2014.04.13 Sunday

「村上海賊の娘 下巻」 和田 竜

村上海賊の娘 下巻」読了。つくづく、歴史をあまり知らないでよかった。そのおかげで、どちらが勝ち、誰が死ぬかなんて知らずに楽しめたから。無知もたまには役に立つものです。

「村上海賊の娘 下巻」あらすじ


信長と敵対し、劣勢の大坂本願寺に兵糧を送るため出発した村上海賊と毛利家臣団。しかし、小早川隆景の意向により、船団は淡路島から引き返す手はずとなっていた。村上海賊の娘・景は、本願寺の門徒を救うため、敵味方へ必死の説得を行うものの、景の正義は男たちには通じず、海戦は回避されるかに見えたが…。

『村上海賊の娘 上巻』→

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ヒロイン・景の成長


違法の船を成敗する海賊働き、その単純な正義こそが景のすべてでした。しかし、男たちが戦う戦場では景の信じた正義は通じず、皆が家の存続のため、時に裏切りや謀略を行う戦場での現実を見せつけられます。心を寄せられた泉州の海賊・七五三兵衛にまで「面白ろない奴」と蔑まれ、傷心のまま景は瀬戸内に逃げ帰ります。

しかし、逡巡の末、景は男たちとは異なる、自分の正義を貫き通す決意を固めます。
その決意がやがて周囲を巻き込んで行くのですが…。
強いけれども勝手気ままで子どものような景が、自分の思いを貫き通すため、不利な戦いに挑んでいく姿に彼女の成長を感じました。


ここにも阿呆がいやがった


のぼうの城」でも、圧倒的不利な状況下でも戦いに挑んだ、一見すると阿呆ともいえる、のぼうさまと家臣たちの活躍が描かれましたが、「村上海賊の娘」にもおりました。そういう、愛すべき阿呆たちがwww

登場人物たちの中でも七五三兵衛率いる泉州の海賊衆は気持ちのよい、魅力的な連中でした。後半部分の主役は、七五三兵衛といっても過言ではないくらい。いい男なんだよなあ…。もしも景と七五三兵衛が結婚してたら、その後の歴史が大きく歴史が変わってたかもしれないのに、とおもわずにはいられません。

「俳味」という一種のユーモアを好む泉州侍たちは、戦場でもそうした余裕を忘れず、長年憧れた海賊衆には戦いの最中にも気軽に声をかけたり、景に対しても「姫さん、戦場でなあ」と飄々とした物言いを忘れません。
かといって戦に手を抜くどころか、景に対しても最大限の戦術で叩き潰そうとします。それこそが泉州侍たちの最大の敬意なのでしょうね。

命のやりとり


クライマックス、七五三兵衛と景の一騎打ちのシーンは、恐ろしいほどの激闘なんですが、どこかこう、「情」みたいなものが感じられる気がします。

現代の私達から見たら、思いをかけられた男との真剣勝負は、つらい気もするのですが、けれども、それは、心が通じているからこそ、真剣に命のやりとりができるのかもしれません。
そういう意味では、命のやりとりは、ある種、愛のやりとりでもあるのでは…と考えてしまうのは、ちょっとロマンチックすぎるでしょうか…?


海賊VS海賊


後半、ほぼ半分のページ数を締める木津川海戦の描写は圧巻、の一言につきます。彼らは当初、自分の家を守るために戦いを渋りますが、そこは戦国時代の海賊、戦いに身を投じるうちに、家名や従う大名の名分よりも、自分たちの矜持のために戦っていきます。戦いの渦中でも俳味(ユーモア)を失わない眞鍋海賊、家ではなく海賊としての戦いを存分に楽しむ、因島、来島村上当主たち。

首が飛び、甲板が血ですべる、凄惨な海戦、ヘタレな景の弟・景親の変化…
そしてそこには意外な人物も戦いに加わっていて…(←ここ大事!)

敵の船を奪い、奪われ、優勢と劣勢がくるくると入れ替わる海戦シーンは、読んでいる方も息を呑みつつ戦況を見守りながら、ページをめくります。

見どころが多すぎて、ページを早くめくりたいし、次を知りたいのに、一方で戦いを俯瞰したい、前に戻って確かめたいって気持ちが相反して、なかなか読み進むことができませんでした。

村上海賊の娘 上巻
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和田竜作品感想


小太郎の左腕
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村上海賊の娘 上巻

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