[舞台感想] えげつなくて、美しくて、切ないおとぎ話。  柿喰う客公演 『世迷言』

2014.02.05 Wednesday

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    柿喰う客『世迷言』東京公演(本多劇場)を観てきました。柿喰う客メンバーの他、名優・篠井英介さん他、若き実力派俳優さんをゲストに招きえげつなくて、美しくて、切ないおとぎ話が紡ぎださせていきました。

    まず、冒頭から度肝を抜かれました。奇っ怪なメイク、奇抜なスーツに身をつつんだ登場人物たちが、お伽話を演じていく。その異様さに目を背けたいのに、いつの間にか惹きつけられ、惹きこまれてしまいました。

     柿喰う客公演 『世迷言』

    ・『世迷言』あらすじ


    竹から生まれ、美しく成長したかぐや姫。彼女のもとには数多の求婚者が訪れ、時の帝も姫に結婚を迫る。
    しかし、姫は「夢の中に現れる鬼を、退治してくれた方と結婚する」と条件を出す。
    帝は軍師に知恵を借り、森に住む大猿の一族に助太刀を頼む。しかし、猿の皇子は「助太刀の代償として、帝の妹を我が嫁に。」と望み、帝は非情にも妹君を猿に渡して、鬼退治へと向かう。やがて鬼の口からは、姫の出自の慮外な話が語られる…。


    ぐいぐいと惹き込まれる、異端のおとぎ話



    ・異説・かぐや姫


    本当に、かぐや姫は竹から生まれたのか。
    自分は何者なのか、そんな疑問を姫が抱いたがために、やがておのれの悲しい出自を知ることになります。
    かなり大胆な異説ですが、確かにこれなら竹から生まれた不思議な出自に納得がいくのです。果たして姫は人なのか、それとも…。かぐや姫の故郷とされる「月」と、女の証である「月」が見事に物語と合致しています。


    ・異種婚姻譚


    『世迷言』では、人外のモノと、人との交わりが描かれます。それは時に絆を育み、時に悲劇を産んでいく。
    昔話に様々な形で登場するこれらの婚姻は『異種婚姻譚』といわれ、たいていは悲劇に終わります。人と人外が心を通わせられるのは稀なことだから。

    けれど、猿の皇子と、帝の妹君は「命の理を乗り越え、魂の絆によって」結ばれ、絆を育み、子をなすことになります。まあ、最初は妹君のやけっぱちからでしたが(;´・ω・)。
    やがて死を覚悟して鬼退治にいく猿皇子に、妻は「だれがこの子に、男の生き様を教えるのですか。」と、無事に帰ってほしいと願います。

    他の登場人物たちが、己の欲望ために交わろうとするのに対し、このカップルだけ純粋で美しく、見ていてとても、幸せな気持ちになれました。

    古典と現代劇の絶妙な混合



    ・独特の世界観


    『世迷言』の劇中、能や狂言のような台詞回しが出てきます。難しいかと思いきや、案外するすると言葉が脳に響いてきます。中屋敷さんの言葉選びがすばらしいのと、古典芸能のもつ独特のリズムは、日本人に受け取りやすくなっているのかもしれません。

    舞台美術やダンス、台詞回しなど、新しいものと古いもの、古典と現代劇が交わって不思議な世界観がつくられていました。もしかして、古典芸能の名人たちが今の世を生きていたら、こんな表現をするかもしれない。

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