ウォン・カーウァイが描いたアメリカ映画。[映画] マイ・ブルーベリー・ナイツ

2014.05.29 Thursday

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    「恋する惑星」、「花様年華」など、名作映画を作ってきたウォン・カーウァイが、初めてアメリカで撮った映画「マイ・ブルーベリー・ナイツ」を鑑賞。正直、ウォン・カーウァイの世界は香港、もしくはアジアの俳優でなければ表現し得ないのではないかと、今まで観るのをためらっていたのですが、

    よかった。とても。ウォン・カーウァイの描く世界は、どこが舞台でもどんな世界でも、その映像に引きつけられるんだ、ってことがわかりました。

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    旅の物語


    「恋する惑星」では、女が恋する男をおいて、放浪の末に帰ってくるのですが、「マイ・ブルーベリー・ナイツ」ではその放浪の部分が描かれています。失恋を引きずるエリザベスは、元カレの家に近いカフェを訪れ、ブルーベリーパイを注文。

    パイの味とオーナー・ジェレミーのやさしさに感謝しつつも、自分を変えるために「長い回り道」をすることにした。メンフィスでは、愛がすれちがうカップルに、ベガスでは過去を抱えた女ギャンブラーに出会い、彼らとの出会いから、失恋を克服し、ジェレミーの元へ帰る決心をして…。

    どこか異国感のあるアメリカ映画


    欧米の俳優陣、アメリカを舞台にしたウォン・カーウァイ映画。これ、他のアメリカ監督が撮ったら、たぶん途中でつまらなくて観るのをやめたと思う。ロードムービーとしては定番ともいえるネタなのに、ウォン・カーウァイが撮ると、やっぱりちょっと、違うんだよなあ。どんな場面でも目が離せないのよ。

    ダイナーやカフェ、ラスベガスなど、いかにも「アメリカ」らしいモチーフなのに、どこか違う、異国感があるというか。

    ブルーベリー・パイ


    撮影当初、ウォン・カーウァイがノラ・ジョーンズに「嫌いなパイは何?」と聞いたところ、それがブルーベリーパイだった。という話を聞いたことがあるのですが、ブルーベリーパイは、ノラ・ジョーンズ演じるエリザベスの感情を象徴するモチーフとして使われています。

    おいしいけれど、捨てられてしまうパイに理由はない。そんなパイに自分を重ねて食べるエリザベス、そんな彼女のために、ジェレミーはずっと、パイを作りづづける。ウォン・カーウァイの使うモチーフはいつも魅力的なんだよなあ。

    東京都写真美術館のカフェ企画で作られた「マイ・ブルーベリー・ナイツ」のブルーベリーパイ。映画では中にブルーベリーが入っていますが、こちらのパイもなかなか美味しかったです。



    主人公のノラ・ジョーンズ、カフェのオーナーを演じたジュード・ロウや癖のある女ギャンブラーのナタリー・ポートマン、役者さんみんな素晴らしかったです。ただ、それでもやっぱり、トニー・レオンやチャン・チェン、コン・リーなど、香港、台湾俳優版のマイ・ブルーベリー・ナイツの配役を考えてしまうんですけどねwww

    バックサウンドにジャズや、ノラ・ジョーンズの歌う切ない歌声がぴたりとハマって、相変わらず音楽選びのセンスがハンパない。「花様年華」で使われた「夢二のテーマ(ハーモニカバージョン)」も使われていて、ウォン・カーウァイファンにはうれしい。

    マイ・ブルーベリー・ナイツ オリジナル・サウンドトラック
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    ●ウォン・カーウァイ作品感想


    グランド・マスター→
    愛の神、エロス〜エロスの純愛〜若き仕立屋の恋→
    恋する惑星→
    2046→
    花様年華→
    天使の涙→
    楽園の瑕→


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    コメント
    日月さん、こんにちは!
    東京都写真美術館のカフェ企画で作られた「マイ・ブルーベリー・ナイツ」のブルーベリーパイ
    って、凄くおいしそうですー^^

    この映画、雰囲気はとっても良かったです。
    キャスティングも豪華だし、音楽も素敵でしたね。

    ところで、下の記事で、男運が悪い著名女性陣・・・。性病うつされる人が多いこと・・。
    でもね、現代でも仕事に成功している女性は、結構男運が悪い人も多いかも・・。
    もちろん、男を利用してのし上がる系の女性もいるけど。
    • by latifa
    • 2014/06/03 5:45 PM
    latifaさんこんばんわ!
    最近映画とはご無沙汰だったのですが、レンタルクーポンが手に入ったので、見たかった映画をイッキ見しています。

    マイ・ブルーベリー・ナイツよかったです。ぜひ、香港版をつくってほしい。

    男運が悪い昔の女性は、調べただけでこれだけあり、裏が取れなかったものをふくめるともっと多いと思います。
    野口英世の母は賢母といわれてますが、その父親は働かなかったと聞いたことがありますし。


    そうか、現代もそうなんですね〜(^^;)男性の事業をバックアップする女性は多いですが、逆は極端に少ないですものね。
    • by 日月
    • 2014/06/03 7:14 PM
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    ポスターのキスシーンが印象的で、それだけで この作品を見たいという衝動に駆られました。 本編のラストでも同様のシーンがあるのですが、 映像美は女性ならうっとりするでしょ ...
    • 気ままな映画生活
    • 2014/05/29 9:51 PM
    □作品オフィシャルサイト 「マイ・ブルーベリー・ナイツ」□監督・脚本 ウォン・カーウァイ □脚本 ローレンス・ブロック □音楽 ライ・クーダー□キャスト ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、レイチェル・ワイズ、       デヴィッ
    • 京の昼寝〜♪
    • 2014/06/02 8:18 AM
    内容よりも、映像とか、雰囲気を楽しませてもらいました。 舞台はアメリカなんだけど、ウォン・カーワイお得意の、夜のちょいとやさぐれ感というか・・都会の夜のライトや、カフェの感じなどから伝わる孤独感?というか・・雰囲気たっぷりで素敵でした。あと、ところど
    • ポコアポコヤ 映画倉庫
    • 2014/06/03 5:38 PM
    預けられた鍵の数だけ、預けた人の思いと、取りに来るかもしれない人の思いがある。 ウォン・カーウァイ第5弾、最新作『マイ・ブルーベリー・ナイツ』観て来ました。 観に行く前の不安は3つ。 言葉が英語なこと。 舞台がアメリカなこと。 撮影がクリスト
    • 愛すべき映画たち
    • 2014/06/07 10:23 AM
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