闘争の終わりに。『乙嫁語り6』 森 薫

2014.01.15 Wednesday

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    乙嫁語り6巻は、全編を通じて激しい騎馬による領土争いがメインのお話です。これまでのように、中央アジアの生活の様子が描かれないのがちょっと残念ではありますが、迫力のある巻でした。

    「乙嫁語り」は、20歳の花嫁アミルさんと、12歳の花婿カルルクさんを中心に、中央アジアの生活が描かれていく物語ですが、以前(乙嫁語り2)で、アミルさんの実家ハルガル一族と、婚家の町との争いがあり、一旦は諦めたかにみえたハルガルが、ロシアの後ろ盾をもつ部族バダンと組み、土地を奪うため再び町に侵攻してきます。

    家長のやり方に不満をもつアミルの兄・アゼルは一計を案じ、従兄弟のジョルクを通じ、アミルに逃げるよう伝えるのですが、アミルはカルルクとともに残って戦うことを選ぶ。やがてバダンは裏切り、ハルガルごと街を攻撃しはじめ…

    躍動的な騎馬戦


    馬上で弓を放ち、アゼルのスピード感あふれる戦闘シーンはまさに圧巻。遊牧民の戦闘能力の高さがすごい。危険と隣り合わせの生活なので、こうした戦闘能力が培われていたのでしょう。でアミルさんが布に石を巻いて投げつけるのも、きっと日常的に使われていた技だと思います。

    女性たちの戦い


    この戦闘のさなか、女性たちは奥の建物のに避難していたようですが、カルルクが自分の父親に襲われているのをみて、建物を抜けて父親に逆らい、カルルクを助けようとします。この時代の中央アジアでは、父親(家長)の権力は絶対で、娘が父親に逆らうことなど許されないのですが、アミルはそれでも夫とともに戦うことを選びました。

    女性たちも、単に避難しているだけではなく、アミルを助けた兄アゼルを街のものがリンチしようとしたときは、「命は命をもって報いるべきだ」と男たちに意見します。この部分だけをみても、この世界では女性の意見が重要な場面で取り入れられていたと思われます。

    少なくともいまの(一部の)イスラム社会よりは、女性の地位が高かったのではなかろうか、と考えられます。

    乙嫁語り 6巻 (ビームコミックス)
    森 薫 KADOKAWA/エンターブレイン


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