ガイジン視点の日本食体験 『英国一家 日本を食べる』 マイケル・ブース

2014.01.14 Tuesday

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    私はよく、日本びいきがすぎて、変な行動をおこしてしまう外国人のネタをネットで観るのが好きなのですが、『英国一家 日本を食べる』のブース家は、まさにそんな日本食の魅力にはまってしまった、英国人家族の日本食体験記です。

    高級料亭や天ぷらといった定番料理からラーメン、お好み焼き、串かつなどジャンクフードまで、さまざまな日本料理を体験したイギリス人一家の食の冒険は、普段食べなれた日本の食が、違った視点で描かれていて、日本人が読むと新鮮な感じです。


    相撲部屋からBISTRO SMAPまで


    英国一家 日本を食べる』は、ただの観光日記というわけではありません。ブース氏の職業は、れっきとしたフードジャーナリスト。日本食についてのレポートをするため、3ヶ月の間北海道から沖縄まで調査・インタビューを行います。

    そのため、普通の観光客では入れない、相撲部屋でのちゃんこ試食や、なんと、ビストロスマップの収録現場にまで潜入しています。わたしたちは普段何気なく見ているビストロスマップですが、実は若い男の人が料理することを日本に定着させた画期的な番組だったのだそう。これも、日本の外側から見てみないとわからないことかもしれません。

    子どもたちの体験


    ブース氏の日本食体験や関係者インタビューの間に、彼の2人の息子たち、アスガーとエミル、彼らの目を通した日本での体験がとてもほほえましくて、それがフードレポートではない、微笑ましい印象を読者に与えてくれます。
    相撲部屋で把瑠都と立ち会い、彼を倒してびっくりするアスガーや、日本に来る前はひどい偏食だったエミルがすっかり鮨や天ぷらが食べられるようになったり、彼らの体験と成長も、読者を和ませてくれるのでした。(*´∀`*)


    日本人の知らない日本食


    この本の作者、ブース氏はイギリス人。失礼ながら「あの」(世界的にもまずいといわれる料理をつくる)国の方なので、日本食について多少の偏見や、思い込みが入っているのではないかと思っていたら、むしろ逆。

    そうめんや冷や麦の違いから、食材の栄養価、力士の栄養摂取と持病についてなど、ほとんどの日本人でも知らないような日本食や食材、日本文化や、取材当時の日本のニュースついてまで、丹念に調べあげ、表現していることに驚きました。そしてなにより、だしの旨みというものを、ブース氏は、ヘタな日本人よりも味を理解していました。


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    アニメにもなりました!
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    かつて、林望先生は名エッセイ「イギリスはおいしい」で、イギリスのまずい食事と素材そのものの美味しさ、イギリス料理をつくる愛すべきイギリス人について、ウイットに富んだ文章に紹介されていました。

    その20数年後、今度は日本が「おいしい」の対象としてイギリス人から紹介されるとは思いもよりませんでした。日本人からみたイギリス料理、イギリス人からみた日本料理、両方を読み比べてみるとまた面白いです。

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