくところが、日常的すぎて逆に悲しかったです。

    ラインハルトも、最大のライバルであり、自分に並び立つ存在のヤン・ウェンリーのことを評価していましたので、キルヒアイスの時と同様、衝撃を受けます。いつも自分を置いていってしまう、と…。

    しかし、友を失い、盟友を失っても、ラインハルトは覇道を歩まねばならないんですよねえ。

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