斬新な視点での歴史アプローチ 『銃・病原菌・鉄 (上)』 ジャレド・ダイアモンド

2014.01.28 Tuesday

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    今まで、人類の歴史はただの必然、結果であって、それが覆る可能性なんて、考えたこともありませんでした。 『文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎』では、今まで人類が歩んできた歴史(主に征服の)が、どのようにして始まったのかを、食料生産の歴史から解き明かしていきます。

    長く、時には専門的な内容なのに、読んでいても、全然飽きない。それどころか、ページをめくるたびに謎が溶けていくようで、ワクワクすしました。

    ピンポイントからグローバルへ


    ・インカがスペインを征服する可能性なんて、考えたこともなかった。


    だって、インカ帝国の人、圧倒的に不利なんですもん。スペインの持ち込んだ銃・病原菌・鉄(と馬)にやられるし、敵を伝説の神だと思い込み、黄金集めても王様を殺されちゃう、世界史の中でも弱く哀れな事件だと考えていました。

    『銃・病原菌・鉄(上)』ではなぜ、逆にインカ帝国がスペインに侵攻することができなかったのか、その理由について考えていきます。そもそもなぜ、インカの人々はスペイン人がもちこんだ病原菌に耐えられなかったのか。

    それは、スペイン人が病原菌に対する免疫を獲得していたからであり、じゃあどうして免疫を獲得することができたのか…。

    ひとつの歴史的な事実を検証して進んでいくと、また新たな疑問が浮上していき、人類全体の歴史へも関係してきます。

    ・地域格差と食料生産


    こうした地域格差の原因として、食料生産と家畜の取得にあるとジャレド・ダイアモンド氏は語っています。
    地域ごとの文明の発展速度は、人類が農耕を営み、定住が始まりつつあった一万三千年前からすでに始まっていたのだそうです。

    ざっと、書いてみるとこんな感じでしょうか。

    食料の生産が始まる→食糧事情に余裕がでてくる→生産者以外の人間があらわれる(王や軍隊)→文明が発展→発展していないところへ侵略→植民地支配

    確かに、狩猟採取だと、安定的に食料を確保することができないため、人口が爆発的に増えることはなく、そのため多くの軍隊を所有することができませんものね。
    では、なぜ、食糧事情に格差が生じたかというと、これもまた原因があるわけで…。


    ・恵まれていたユーラシア大陸


    さて、大航海時代がはじまるとヨーロッパの国々は新大陸に向かい、次々に国を征服し、移住していきます。

    どうしてヨーロッパがこれほどの発展をとげられたのか、それはユーラシア大陸の環境がもたらしたものらしい。ユーラシア大陸は、ほかの大陸よりも横に長かったことが一因とされます。

    これもざっと書くとこんな感じ

    緯度が変わらないため、栽培できる植物の環境が似ている→そのため農耕の伝わり方がほかの大陸より早い→おまけに家畜になる動物がほかの大陸よりも多かった。


    歴史の授業も、ピンポイントに出来事だけ教えるのではなく、こうした世界全体を俯瞰する視点で物事を考えられれば、もっと楽しくなりそうですね。

    文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
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