本当は怖い、銀行の話 「波のうえの魔術師」 石田 衣良

2013.08.28 Wednesday

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    銀行内の紛争を描いた話題のドラマ「半沢直樹」を今更ながら見始めたのですが、ほんと、銀行ってところは恐ろしいですね…。「半沢直樹」を見ると、絶対に銀行からは金借りちゃなんねえ、って思います。

    銀行を表す言葉として「晴れた日に傘を貸し、雨の日にその傘を取り上げる」っていうのがあります。会社が景気のいい時はどんどん融資をし、ちょっと業績が悪くなると融資を打ち切り、担保となった土地や社屋までも取り上げるという「ミナミの帝王」以上のおっそろしいところなんです。実は銀行って。

    そんな悪徳な大手銀行に、株取引(ディール)で戦いを挑むディーラーたちを描いたのが、石田衣良さんの「波のうえの魔術師」です。経済小説ではありますが、主人公が素人に設定されているので、経済用語もわかりやす、く解説がはいるので読みやすいですし、物語の展開が面白くて経済小説というより、娯楽小説として楽しめます。

    大学卒業後、フリーターとなっていた主人公の白戸則道は、パチンコ店で不思議な小塚老人に声を賭けられ、スタッフとして雇われることになる。実はその老人は「相場の魔術師」と言われる伝説のディーラーで、白戸は老人から相場と株取引についての知識を教えられ、来たるべき「事業」への計画に参加する。

    小塚老人の計画とは、大手銀行「まつば銀行」へ、ディールで復讐することだった…。

    「波のうえの魔術師」の中でも、銀行の暗黒面がいろいろと描かれています。業績不振の銀行員に、どんぶり一杯の味の素を食べさせるイジメがでてきますし、小塚老人の復讐は、銀行の老人向け変額保険で、友人を自殺に追い込み、家屋敷を奪い取られたこと(おまけにひそかに愛していた友人の妻がアルツハイマーに)が原因となっています。

    バブル時に銀行が行なった変額保険は、実際に社会問題にもなった事件だそうで、バブルが弾けて保険料を支払えなくなり、家や土地を手放さなければならなかった老人がたくさんいたそうです。

    タイトルの「波のうえの魔術師」は、株取引の値動きのグラフが、まるで「波のよう」にみえるところから。作者の石田衣良さんは実際に大学卒業後、株取引で生計を立てていた時期があったそうです。

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    すべての銀行がそうってわけじゃないでしょうが、こういう本を詠んだり、ドラマを見ると、銀行はお金を預けるところで、絶対にお金を借りちゃあいけないところだな、って思います…。

    石田衣良作品感想
    下北サンデーズ

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